(読み)ボウ

デジタル大辞泉 「望」の意味・読み・例文・類語

ぼう【望】[漢字項目]

[音]ボウ(バウ)(漢) モウ(マウ)(呉) [訓]のぞむ もち
学習漢字]4年
〈ボウ〉
遠方を見渡す。「望遠望郷望見望楼一望遠望観望仰望眺望展望
まちのぞむ。願う。のぞみ。「望外渇望願望希望志望失望嘱望切望絶望羨望せんぼう待望熱望野望有望要望欲望
人々に期待されること。よい評判。名声。「威望才望衆望信望人望声望徳望名望
満月。「望月ぼうげつ望日既望
〈モウ〉のぞむ。のぞみ。「懇望所望大望本望
[名のり]のぞみ・まどか・み
[難読]望月もちづき

もち【望】

陰暦十五夜の月。満月。もちづき。
陰暦で、月の15日。もちの日。
「富士の嶺に降り置く雪は六月みなづきの―にぬれば」〈・三二〇〉

ぼう〔バウ〕【望】

地球が太陽と月との間にあり、月と太陽の黄経の差が180度になる時。また、その時の月。満月。また、陰暦の15日。

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精選版 日本国語大辞典 「望」の意味・読み・例文・類語

のぞみ【望】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「のぞむ(望)」の連用形の名詞化 )
  2. 遠く離れてながめやること。遠く見やること。ながめ。眺望。
    1. [初出の実例]「思ふそら 安けなくに 嘆くそら 安けなくに 青浪に 望(のぞみ)は絶えぬ 白雲に 涙は尽きぬ」(出典:万葉集(8C後)八・一五二〇)
  3. そうしたい、そうありたいと願うことがら。希望。ねがい。
    1. [初出の実例]「こののぞみを聞き給ひて、いとはなやかに、うち笑ひ給ひて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
  4. 将来よくなりそうな見込み。将来の発展が期待されるようなみどころ。
    1. [初出の実例]「前途に望(ノゾ)みある少年の政治家なり」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中)
  5. 人望。名望。
  6. 歌舞伎で、特別の工夫。その時限りの特別の注文。
    1. [初出の実例]「ぶたいのまんなか桜の木、望みあり」(出典:歌舞伎・けいせい嵐山(1739)序中入之壱)

望の補助注記

の挙例の「万葉‐一五二〇」についてはの意とする説もあるが、は漢文の訓読から発生したともいわれ、「古事記」や「日本書紀」での「望」字の意味からとする説が有力である。


もち【望】

  1. 〘 名詞 〙
  2. もちづき(望月)[ 一 ]」の略。
    1. [初出の実例]「月は望(モチ)に近く、路上は明るかった」(出典:美しい星(1962)〈三島由紀夫〉一)
  3. 陰暦で月の一五日。
    1. [初出の実例]「富士の嶺に降り置く雪は六月の十五日(もち)に消ぬればその夜降りけり」(出典:万葉集(8C後)三・三二〇)

ぼうバウ【望】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 太陽と月の視黄経の差が一八〇度のときをいう。満月。望月(もちづき)。もち。〔元和本下学集(1617)〕 〔易経‐中孚卦〕
  3. 陰暦の一五日の異称。
  4. 漢方診断法の一つ。肉眼で患者を観察すること。視診。
    1. [初出の実例]「先病人に望(のぞみ)、容体を見るを望(ボウ)と云」(出典:都鄙問答(1739)四)

のぞまし【望】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙のぞましい(望)

もうマウ【望】

  1. 〘 名詞 〙 満月。もちづき。また、陰暦の一五日。ぼう。〔名語記(1275)〕

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普及版 字通 「望」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)
11画

(異体字)
14画

[字音] ボウ(バウ)
[字訓] のぞむ・ねがう

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(亡)(ぼう)。卜文は、大きな目をあげて遠くを望み、挺立する人の形で、象形。聞の初文が、大きな耳の下に挺立する人の形であるのと同じく、特定の行為を示す字である。のち金文字形にはを加えて月相の関係の字となり、また目の形(臣)がの形にかかれて形声となる。〔説文〕十二下に「出して外に在り、其のるをむなり」とあって、を亡去の意に解する。また別に(てい)部八上を収め、「滿ちて日と相ひむ。以て君にするなり。に從ひ、臣に從ひ、(てい)に從ふ。なり」とする。その重文としてを録し、「古の省なり」というが、そのが卜文にみえるで、の初文である。は人が挺立して遠く望む形で、眼の呪力によって敵を圧服し、あるいは望気を行う意の字であった。卜辞に「媚人(びじん)三千をして、方をましむること勿(なか)らんか」のように卜するものがあり、媚飾を加えた三千の巫女が、一斉に山西北方の異族である苦方に、その呪儀を行った。はまた山川祭祀の名となる。のち日月相望む意によって月を加え、朔望となり、望より一週の月相を既望という。

[訓義]
1. のぞむ、遠くをのぞんで、望気・圧服を行う。
2. 山川のまつり。
3. ねがう、まちのぞむ、あおぐ。
4. ながめ、ようす。
5. ほまれ、よい家柄、名望。

[古辞書の訓]
和名抄 此のに云ふ、毛知豆(もちづき) 〔名義抄 ネガフ・ミツ・ウラム・アフグ・ノゾム・ワスル・ホシキ 〔字鏡集〕 ウカガフ・ミツ・ウラム・アフグ・ワスル・ノゾク・ネガフ・ノゾム・モチ

[声系]
〔説文〕に声としてとを収めるが、は一字。は金文に「十世まで(わす)れず」のように、忘の義に用いる。〔説文〕三上に「責するなり」とあるのは、のちの用義であろう。

[語系]
miuangは同声、もと同字異文。またmiuangも同声。望の呪儀を、呪詞によって行う意で、やめる、なくする意のある字であろう。ゆえに金文にを忘の意に用いる。

[熟語]
望意・望雲・望影・望・望遠・望眼・望気・望郷望緊・望空望霓・望月・望見・望懸・望候・望高・望幸・望祭・望歳・望察・望祀・望子・望視・望日・望実・望春望舒望蜀・望色・望夕・望絶・望族・望尊・望台・望達・望断望地望秩望鎮・望帝・望頭・望拝・望八望閥・望表・望風望氛・望慕・望誉・望羊望佯・望洋・望履・望櫓・望楼
[下接語]
位望・威望・倚望・恚望・異望・意望・懿望・延望・怨望・遠望・雅望・望・渇望・閑望・観望・企望・希望・祈望・既望・跂望・期望・冀望・覬望・望・旧望・郷望・仰望・翹望・勲望・群望・顧望・郊望・曠望・懇望・才望・柴望・朔望・士望・四望・志望・俟望・姿望・思望・資望・時望・失望・衆望・重望・宿望・春望・所望・属望・矚望・信望・人望・声望・清望・勢望・責望・切望・絶望・羨望・瞻望・素望・想望・族望・大望・待望・悵望・眺望・騁望・展望・覘望・登望・徳望・熱望・非望・弥望・標望・布望・俯望・風望・本望・民望・名望・門望・野望・有望・憂望・誉望・輿望・要望・遥望・欲望・令望

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「望」の意味・わかりやすい解説


ぼう
full moon

にある月。地球に向いた半面全体が太陽に照されて輝き,光度は-12.6等となる。いわゆる満月のことで, (新月) に対する。

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改訂新版 世界大百科事典 「望」の意味・わかりやすい解説

望 (ぼう)

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デジタル大辞泉プラス 「望」の解説

静岡県牧之原市で生産される静岡牧之原茶のブランド名。コクや旨みのある深蒸し茶。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【朔望月】より

…太陽に対して月が天球を一周する時間で,29.530589日。太陽と月の黄経の差が0度のときを朔といい,180度のときを望という。ある朔から次の朔まで(あるいはある望から次の望まで)を朔望月という。…

【衝】より

…したがって,衝のころは惑星の表面の観測や暗い小惑星の位置観測の好機である。なお,満月は月の衝にあたり,これを〈望〉という。【湯浅 学】。…

【満月】より

…月と太陽の視黄経の差が180゜となる瞬時,すなわち望のこと,またそのときの月をいう。月と太陽は地球を中にほぼ反対側にある(正反対のときは月食)。…

※「望」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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