精選版 日本国語大辞典「望」の解説
のぞみ【望】
〘名〙 (動詞「のぞむ(望)」の連用形の名詞化)
① 遠く離れてながめやること。遠く見やること。ながめ。眺望。
② そうしたい、そうありたいと願うことがら。希望。ねがい。
※源氏(1001‐14頃)行幸「こののぞみを聞き給ひて、いとはなやかに、うち笑ひ給ひて」
③ 将来よくなりそうな見込み。将来の発展が期待されるようなみどころ。
④ 人望。名望。
※歌舞伎・けいせい嵐山(1739)序中入之壱「ぶたいのまんなか桜の木、望みあり」
のぞ・む【望】
[1] 〘他マ五(四)〙
① 遠くを見やる。ながめる。
※書紀(720)仁徳四年二月(前田本訓)「朕(われ)、高台(たかとの)に登りて遠に望(みノソム)に、烟気(けふり)、城(くに)の中(うち)に起(た)たず」
② そうありたいと願う。こうしてほしいと思う。こい願う。期待する。ほしがる。希望する。「適切な対策が望まれる」
※書紀(720)継体二三年四月(前田本訓)「謹みて三月を待ちて勅の旨を聞かむと佇(ノソメ)ども、尚し宣(の)り肯(か)へず」
[2] 〘他マ下二〙 比較して見る。関係させて見る。
※成唯識論寛仁四年点(1020)八「現と種とを種に於(ノソムル)に能く幾ばくの縁と作る」
のぞまし・い【望】
〘形口〙 のぞま
し 〘形シク〙 (動詞「のぞむ(望)」の形容詞化) 望むところである。願うところである。そうあってほしい。このましい。

※天草本伊曾保(1593)女人と、大酒を飲む夫の事「サケガ ナウテワ ショクブツバカリワ サノミ nozomaxǔmo(ノゾマシュウモ) ナイト」
※明暗(1916)〈夏目漱石〉一四一「誰にとっても望(ノゾ)ましい事に違(ちがひ)なかった」
のぞまし‐げ
〘形動〙
のぞまし‐さ
〘名〙
もち【望】
〘名〙
① 「もちづき(望月)(一)」の略。
※美しい星(1962)〈三島由紀夫〉一「月は望(モチ)に近く、路上は明るかった」
② 陰暦で月の一五日。
※万葉(8C後)三・三二〇「富士の嶺に降り置く雪は六月の十五日(もち)に消ぬればその夜降りけり」
もう マウ【望】
〘名〙 満月。もちづき。また、陰暦の一五日。ぼう。〔名語記(1275)〕
のぞま
し【望】
〘形シク〙 ⇒のぞましい(望)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報