普及版 字通 「殺」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)
11画

(異体字)
13画

[字音] サツ・サイ・セツ
[字訓] へらす・ころす

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[その他]

[字形] 会意
(てい)+殳(しゆ)。はたたりをなす獣の象形。祟(すい)の初形である。この呪霊をもつ獣に対して、殳(戈(ほこ))を加えて殺す意。この獣を殺すことによって、敵より加える呪詛が減殺(げんさい)される。そのような呪儀を示すことが、字の本義であった。〔説文三下に「戮(ころ)すなり」とし、人を刑殺することをいう。中でその呪儀を行うことを(さい)といい、罪人を放(ほうざん)することをいう。〔書、舜典〕「三を三す」のを、〔孟子、万章上〕に、〔史記、五帝紀〕に(遷)、〔説文〕字条七下に引いてに作る。みな声義近く、通ずるところのある字である。〔左伝、昭元年〕に「叔を(ころ)す」とあり、の初文は、ゆえにその字をまたの字に用いた。はのち死殺の意に用いる。は近代の俗字。急疾の意を示したものであろう。また収尾のように収束の意に用いる。

[訓義]
1. へらす、敵の呪詛の力をへらす。同じ呪獣を用いるので、その効を相殺という。そぐ。
2. ころす、呪詛してころす、死刑とする。
3. ほろぼす、いためる、そこなう、からす。
4. 牲として供える。
5. はなはだしい、きびしい、すごい。
6. 強意助詞として、動詞の下接語とする。
7. おとろえる、きえる、次第にへらす。

[古辞書の訓]
名義抄 タケシ・キル・トシ・ヲカス・ヲツ・ヲス・カル・コロス

[声系]
〔説文〕に声としてなど三字を収めるが、声義の関係は明らかでない。に似た木である。

[語系]
sheatは)sheam、斬tzheamと声義の関係があり、鏨・槧dzamは斬声の字。同じ語系に属するものと考えられる。

[熟語]
殺下・殺止・殺小・殺青・殺損・殺内・殺礼殺哀・殺圧殺意・殺・殺越・殺害・殺獲・殺活殺気・殺機・殺・殺才・殺矢・殺死・殺字・殺手殺殉殺傷・殺身・殺人殺生・殺節・殺然・殺地・殺到・殺毒殺伐・殺罰・殺風殺戮・殺・殺略殺掠・殺虜殺斂
[下接語]
圧殺・暗殺・縊殺・陰殺・枉殺・殴殺・鏖殺・殺・嚇殺・活殺・殺・看殺・戯殺・虐殺・去殺・挟殺・誑殺・矯殺・吟殺・刑殺・撃殺・嫌殺・減殺・厳殺・故殺・誤殺・坑殺・絞殺・鴻殺・残殺・惨殺・斬殺・刺殺・嗜殺・自殺・射殺・愁殺・襲殺・銃殺・粛殺・笑殺・杖殺・捶殺・酔殺・生殺・牲殺・羨殺・相殺・勦殺・騒殺・賊殺・他殺・多殺・殺・誅殺・鴆殺・妬殺殺・撲殺・抹殺・密殺・妄殺・黙殺・扼殺・殺・薬殺・誘殺・拉殺・礼殺・殺・轢殺

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

太陽フレア

太陽の表面にあるしみのように見える黒点で起きる爆発。黒点の磁場が変化することで周りのガスにエネルギーが伝わって起きるとされる。ガスは1千万度を超す高温になり、強力なエックス線や紫外線、電気を帯びた粒...

太陽フレアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android