沖ノ島(読み)オキノシマ

デジタル大辞泉 「沖ノ島」の意味・読み・例文・類語

おき‐の‐しま【沖ノ島/沖島/沖の島】

(沖ノ島)福岡県北端、玄界灘げんかいなだにある小島。宗像むなかたに属する。面積0.7平方キロメートル。宗像大社沖津宮おきつみやがある。古代の文化財が豊富で「海の正倉院」といわれる。平成29年(2017)「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の一つとして世界遺産文化遺産)に登録された。→沖ノ島遺跡
(沖島)琵琶湖中で最大の島。滋賀県近江八幡市に属する。面積1.5平方キロメートル。
(沖の島)高知県、宿毛すくも湾口にある島。足摺宇和海国立公園の一部。宿毛市に属する。面積10.5平方キロメートル。中央部に妹背山がある。

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共同通信ニュース用語解説 「沖ノ島」の解説

沖ノ島

福岡県宗像市沖約60キロの玄界灘にある、外周約4キロの孤島。全体がご神体で宗像大社の「沖津宮おきつみや」。4~9世紀、大陸との交流成就を祈る国家的祭祀さいしが行われた。出土した奉献品約8万点が国宝で「海の正倉院」と称される。男性は原則として大社の神職以外は上陸できず、女人禁制。「一木一草一石たりとも持ち出してはならない」といったおきてがある。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関は、島と近くの「小屋島こやじま」「御門柱みかどばしら」「天狗岩てんぐいわ」を世界文化遺産とするよう勧告。7月にポーランドで開かれるユネスコ世界遺産委員会が、登録の可否を正式審査する。

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精選版 日本国語大辞典 「沖ノ島」の意味・読み・例文・類語

おき‐の‐しま【沖ノ島】

  1. [ 一 ] 福岡県宗像(むなかた)市に属する、玄界灘の小島。宗像神社沖津宮をまつり、全島が女人禁制の神域とされる。御不言(おいわず)
  2. [ 二 ] ( 沖島 ) 滋賀県近江八幡市、琵琶湖最大の島。沖津島山(おきつしまやま)。澳(おく)の島。歌枕。

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日本歴史地名大系 「沖ノ島」の解説

沖の島
おきのしま

宿毛の西南、宿毛湾口に位置する。周囲に無人島はだか島・二並ふたなみ島・さん島が点在。西方に少し離れてひめ島がある。これら諸島を含む周辺海域は景観に富み、足摺宇和海国立公園の一画をなす。沖の島は全島花崗岩で面積一〇・五二平方キロ、周囲二三キロ。中央部に標高四〇三・八メートルの妹背いもせ山がそびえ、南部と東部は断崖と急傾斜地が続き、西部の北と南に母島もしま浦・くぼ(久保)浦・小矢野こやの(古屋野)浦・弘瀬ひろせ浦の各集落が発達した。

沖の島は興ノ島とも書き(後述の地検帳)、島の開発は、「今昔物語集」巻二六(土佐国妹兄行住不知島語)や「宇治拾遺物語」五六(妹背島事)にみえる妹背島伝説がそれを物語るとされるが、確証はない。弘瀬の三浦家文書(「南路志」所引)は元久年間(一二〇四―〇六)幡多はた郡本土から移住開拓したといい、母島の沢近家文書ではいつの頃か山伏が渡海して居住するようになったと伝える。


沖ノ島
おきのしま

[現在地名]大島村沖之島

大島より北西、海上四九キロの玄界灘の真っただ中にある孤島で、東西約一・五キロ余、南北約〇・五キロ、周囲約四キロである。一の岳(二四三メートル)を中心に、二の岳・三の岳と連なっている。島を巡って巨石が連なり、平地がなく人家もない。宗像三女神の田心姫命を祀る宗像大社沖津おきつ宮が鎮座し、島全体が神域であり神の島として尊崇されている。不言おいわず様とよばれて島内見聞の口外は禁止され、島内不浄の禁止、一木一草、石のかけらも持出さないことなど、厳しい掟がある。現在も禊なしでは上陸が許されず、また女人禁制の島でもある。古代に海北道とよばれた朝鮮半島への航路の中間にあたり、航海の安全と繁栄を願って国家的規模の祭祀が行われた。


沖ノ島
おきのしま

鹿島市大字飯田いいだ江福の箱崎えふくのはこざきから東方五キロ余りの所にある有明海中唯一の島で、満潮時には姿を没し干潮の際は姿を現す。「お島さん」と通称されているが、古老の中には「おんがみさん」または「おんがみのせ」とよぶ人もある。今日なお有明海沿岸一円の住民に広く信仰されている。旧暦六月一九日には沿岸各地から旗・幡・提灯で飾り立てられた幾十百艘ともしれぬ船が太鼓・笛に合わせて奏する浮立ふりゆうを夜の海上に繰り広げる沖ノ島参りは華麗・勇壮で郷土における年中行事の圧巻である。

肥前古跡縁起」に沖神とあり、「鹿島志」には「浜津の東海上七里余に小島あり。


沖の島
おきのしま

[現在地名]宇和島市日振島

日振ひぶり島の北端の能登のと浦沖にある小島。日振浦に属した。伊能忠敬の「日本実測録」には「従東岬西岬一十一町」とある。

周囲二〇〇メートル、全島の小山も砂浜も、ヒガンバナ科に属するハマユウ(ハマオモトともいう)や亜熱帯性植物が群生し、夏には美観を呈する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沖ノ島」の意味・わかりやすい解説

沖ノ島
おきノしま

福岡県北部,宗像市に属する玄界灘の島で,大島の北西海上にある。沖島とも書く。全島玄武岩で構成され,海岸には海食崖が発達。定住民はいないが,近海がタイなどの漁場であるため最盛期には漁民が仮小屋に泊まる。1962年第4種漁港として避難港の設備が完成。1954年からの 3次にわたる学術調査によって 4~9世紀の生活用土器,金属器,祭祀品などが発見され,古来大陸との交通で果たした役割などが明らかにされている(→沖ノ島遺跡)。島全域が漁民の信仰があつい宗像神社の沖津宮の神域に属し,女人禁制が守られている。2017年沖ノ島全島および周辺の小屋島,御門柱(みかどばしら),天狗岩の三つの岩礁が,「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として,国際連合教育科学文化機関 UNESCO世界遺産の文化遺産に登録された。全島を覆う原始林は,亜熱帯性植物の北限として国の天然記念物に指定されている。面積 0.69km2。周囲約 4km。

沖ノ島
おきノしま

高知県南西部,宿毛湾口の南側にある島。宿毛市に属する。暴風日が年間 250日以上の地。花崗岩から成る島で,北に母島 (もしま) ,南に弘瀬の集落があり,半農半漁の生活を営んでいる。江戸時代の伊予,土佐の国境は島の中央部を通っていた。亜熱帯植物が茂り,海中には熱帯魚,造礁サンゴ類が群生する。付近一帯は,足摺宇和海国立公園に属する。面積 9.99km2。人口 314 (2000) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「沖ノ島」の意味・わかりやすい解説

沖の島
おきのしま

高知県南西端、宿毛(すくも)湾口の島。面積9.99平方キロメートル。藩政時代、付近が好漁場であることから、沖の島をめぐって宇和島、土佐藩の境界論争があり、幕府の裁定で島の中央を縦断する線が両藩の境界となった。その名残(なごり)は、母島(もしま)集落(宇和島藩)のべんがら塗りと弘瀬(ひろせ)集落(土佐藩)の白木柱という民家様式の違いにもみられた。1874年(明治7)高知県に移管、沖ノ島村となり、1954年(昭和29)宿毛市に編入。花崗(かこう)岩からなり海食地形が多く、海岸は足摺(あしずり)宇和海国立公園地域で、海域公園にも指定されている。『今昔物語』にちなむ妹背(いもせ)山(403.8メートル)が最高所。弘瀬の主集落は急傾斜地の渓流付近に階段状に密集し、干棚(ひだな)(農水産物の干し場)をもつ民家が特色。暴風雨日数も多いが、温暖で亜熱帯性植物もみられる。漁業が主たる生業。宿毛市片島港から定期船が就航している。人口237(2009)で過疎化が著しい。

[大脇保彦]



沖ノ島
おきのしま

沖島

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改訂新版 世界大百科事典 「沖ノ島」の意味・わかりやすい解説

沖ノ島 (おきのしま)

高知県南西部,宿毛(すくも)湾口に浮かぶ島。面積10.5km2。全島花コウ岩よりなり,アコウ,ビロウなどの亜熱帯植物が繁茂する。海岸は海食崖が広く,海食洞もみられ,足摺宇和海国立公園に属する。周囲の海域は好漁場をなし漁業が中心で,集落は急傾斜地に階段状に立地する。近世,島の南東側は土佐藩に,北西側は宇和島藩に属し,1874年に高知県に帰属して鵜来(うぐる)島とともに幡多(はた)郡沖ノ島村をなしていたが,1954年に宿毛市に編入された。
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知恵蔵mini 「沖ノ島」の解説

沖ノ島

福岡県宗像市の沖合約60キロメートルの玄界灘に位置する島。島全体が宗像(むなかた)大社の三宮の一つである沖津宮の境内で、古くから「神宿る島」として人々の信仰の対象となっている。島の神聖性を守るため女人禁制などの厳格な入島制限があり、島で見聞きしたことを口外したり、草や石などを島外に持ち出したりすることも禁じられてきた。そのため、古代の祭祀(さいし)遺跡が良好な状態で現存しており、出土した装飾品などは全て国宝に指定されている。2015年、同島は宗像大社や同県福津市の新原・奴山(しんばる・ぬやま)古墳群などと共に「宗像・沖ノ島と関連遺産群」として、2017年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指す国内候補に推薦された。

(2015-7-30)

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デジタル大辞泉プラス 「沖ノ島」の解説

沖ノ島〔長崎県対馬市〕

九州と韓国の間の対馬海峡に浮かぶ島、対馬島の中東部にある島。行政的には長崎県対馬市に属する。面積約2.66平方キロメートル。美津島町の住吉地区から住吉瀬戸を跨ぐ橋で渡ることができる。北東の赤島とは赤島大橋で結ばれる。リアス式海岸が深く入り組んだ地形で、入り江では養殖漁業が行われる。

沖ノ島〔鹿児島県〕

鹿児島県いちき串木野市、羽島崎の南西沖約1.3kmに位置する無人島。「薩摩沖ノ島」ともいう。昭和30年代に放されたヤクシマザルが野生化、繁殖しており、「猿島」と呼ばれることもある。

沖の島〔愛媛県〕

愛媛県宇和島市、日振島能登地区の北方約1.7kmの宇和海に浮かぶ無人島。4つの小島が砂州によって繋がり、1島となったもの。

沖ノ島〔島根県〕

島根県隠岐郡隠岐の島町、島後、白島崎の北約0.4kmに位置する無人島。沖ノ島灯台がある。

沖ノ島〔和歌山県〕

和歌山県有田市、初島町浜の西沖、約3.2kmに位置する無人島。下津沖ノ島灯台がある。

沖ノ島〔長崎県平戸市〕

長崎県平戸市、平戸島の木ケ津湾内にある小島。干潮時には北側が本島と繋がる。

沖ノ島〔千葉県〕

千葉県館山市、館山湾南端に位置する灰白色泥岩の陸繋島。

沖の島〔兵庫県〕

兵庫県南あわじ市、伊毘湾口にある無人島。

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事典・日本の観光資源 「沖ノ島」の解説

沖ノ島

(千葉県館山市)
東京湾100選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

知恵蔵 「沖ノ島」の解説

沖ノ島

「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」のページをご覧ください。

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の沖ノ島の言及

【友ヶ島】より

…和歌山県北西端,和歌山市加太の西方,淡路島との間の紀淡海峡(友ヶ島水道)に浮かぶ島。地ノ島(全周約5.2km)と沖ノ島(全周約6.5km)からなり,沖ノ島には砂州で陸続きになった虎島,および神島が付属する。島は砂岩からなり,周囲は高さ20~50mの海食崖が発達,沖ノ島の野奈浦を除き無住である。…

【日振島】より

…能登,明海(あこ),喜路の3集落がある。無人島の沖ノ島,横島,御五神(おいつかみ)島などを属島とし,それらを合わせると5.14km2。936年(承平6)藤原純友の一党が船1000余艘を擁し,この島に屯集したと《日本紀略》にみえる。…

【鵜来島】より

…面積1.3km2。近世には宇和島藩領であったが,1874年高知県に帰属し沖ノ島とともに幡多(はた)郡沖ノ島村に属し,1954年宿毛市に編入された。集落は鵜来島のみで,北西季節風を避けて島の南東部に位置する。…

※「沖ノ島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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