染める(読み)ソメル

デジタル大辞泉 「染める」の意味・読み・例文・類語

そ・める【染める】

[動マ下一][文]そ・む[マ下二]
染料などを使って色をつける。また、しみこませて色や模様をつける。「髪を―・める」「セーターを赤く―・める」
光などが、あたりの色を変える。ある色にする。「紅葉が照り輝くように野山を―・める」「夕日が家々の白壁を赤く―・めている」
(恥ずかしさなどのために)顔を赤らめる。「恥じらいでほおを―・める」
そのことに関心を寄せる。思いを深くする。「陶器に心を―・める」
(「手をそめる」の形で)あることにとりかかる。着手する。「悪事に手を―・める」
(「筆をそめる」の形で)書きはじめる。また、(筆で)絵や字を書く。「小説に筆を―・める」
[類語](1染め抜く染め出す染め分ける染め上げる染め変える染め返す染め直す/(2彩る染まるえが象る描写写生模写素描点描線描寸描スケッチ

し・める【染める】

[動マ下一][文]し・む[マ下二]
色にそまるようにする。また、においなどを深く入り込ませる。「煮―・める」「たき―・める」
「香の紙のいみじう―・めたる」〈三六
深く感じ入れさせる。強く心を引かれる。
「花の枝にいとど心を―・むるかな人のとがめむ香をばつつめど」〈梅枝

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「染める」の意味・読み・例文・類語

そ・める【染】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]そ・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 色のある液に浸したり、絵の具・墨・紅(べに)などを塗ったりして、色や模様をつける。
    1. [初出の実例]「色深く背なが衣は曾米(ソメ)ましを御坂たばらばまさやかに見む」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四二四)
    2. 「御あしよりいづる血は、いさごをそめて紅の如し」(出典:平家物語(13C前)四)
  3. ( 秋の紅葉や黄葉は、しぐれや露や霜によると考えられていたところから ) 露、雨、霜などが木の葉や花に色をつける。
    1. [初出の実例]「しらつゆの色はひとつをいかにして秋の木の葉をちぢにそむらん〈藤原敏行〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二五七)
  4. ( の比喩的用法。多く「心をそむ」「身をそむ」などの形で ) 色がしみこむように、深く思い込む。深くかかわる。また動詞の連用形について、その動作を深くする意を添える。「思いそめる」「乱れそめる」など。→「そめる(初)」の補注
    1. [初出の実例]「心ざし深くそめてしをりければきえあへぬ雪の花と見ゆらん〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・七)
  5. (筆に)墨を含ませる。また、書きはじめる。
    1. [初出の実例]「冥官、筆を染て一々に是をかく」(出典:平家物語(13C前)六)
  6. ( 「手をそめる」などの形で ) ある物事を始める。その事に関係する。
    1. [初出の実例]「不義非道な色事には、一指をだに染めることをしなかった」(出典:藤十郎の恋(1919)〈菊池寛〉五)
  7. 興奮、恥ずかしさなどのため顔を赤くする。
    1. [初出の実例]「お岸は羞耻(きまりわ)るさうにポウッと顔を染めて」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵鉄道国有)
  8. 光線などが、あたりの色を変える。
    1. [初出の実例]「日は既に万家の棟に没しても〈略〉西の半天を薄紅梅に染(ソメ)た」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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