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→殺陣
…江戸末期の〈生世話〉も徹底した写実主義の演劇になったわけではなかった。たとえば,正面を向いてする演技,見得,立回り,だんまりといった様式,大道具,小道具,化粧,扮装などは,いずれも絵画的もしくは彫刻的な景容の美しさを目標とし,下座の音楽や効果,ツケの類は写実性をめざすものではなく,情緒的な音楽性をねらい,あるいは擬音を様式化して誇張したものである。どんな場面の,どんな演技・演出も,舞台に花があり,絵のように美しい形に構成されていなければならない。…
…通称を《蘭平物狂(らんぺいものぐるい)》というように,これが一つの見せ場であるが,筋の上では蘭平こそ伴義雄で,陰謀のための偽狂乱である。与茂作実は行平の臣の計略で素姓を見破られた蘭平は,大勢の捕手を相手にたたかうが,現行演出では,この立回りが眼目で,数多い歌舞伎のタテの中でも最もスケールの大きい,手のこんだものとして有名。蘭平が,はしご,井戸の釣瓶,石灯籠などを使ってさまざまなテクニックを見せるタテは,《千本桜》の竹藪の小金吾,《双級巴(ふたつどもえ)》藤の森の石川五右衛門とともに,大立回りの三大代表作とされる。…
※「立回り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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