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立身出世 りっしんしゅっせ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

立身出世
りっしんしゅっせ

社会移動には水平的移動と垂直的移動があるが,立身出世は後者のうちの上昇過程をさす。立身出世は,封建社会や村落社会といった身分社会においては,身分秩序を破壊するものとして否認された。社会分化の進んだ流動的な近代社会においては,逆に社会変動の要因として積極的にすすめられ,能力のある人間は競争によって階層上昇 (立身出世) が可能となった。日本でも,明治以降,国家的な欧化政策のもとで盛んに立身出世が奨励されたが,実際には能力主義に反する私的な人的関係も無視しえなかった。立身出世の方法としては特に教育が用いられ,学歴主義の悪弊を生み落した。また立身出世主義には,社会的不満のはけ口としても機能する側面がある。

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デジタル大辞泉の解説

りっしん‐しゅっせ【立身出世】

[名](スル)社会的に高い地位を得て、世に認められること。「立身出世して故郷に錦を飾る」

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世界大百科事典 第2版の解説

りっしんしゅっせ【立身出世】

社会的上昇移動についての日本における伝統的呼称。社会的上昇意欲自体は江戸時代にもたいへん強かった。武士たちはそれを立身で,町人たちはそれを出世で表現した。立身は儒教の用語で,出世は仏教から転用された用語である。しかし江戸時代は身分秩序の社会だったから,分限意識(小欲知足)のような立身出世の対抗規範が存在し,とくに身分の壁を越える上昇移動は望ましい価値とはなりにくかった。立身出世が望ましいものとされたのは明治維新以後のことである。

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大辞林 第三版の解説

りっしんしゅっせ【立身出世】

( 名 ) スル
高い官職や地位につき、有名になること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

立身出世
りっしんしゅっせ

本人の能力、努力、才覚などによる社会的地位の上昇を是認する観念。それは、階層社会に生きる人間の欲望に根ざしており、時代や社会によってさまざまの現れ方をする。
 日本の場合を振り返ってみよう。士農工商の身分制度が確立していた江戸時代においても、「立身」とか「出世」とかいうことばが庶民に向けて説かれていた。それはひとことで述べれば、質素と倹約を旨とし、欲望を抑え堪忍を重ねて「世に出て身を立てること」すなわち、世の中で自分自身の力できちんと生活していけるようになることを意味していたのであった。それは、固定的な職分社会における生活倫理を教えたもので、それぞれの職分を人々に尊敬されるようにりっぱに遂行するための行動様式を説いたものであった。
 明治維新になると社会は一変し、人々に上昇的社会移動の機会が拡大されるようになった。そして、立身出世が上昇移動と結び付くこととなった。当時のベストセラーであるスマイルズの『西国(さいごく)立志編』(1870~71)や福沢諭吉の『学問のすゝめ』(1872)は、人々に自らの才覚と努力で立身出世(=上昇移動)を勧める内容であり、また当時の個人レベルの立身出世はそのまま国家レベルの立身出世(=列強への追い付き)と重なり、立身出世は公的にも正当化された。その後明治後期からしだいに社会階層が固定化し安定化するようになると、社会的上昇移動のコースは学校や官僚制によって制度化され、それとともに立身出世の観念も当初の野性味を失い、形式化、矮小(わいしょう)化されるに至った。
 第二次世界大戦後の平等主義的風潮は、矮小化された立身出世をもマイナス・イメージに下落させることとなった。しかし、現在でも立身出世はプラス規範とマイナス規範とのアンビバレント(併存の)傾向を備えた集合意識として存在している。日本において立身出世の実現にとって必要なものは、学歴と集団主義的適応能力といわれている。[麻生 誠]
『門脇厚司著『現代の出世観』(1977・日本経済新聞社)』

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世界大百科事典内の立身出世の言及

【西国立志編】より

…総発行部数は100万部以上といわれ,明治期をとおして広く読まれた。社会的栄達の方法を説くことを直接の目的とはしていなかったが,〈立身出世〉の手引書として読まれる傾向があり,本書をまねて成功の秘訣を記した書物が多数出版された。青少年の上昇意欲を喚起することで,本書は近代日本の発展の精神的支柱となった。…

※「立身出世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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