ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
本人の能力、努力、才覚などによる社会的地位の上昇を是認する観念。それは、階層社会に生きる人間の欲望に根ざしており、時代や社会によってさまざまの現れ方をする。
日本の場合を振り返ってみよう。士農工商の身分制度が確立していた江戸時代においても、「立身」とか「出世」とかいうことばが庶民に向けて説かれていた。それはひとことで述べれば、質素と倹約を旨とし、欲望を抑え堪忍を重ねて「世に出て身を立てること」すなわち、世の中で自分自身の力できちんと生活していけるようになることを意味していたのであった。それは、固定的な職分社会における生活倫理を教えたもので、それぞれの職分を人々に尊敬されるようにりっぱに遂行するための行動様式を説いたものであった。
明治維新になると社会は一変し、人々に上昇的社会移動の機会が拡大されるようになった。そして、立身出世が上昇移動と結び付くこととなった。当時のベストセラーであるスマイルズの『西国(さいごく)立志編』(1870~71)や福沢諭吉の『学問のすゝめ』(1872)は、人々に自らの才覚と努力で立身出世(=上昇移動)を勧める内容であり、また当時の個人レベルの立身出世はそのまま国家レベルの立身出世(=列強への追い付き)と重なり、立身出世は公的にも正当化された。その後明治後期からしだいに社会階層が固定化し安定化するようになると、社会的上昇移動のコースは学校や官僚制によって制度化され、それとともに立身出世の観念も当初の野性味を失い、形式化、矮小(わいしょう)化されるに至った。
第二次世界大戦後の平等主義的風潮は、矮小化された立身出世をもマイナス・イメージに下落させることとなった。しかし、現在でも立身出世はプラス規範とマイナス規範とのアンビバレント(併存の)傾向を備えた集合意識として存在している。日本において立身出世の実現にとって必要なものは、学歴と集団主義的適応能力といわれている。
[麻生 誠]
『門脇厚司著『現代の出世観』(1977・日本経済新聞社)』
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出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報
…総発行部数は100万部以上といわれ,明治期をとおして広く読まれた。社会的栄達の方法を説くことを直接の目的とはしていなかったが,〈立身出世〉の手引書として読まれる傾向があり,本書をまねて成功の秘訣を記した書物が多数出版された。青少年の上昇意欲を喚起することで,本書は近代日本の発展の精神的支柱となった。…
※「立身出世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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