若宮八幡社(読み)わかみやはちまんしや

日本歴史地名大系 「若宮八幡社」の解説

若宮八幡社
わかみやはちまんしや

[現在地名]中区栄三丁目

祭神は仁徳天皇・応神天皇・武内宿禰。旧県社。もとは那古野なごや今市場の天王いまいちばのてんのう坊の南(現三の丸)に鎮座した。社伝によれば文武天皇の代に創建。延喜年間(九〇一―九二三)再興。天文元年(一五三二)那古野合戦で焼けたが、同八年復興(府城志)。築城の際、現在地へ移った。家康の命に基づき名古屋総鎮守とされ、尾張徳川家の氏神と定められた(万治日記)。寛文四年(一六六四)二代藩主光友が神殿をはじめ社宇を新営(編年大略)。元禄二年(一六八九)正月、光友は黒印状を発して平針ひらばり(現天白区)のうち一〇〇石の社領を寄付。


若宮八幡社
わかみやはちまんしや

[現在地名]杵築市宮司

杵築城下の北西に当たる清水寺せいすいじ口番所を北西に進むと宮司みやじに至り、その北西の小高い山頂に鎮座する。祭神は大鷦鷯命・菟道稚郎子・宇礼姫・久礼姫。旧県社。この付近は八坂やさか郷と称し、宇佐宮の神領であったが、貞観(八五九―八七七)の頃山城石清水いわしみず八幡宮が分霊鎮座したとき八坂郷は石清水八幡宮の神領となった。だが当時は京都から遠く離れた僻遠の地であり、貢物の輸送にあたっても、海賊の襲撃や領民の乱暴、海路のため暴風雨の被害も受け、思うようにいかなかった。宇多天皇第九皇子敦実親王は途中の安全と神領地の豊作を祈願し、手ずから白檀木に四尊像を彫刻し、延喜一四年(九一四)開眼供養を行い、石清水八幡宮に奉遷した。


若宮八幡社
わかみやはちまんしや

[現在地名]大分市上野町

六坊ろくぼう村の北端に鎮座。祭神は帯中津比古命・品陀和気命・息長帯比売命・大雀命。旧郷社。大友能直が豊後入国後の建久年間(一一九〇―九九)、氏神の鎌倉鶴岡八幡宮の分霊を勧請して祀った七社の随一と伝える。初め古河鶴留(現古ヶ鶴辺りか)に鎮座していたが、度々水害にあい現在地付近に移転したという(雉城雑誌)。永正七年(一五一〇)には大宮司高山直貞が洪鐘を鋳造、同一〇年神殿再営、天文二年(一五三三)大友義鑑社殿を修営した(同書)


若宮八幡社
わかみやはちまんしや

[現在地名]湯布院町川上 乙丸

湯布院盆地の北にそびえる福万ふくま山の稜線が東に延び、その山麓に南面して鎮座。社殿の向かって左側には、宮川みやがわ井路と湯布院町第一水源地がある。祭神は誉田別尊ほか。旧村社。社伝によると、弘仁一四年(八二三)宇佐宮の分霊を奉じて創建したという。天正年間(一五七三―九二)兵火にあい社殿一切は灰燼に帰した。また文禄五年(一五九六)七月一日から当地方では大地震が続き、同七日の夜、風雨とともに椿つばき山が鳴動し、山麓の馬場ばば八川やつかわ両村が崩壊した。


若宮八幡社
わかみやはちまんしや

[現在地名]大田村永松

永松ながまつの中央部に鎮座する。旧郷社。祭神は仁徳天皇・仲哀天皇・神功皇后・応神天皇など一一神。田原たわら庄の総社として信仰され、田原若宮八幡社とよばれていた。社殿内にある室町時代(正長二年銘)の板絵八幡曼荼羅、境内にある国東塔は県指定文化財。国東塔は角閃安山岩、相輪上部を欠失しているが、基礎は三重で、第三重の四面は二区に分ち、それぞれ格狭間が格好よく刻まれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「若宮八幡社」の意味・わかりやすい解説

若宮八幡社
わかみやはちまんしゃ

名古屋市中区栄に鎮座。祭神は仁徳(にんとく)天皇であり、応神(おうじん)天皇の皇子であるところから若宮と称する。加えて応神天皇、武内宿禰(たけのうちのすくね)を祀(まつ)る。文武(もんむ)天皇の御代(みよ)の創建と伝える。室町時代に斯波(しば)氏の崇敬を受け、のち今川氏の兵火にあって焼失。1539年(天文8)再建。1609年(慶長14)名古屋城が築かれた際、現社地に遷座。旧県社。5月16日の若宮祭は名高く、かつては福禄寿(ふくろくじゅ)の山車(だし)が広小路以南各町1年交代で引き出されたが、現在は交通事情などにより中断されている。

[白山芳太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の若宮八幡社の言及

【月ノ岡古墳】より

…福岡県浮羽郡吉井町若宮に所在する前方後円墳。筑後川左岸の沖積平野にあり,若宮八幡社境内に西面して築かれる。全長95m,後円部径50m,前方部幅40mを測り,外周に濠の痕跡を残し,墳丘に各種の形象埴輪の樹立をみる。…

※「若宮八幡社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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