ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蕉門十哲」の意味・わかりやすい解説
蕉門十哲
しょうもんじってつ
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芭蕉(ばしょう)門下の10人の優れた俳人のこと。「哲」はものの道理をわきまえて識見高い人の意。「孔門十哲」(孔子の門下)に倣った言い方。門下の許六(きょりく)の「師の説」(1705。『風俗文選(もんぜん)』所収)に「十哲の門人」の語があり、その後、支考(しこう)はじめ諸家が説いているが、その10人がだれをさすかについては一定しない。青青著『続俳家奇人談』(1832)中の蕪村(ぶそん)筆という賛画に、其角(きかく)、東花坊(とうかぼう)(支考)、許六、去来(きょらい)、嵐雪(らんせつ)、丈草(じょうそう)、野坡(やば)、杉風(さんぷう)、北枝(ほくし)、越人(えつじん)があげられていて、以来この10人をさすことが多い。そのうち其角、嵐雪、去来、丈草は江戸時代の諸書を通じてあげられているが、ほかは、曽良(そら)、嵐蘭(らんらん)、惟然(いぜん)、千那(せんな)、桃隣(とうりん)、凡兆(ぼんちょう)、荷兮(かけい)、曲翠(きょくすい)、正秀(まさひで)、諷竹(ふうちく)、尚白(しょうはく)、洒堂(しゃどう)、乙由(おつゆう)、土芳(とほう)、園女(そのめ)らと入れ替えられていることがある。
[山下一海]
俳人芭蕉の門人のうち,代表的な10人の意。孔門十哲などにならったもの。許六(きよりく)の〈師の説〉に〈十哲の門人〉と見えるが,だれを数えるかは記されていない。その顔ぶれは諸書により異同があるが,1832年(天保3)刊の青々編《続俳家奇人談》に掲げられた蕪村の賛画にある,其角,嵐雪,去来,丈草,許六,杉風(さんぷう),支考,野坡(やば),越人(えつじん),北枝(各項参照)をあげるのがふつうである。
執筆者:石川 八朗
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