転移(医学)(読み)てんい

百科事典マイペディア 「転移(医学)」の意味・わかりやすい解説

転移(医学)【てんい】

悪性腫瘍(しゅよう)細胞病原体などが,原発巣から離れた他の場所へ移行して原発病変と全く同一の変化を起こすこと。一般には悪性腫瘍の転移が大きな問題であり,血流に運ばれる血行性転移,リンパ流に運ばれるリンパ行性転移のほか,胃癌(がん)・腸癌などがその壁を貫いて体腔内に種をまいたように転移(播種という)するものなどがある。転移が起こると治療困難で予後不良のことが多い。
→関連項目がんもどき(医学)上皮内癌補助化学療法

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の転移(医学)の言及

【癌】より

…癌を完全に定義づけることは難しいが,ひとまず次のようにいうことができる。すなわち,〈癌とは,多細胞生物の体の中に生じた異常な細胞が,生体の調和を無視して無制限に増殖し,他方,近隣の組織に浸潤したり他臓器に転移し,臓器不全やさまざまな病的状態をひき起こし,多くの場合生体が死に至る病気〉である。 癌は多細胞生物の病気であって,細菌やアメーバなど単細胞生物には癌はない。…

【結核】より

…最近では初感染発病は減少し,既感染発病が目だっており,また結核のなかでは肺結核が大多数を占めている。結核の広がり方には管内性転移,血行性転移,リンパ行性転移の三つの経路がある(なお転移metastasisとは,病原体や癌細胞などがある場所から離れた別の場所に移行し,そこに原発巣と同じ病変を起こすことをいう)。(1)管内性転移 肺結核の空洞壁の結核菌は気管支を通って肺のほかの場所にいくし,また気管まで出た痰を知らないで飲み込むと,胃を通って腸に達し,腸結核などを起こす。…

※「転移(医学)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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