郡上(市)(読み)ぐじょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「郡上(市)」の意味・わかりやすい解説

郡上(市)
ぐじょう

岐阜県中西部にある市。2004年(平成16)郡上郡の八幡(はちまん)、大和(やまと)、白鳥(しろとり)の3町および高鷲(たかす)、美並(みなみ)、明宝(めいほう)、和良(わら)の4村が合併、市制施行して成立。この地域は奥美濃(おくみの)ともよばれる。総面積は1030.75平方キロメートルと広大で、そのうち90%を山林が占め、可住地は10%に満たない。市域長良川(ながらがわ)が縦断し、川沿いに長良川鉄道、国道156号、東海北陸自動車道が通じるほか、国道158号、256号、472号が通る。縄文弥生(やよい)時代の遺跡や古墳が残る。鎌倉時代から東(とう)氏の支配となり、戦国時代に遠藤盛数(もりかず)(?―1562)が、主君東常堯(とうのつねたか)(?―1583)の居城・赤谷山城を攻め落とすまで続いた。中心地区の八幡町は、1559年(永禄2)盛数が八幡城築城、以後城下町として発展した。関ヶ原の戦いの後、一帯郡上藩となる。廃藩置県により郡上県となり、その後、岐阜県に編入した。農業のほか、林業、工業が盛んである。文化財が多く、八幡町地区の郡上踊、白鳥町長滝の白山長滝神社の延年(えんねん)(長滝の延年)は国の重要無形民俗文化財に、明宝寒水(かのみず)の白山神社の例祭に奉納される「寒水の掛踊」は国の選択無形民俗文化財に指定されている。白鳥町石徹白(いとしろ)は白山の登山口であり、登山口近くの樹齢1800年といわれる大スギ(「石徹白のスギ」)は国指定の特別天然記念物である。長良川の支流の和良川、小間見川などには国指定特別天然記念物のオオサンショウウオが生息し、生息地も国の天然記念物に指定されている。大和町牧の東氏館跡庭園は国指定名勝である。そのほか、白山信仰の解説展示をする白山文化博物館、和歌をテーマとした野外博物館「古今伝授の里フィールドミュージアム」、復元された「郡上八幡城」、円空仏などがみられる「美並ふるさと館」、昔の生活が学べる和倉歴史資料館などの文化施設がある。また、市内には多くのスキー場やキャンプ場がある。人口3万8997(2020)。

[編集部]


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