酒呑童子・酒顛童子・酒天童子(読み)しゅてんどうじ

精選版 日本国語大辞典 の解説

しゅてん‐どうじ【酒呑童子・酒顛童子・酒天童子】

[一] 昔、鬼をよそおって財物、婦女子掠奪した盗賊。丹波国(京都府)大江山と近江国(滋賀県)伊吹山に住む(伊吹童子)ものがいる。大江山のは源頼光とその四天王が勅命を奉じて退治したという。絵巻、御伽草子、草双紙、浄瑠璃、歌舞伎などの題材となった。
※大観本謡曲・大江山(室町末)「わが名を酒呑童子といふ事は、明暮酒を好きたるにより。眷族どもに酒呑童子と呼ばれ候」
[二] お伽草子二三編の一つ。一冊。作者不詳。室町末期成立。大江山の酒呑童子伝説を主題として、源頼光とその四天王による鬼退治を描いたもの。これには大江山を本拠とするものと伊吹山を本拠とするもの(伊吹童子)の二系統がある。後者は大江山酒呑童子の前半生を伊吹山に設定したもので、伊吹彌三郎伝説(「三国伝記」巻六第六話)をふまえたもの。古く絵巻物や奈良絵本の形で流布する。江戸時代の浄瑠璃に同題の作品があるほか、影響作が多い。
[三] 謡曲「大江山」の古名。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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