除名(読み)ジョメイ

デジタル大辞泉 「除名」の意味・読み・例文・類語

じょ‐めい〔ヂヨ‐〕【除名】

[名](スル)
名簿などから、その名前を除き去ること。団体などで、その構成員としての資格を奪うこと。「会費の滞納者を除名する」「除名処分」
古代に定めた付加刑。重罪を犯した官人位階勲等を6年間剝奪した。
[類語]排斥排他排除疎外排撃擯斥ひんせき指弾爪弾き人払い厄介払い仲間外れ村八分締め出す弾き出すロックアウトシャットアウト

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精選版 日本国語大辞典 「除名」の意味・読み・例文・類語

じょ‐めいヂョ‥【除名】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制で、官人が罪を犯したとき、その者を官の籍から除いたこと。位階や勲等を奪い、調・庸や雑徭を課した。
    1. [初出の実例]「准律令。於律雖除名之人六載之後聴叙之文。令内未除名之罪限満以後応叙之式」(出典:続日本紀‐慶雲三年(706)二月庚寅)
    2. [その他の文献]〔唐律‐名例・除名者〕
  3. 名簿から名を除去すること。集団、組織などの構成員である資格を剥奪(はくだつ)すること。〔布令必用新撰字引(1869)〕
    1. [初出の実例]「露国教会はトルストイを除名せり」(出典:火の柱(1904)〈木下尚江〉七)

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改訂新版 世界大百科事典 「除名」の意味・わかりやすい解説

除名 (じょめい)

議会,政党,教会といった組織体が有する制裁手段のひとつであり,規律違反や組織紊乱の理由で,特定の個人やグループからその組織成員としての資格を剝奪することを意味している。多くの組織体は多かれ少なかれ特定の目的と成員の資格要件を明示的,もしくは黙示的に有しているが,先にあげた議会,政党,教会等ではこれがとくに成文化されており,これに違反したと考えられる場合には除名処分が定められていることがある。たとえば日本の国会法は懲罰手段のひとつとして除名を規定し,議院に議員を除名する権限を与えている。とくに政党,党派や宗教団体においては,組織の基本理念と利害とに照らして除名の要件を定めていることが多い。組織内部での規律違反だけでなく,〈異端〉や〈偏向〉が除名処分の対象となることは,各種の宗教運動や政党活動,イデオロギー的組織でよくみられる。しかしこれらの場合,何が異端,偏向であるかを決めるのは組織内の主流派であることが多く,除名は異論派,反対者を組織内部から排除するメカニズムへと転化しがちである。この場合,除名は特定の組織体が一定の理念や利害をこれ以上許容しないことを意味するものにほかならない。また主流派と反対派とが相互に相手を除名しあうことにより,組織体が分裂することもまれに存在する。

 除名がとくに大きな政治的意味をもつのは,イデオロギー的基盤が強固な政治組織,とくに社会主義,共産主義運動や特定のイデオロギーを標榜する一党制国家においてであり,その場合の除名は〈粛清〉とよばれている。1927年のトロツキーロシア共産党からの除名や,1948年のコミンフォルムからのユーゴスラビア共産党の除名などが有名である。
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除名 (じょみょう)

〈じょめい〉ともいう。有位者の位階・勲等すべてを剝奪し,6載,すなわち7年目の後でなければ再び叙位されないとする律の処分。有位者なるがゆえに,とくにその責任を問うて主刑に付加する刑に,除名,免官,免所居官(総称して除免という)があるが,除名がこの中で最も重い。除名に該当する犯罪は,八虐,故殺人,監守内(地位権限を利用した)の姦・盗・略人(人身売買)・受財枉法(収賄しかつ法をまげる),および死罪,五流に相当する犯罪である。除名に処せられた者は,位田,職田,賜田等すべて没収され,庶民と同じく課役を負担するが,歳役は実役の代りに庸を納め,かつ雑徭や兵役を免除される。刑部省や諸国が除免官当を断じた場合は,太政官再審を要し,さらに勅裁を仰ぐが,除名の裁可はとくに論奏式による。除免官当すべき者の位記は,天皇裁可の日,太政官において毀棄し,式部省や兵部省等に保存されている位記の写しにも,〈毀〉字をその上に記す。除名は6載の後,文位は選叙令,勲位は軍防令の規定により再び叙位される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「除名」の意味・わかりやすい解説

除名
じょめい

大宝,養老律の定める有位者に対する付加刑。官人が,士大夫にあるまじき犯罪,たとえば八虐に該当する罪を犯した場合に,歴任の官位勲位をすべて剥奪する刑である。除名者は,6年ののちに,選叙,軍防の両令の規準に従って,先位より数等下の官位勲位を与えられて,官界に復帰した。

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普及版 字通 「除名」の読み・字形・画数・意味

【除名】じよめい

名籍をのぞく。

字通「除」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の除名の言及

【除名】より

…有位者の位階・勲等すべてを剝奪し,6載,すなわち7年目の後でなければ再び叙位されないとする律の処分。有位者なるがゆえに,とくにその責任を問うて主刑に付加する刑に,除名,免官,免所居官(総称して除免という)があるが,除名がこの中で最も重い。除名に該当する犯罪は,八虐,故殺人,監守内(地位権限を利用した)の姦・盗・略人(人身売買)・受財枉法(収賄しかつ法をまげる),および死罪,五流に相当する犯罪である。…

※「除名」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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