(読み)コロ

デジタル大辞泉 「頃」の意味・読み・例文・類語

ころ【頃/比】

あるきまった時期の前後を含めて大まかにさす語。時代。時分ころおい。「子供の―」「その―、会社に戻っていた」「―は元禄一四年」
しおどき。ころあい。ちょうどよい時。「―を見計らって話を切り出した」
おおよその年齢。「年の―は四〇歳ほど」
ある期間。
敷島大和にはあらぬ唐衣―も経ずしてあふよしもがな」〈古今・恋四〉
時節。季節。→ごろ(頃)
「―は正月……十一、二月、すべて折につけつつ、一とせながらをかし」〈・二〉
[用法]ころ・おり・さいせつ――「ころ」は幅のある、ある時を漠然と指す。「もう湯が沸くころだ」「若いころの思い出」は、「おり」「際」「節」では置き換えられない。◇「おり」は「ころ」よりも限定された、ある一つの時、機会を示す。「その後、彼に会うおりがなかなかない」など。また、「当地にお出かけのおりにはぜひお立ち寄りください」は、「出かける」が相手の主体的行動であるところから、「際」で置き換えられる。◇「際」は何かを行う時、何かを処理する時を、「おり」をさらに限定して示す。したがって明確な行動を示す場合が多い。「出かける際には鍵をかける」「この際、すべてをかたづけてしまおう」などに「おり」「ころ」は用いない。◇「節」は元来節季を表すので、時を細かく限定するよりも大まかに漠然とした期間を示す。比較的古風で、改まった言い方なので使われる場面も限られ、決まり文句が多い。「この節は物価が高くて困ります」「その節にはいろいろお世話になりました」「おめもじの節はよろしく」など。
[類語]時期時分時間時刻刻限時点頃合ころあ頃おい

けい【頃】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケイ(漢) [訓]ころ このごろ しばらく
〈ケイ〉
このごろ。「頃日
しばらく。「頃刻少頃
田の面積単位。百畝。「万頃ばんけい
〈ころ(ごろ)〉「今頃年頃日頃
難読頃比ころおい

ごろ【頃/比】

[接尾]名詞「ころ(頃)」から》
時を表す語に付いて、その前後を漠然と示す。「三時―行く」「六月―開店する」「一九〇〇年―」
動詞の連用形に付いて、そうするのにふさわしい時期・状態である意を表す。「花は今が見―だ」「食べ―の西瓜すいか
名詞に付いて、その点でちょうどよい、の意を表す。「値―の品」「手―の棒」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「頃」の意味・読み・例文・類語

ころ【頃・比】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある時をおおよそに限定してさす語。その時のあたり。時分。ころおい。
    1. [初出の実例]「秋萩を散らす長雨の降る比(ころ)は独り起き居て恋ふる夜そ多き」(出典:万葉集(8C後)一〇・二二六二)
  3. 特に現在を強調していう。動詞に接して、「今は…する」の意で詠嘆的に用いる。
    1. [初出の実例]「春日野の山辺の道をおそりなく通ひし君が見えぬ許呂(コロ)かも」(出典:万葉集(8C後)四・五一八)
  4. 時節。季節。おり。
    1. [初出の実例]「頃は、正月、三月、四月、五月、七八九月、十一二月、すべてをりにつけつつ、一とせながらをかし」(出典:枕草子(10C終)二)
  5. かなり長い一定の期間。多く、「年頃」「日頃」などと熟して用いられる。
    1. [初出の実例]「敷島のやまとにはあらぬ唐衣ころもへずしてあふよしも哉〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋四・六九七)
  6. 適当な時。ころあい。しおどき。
    1. [初出の実例]「花の見頃は矢張五月の始頃で、甲武線では丁度頃(コロ)を計って、各方面から臨時電車を増発して居るが」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉五月暦)
  7. 適切な大きさ。適当な程度。また、おおよそのところ。
    1. [初出の実例]「まだ、ころの御徳なきやうなれど、おのづから、やむごとなき、人の御けはひのありげなるやう」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)

ごろ【頃】

  1. 〘 造語要素 〙
  2. その時分。そのほどの時分。ほどあい。「年ごろ」「このごろ」「なかごろ」など。→ころ
  3. それが最もよい状態にある時期。「食べごろ」「見ごろ」など。→ころ
  4. 適切な大きさ。適当な程度。おおよそのところ。→ころ
    1. [初出の実例]「山脈のまんなかごろのこんもりした小山の中腹に」(出典:魚服記(1933)〈太宰治〉一)

けい【頃】

  1. 〘 名詞 〙 中国の地積の単位。時代によって多少の相違があるが、ふつう百畝(ほ)をいう。約六七〇アール。
    1. [初出の実例]「北望則有湖、約計一百頃、東西狭、南北長」(出典:性霊集‐二(835頃)沙門勝道上補陀洛山碑)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐五行志一〕

頃の補助注記

日本書紀」等に、地積の単位として「頃」字が用いられた例があるが、「シロ」という古訓が示すように、これらは町段歩制が行なわれる以前の日本における地積単位「しろ(代)」のあて字である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【代田法】より

…華北とくに河東,弘農,三輔の地,および居延その他の辺境が対象となった。その内容は,戸1頃(1頃は4.5ha)を基準にした5戸に政府で製作した犂をもって耕作させる方法。犂は2本の犂先を持ち,2牛3人で作業する大型のもので,この犂で田に1尺間隔に深さ1尺,幅1尺の甽(みぞ)と,幅1尺,高さ1尺の畝(うね)を交互に作り,甽中に播種し苗が3葉を出すころから苗の生長に従って畝の土を甽に落としてゆく。…

【代】より

…〈頃〉とも書く。日本の古代・中世において用いられた土地面積の単位。…

※「頃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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