強飯(こわめし)(読み)こわめし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「強飯(こわめし)」の意味・わかりやすい解説

強飯(こわめし)
こわめし

おこわ、強飯(こわいい)ともいう。江戸時代までは米を蒸して飯にしたものを強飯といい、水を加えて柔らかく煮たもの、すなわち炊(かし)ぎ飯を弱飯(ひめ)または姫飯(ひめいい)といっていた。炊飯が一般化するようになってからは、これをご飯(はん)または飯(めし)といい、反対糯米(もちごめ)を蒸したものを強飯またはおこわというようになった。米を蒸すのが通常の加熱法であった時代には、糯米でも粳米(うるちまい)でも強飯といったが、炊く方法が一般的になってからは蒸したものだけを強飯というようになり、さらに糯米を蒸さずに炊いたものを炊きおこわといっている。江戸中期の『貞丈雑記(ていじょうざっき)』に、強飯というのは白強飯で、赤飯は赤小豆(あずき)を混ぜた強飯、とある。江戸後期の『萩原随筆(はぎわらずいひつ)』には、京都では吉事に白強飯、凶事に赤飯を用いるのが民間の習慣で、江戸は4月から8月まで白強飯、9月から3月は赤飯を用いる、とある。現在では反対になり、吉事に赤飯、凶事には黒大豆を混ぜたり白強飯を用いるようになった。米粽(ちまき)は、ササの葉に糯米を包んで蒸してつくる強飯の粽である。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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