(読み)キョウ

デジタル大辞泉 「強」の意味・読み・例文・類語

きょう【強】[漢字項目]

[音]キョウ(キャウ)(漢) ゴウガウ)(呉) [訓]つよい つよまる つよめる しいる こわい つとめる しいて したたか あながち
学習漢字]2年
〈キョウ〉
力や勢いがある。固く丈夫だ。つよい。「強化強健強豪強者強弱強靭きょうじん強打強大強敵強風強力頑強屈強
強い者。「列強弱肉強食
強くする。つよめる。「強調強心剤増強補強富国強兵
無理に押しつける。しいる。しいて。「強行強制強弁強要牽強けんきょう
無理につとめる。「勉強
〈ゴウ〉
つよい。「強弓強欲強力ごうりき
無理に押しつける。「強引強姦ごうかん強訴強奪強盗
〈つよ〉「強気強腰強火
〈こわ〉「強飯こわいい強飯こわめし強談判
[名のり]あつ・かつ・こわ・すね・たけ・つとむ・つよ・つよし
難読強持こわも強請ねだ強請ゆすり

きょう〔キヤウ〕【強】

[名]強いこと。また、強いもの。⇔
「―は弱を圧し、小は大の食となるは」〈逍遥当世書生気質
[接尾]数量を表す語に付いて、実際はその数よりも少し多いことを表す。数の端数を切り捨てたときに用いる。「5キロ」「9割」⇔

ごう【強/郷】[漢字項目]

〈強〉⇒きょう
〈郷〉⇒きょう

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精選版 日本国語大辞典 「強」の意味・読み・例文・類語

あながち【強】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. 周囲や相手にかまわず、ひたすら自分の意志を通そうとするさま。
      1. (イ) 強引なさま。むりやりなさま。
        1. [初出の実例]「汝(いまし)が欲(ほっ)せざらむを、豈(あに)(アナガチニ)(また)せむや」(出典:日本書紀(720)景行四〇年七月(北野本訓))
        2. 「あながちに、かかづらひたどりよらむも、人悪かるべく、まめやかにめざまし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
      2. (ロ) 一途(いちず)なさま。ひたむきなさま。
        1. [初出の実例]「あながちに心ざしを見えありく」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
        2. 「たちまちの我心のみだれに任せて、あながちなる心をつかひてのち」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
      3. (ハ) 身勝手なさま。いい気なさま。
        1. [初出の実例]「物語などして、うちゑみ給へるが、いとゆゆしう美しきに、我身ながら、これに似たらむは、いみじういたはしうおぼえ給ふぞ、あながちなるや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
      4. (ニ) 頑強なさま。頑固なさま。
        1. [初出の実例]「あながちならん関守を破らんも、なほ煩はしくおぼへ給へば」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
      5. (ホ) 欲が深いさま。貪欲なさま。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    2. 異常なほどきわだっているさま。非常に。
      1. [初出の実例]「説経などはいとよし。罪うしなふことなれば。それだになほあながちなるさまにては見ぐるしきに」(出典:枕草子(10C終)二三七)
    3. ( 下に打消を伴って ) 一概に。むやみに。
      1. [初出の実例]「これはさきの斎宮と聞えさすれば、あながちに恐しかるべき事にもあらねど」(出典:栄花物語(1028‐92頃)玉の村菊)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 下に打消を伴って ) 一概には。必ずしも。
    1. [初出の実例]「名を得たる人は、あながち明歌にあらずはよみだにまさりてははばかるまじき也」(出典:静嘉堂文庫本和歌九品(1009頃か))
    2. 「此様な時には涙などもあながち出るとも決って居ず」(出典:武蔵野(1887)〈山田美妙〉下)

強の語誌

「しいて(強)」が相手の意志にさからって事を進める意で、古代の和歌や散文に用いられているのに対して、「あながち」は自己の内部の衝動によっていちずに動く意。「源氏物語」に多出するが、他にはあまり使われない。


きょうキャウ【強】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. つよいこと。また、そのもの。⇔
      1. [初出の実例]「一回条約を結ぶ時は大も小を兼ぬる能はず、強(キャウ)も弱を凌ぐ能はず」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉八)
      2. [その他の文献]〔中庸〕
    2. ( 古く、中国で、気力強く物に惑わないで仕官に適する年齢としたところから ) 四〇歳の異称。
      1. [初出の実例]「凡そ人の幼といひ、弱といひ、壮といひ、強といひ〈略〉耄といふ、其称同じからねど、ただその年の積れるにて」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)下)
      2. [その他の文献]〔礼記‐曲礼上〕
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ある数の端数を切り捨てたとき、示す数よりは少しあまりがあることを示すために数字のあとに付けて用いる。⇔
    1. [初出の実例]「春水纔高数尺強〈略〉強は数尺あまりと云心ぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)
    2. [その他の文献]〔古楽府‐木蘭辞〕

つより【強】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「つよる(強)」の連用形名詞化 ) 頼りになるもの。頼り。
    1. [初出の実例]「母宮をだに動きなき様にし置き奉りて、つよりにと思すになむありける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)

こわこは【強】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 形容詞「こわい」の語幹 ) 名詞、またはこれに準ずる語の上に付いて、つよい、かたい、きびしい、おそろしい、などの意を表わす。「こわめし」「こわもて」など。〔名語記(1275)〕

つよめ【強】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「つよめる(強)」の連用形の名詞化 ) 強くすること。「意味の強め」

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普及版 字通 「強」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(異体字)
12画

[字音] キョウ(キャウ)・ゴウ(ガウ)
[字訓] つよい・しいて

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
弘(こう)+虫。弘は弓弦を外している形。厶(し)はその外れている糸。虫はおそらく天蚕(てぐす)から抽出したもので、他の弓弦よりも強力であることを示す。〔説文〕十三上に「(あぶ)なり」とし、弘声とするが、それは「強」の名によって強を解するもので、弘は意符とみるべきである。金文の字形は彊に作り、疆(きよう)の意に用い、境界をいう。強弱とは別義の字。強は弓弦の強であることを示し、それより強力・強健・勉強の意となる。

[訓義]
1. つよい、弓弦に力のあること。
2. 力があること、すこやか、さかん、大きい。
3. かたい、こわばる。
4. かたくな、もとる、むり、つとめる、しいて。
5. 四十歳を強という。
6. あまる、多い。

[古辞書の訓]
名義抄〕強 コハシ・コハシウス・ツヨシ・ツトム・ナマジヒ・ハカリ・ススム・アマレリ・スツ・ナマジ・アナガチニ・シフ・アツシ・サカヒ・カギリ/勉強 ツトメ・ツトム/木強 キコハシ

[声系]
〔説文〕に強声として襁・を収める。襁は襁(きようほ)(むつき)。は索(なわ)、また負の意。は勉強の字である。

[語系]
強・彊giang、(健)gian、勍gyang、剛kang、勁kieng、堅kyenは声近く、みな強健の意がある。

[熟語]
強飲・強韻・強援・強押・強横・強・強学・強悍・強諫・強幹・強顔・強頑・強記・強起・強毅・強急・強禦・強圉・強劫・強勁・強健・強牽・強亢・強行・強梗・強項・強合・強国・強策・強仕・強志・強恣・強市・強死・強識・強辞・強者・強弱・強取・強手・強酒・強寿・強恕・強笑・強臣・強親・強人・強・強酔・強盛・強制・強勢・強請・強僭・強宗・強大・強貪・強致・強直・強丁・強敵・強弩・強忍・強迫・強半・強飯・強筆・強・強夫・強負・強愎・強兵・強弁・強勉・強・強暴・強覧・強立・強陵・強梁・強力・強戻・強引・強盗
[下接語]
外強・幹強・頑強・驍強・屈強・倔強・健強・牽強・堅強・康強・項強・剛強・豪強・自強・崇強・盛強・精強・宗強・増強・貪強・半強・富強・兵強・勉強・補強・暴強・木強・雄強・抑強・隆強・列強

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