ナイフ(読み)ないふ(その他表記)knife

翻訳|knife

デジタル大辞泉 「ナイフ」の意味・読み・例文・類語

ナイフ(knife)

洋式の小刀。「飛び出しナイフ」「ペティナイフ
特に、洋食の際に食卓で用いる小刀。「ステーキナイフ
[補説]書名別項。→ナイフ
[類語]カッターナイフカスタムナイフアーミーナイフシースナイフジャックナイフサバイバルナイフバタフライナイフフォールディングナイフブッシュナイフペーパーナイフペンナイフポケットナイフ飛び出しナイフスキナー切り出し彫刻刀肥後守ひごのかみ小刀剃刀安全剃刀電気剃刀シェーバーカービングナイフ果物ナイフグレープフルーツナイフステーキナイフチーズナイフテーブルナイフデザートナイフバターナイフフィッシュナイフブレッドナイフペティナイフ

ナイフ[書名]

重松清の短編小説。いじめをテーマとする。同作を表題作とする短編集は平成9年(1997)刊行。平成10年(1998)、第14回坪田譲治文学賞受賞。

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精選版 日本国語大辞典 「ナイフ」の意味・読み・例文・類語

ナイフ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] knife ) 物を切ったり削ったりするために用いる、小形の、柄のついた刃物の総称。ジャックナイフ、食卓用ナイフ、果物ナイフなど多種ある。
    1. [初出の実例]「食事の器物拾七人前、〈略〉『ナイフ』拾七本 小刀の類也」(出典:栄力丸漂流記談(1856)一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナイフ」の意味・わかりやすい解説

ナイフ
ないふ
knife

刃物で、主として料理や食事に使用するものをナイフという。とくに片刃のもののみをナイフということが多い。

河野友美

歴史

ナイフは非常に古いもので、ヒトが原始社会をつくって生活していた時代からすでに使用されていた。石器時代に石でつくったナイフが発掘されているから、ナイフは人類の出現とともにあったたいせつな用具であるということができる。初めのナイフは、堅い石を割ったものであったが、やがてこれが発展し、人工的に刃をとがらせたものになった。こうしたものが原始社会からあったのは、肉類などを裂くとか、あるいはすこし大きな芋や果実などを割ったり切ったりするのに、ぜひ必要であったからである。もちろん、防御や戦いに必要なものでもあり、武器としても必需品であったためと思われる。その後、金属製のものができ、最初は青銅のものが使われたが、やがて鉄が利用できるようになると、鉄製のナイフが用いられるようになった。

 ローマ時代には、料理の発展とともに料理用のナイフができ、さらに17世紀なかばになって、食事が手づかみから、ナイフ、フォークといった食器を使うようになると、装飾的なものとともに、実用的なナイフが用いられるようになった。ただし、ナイフと包丁の区別は日本でははっきりしているが、ヨーロッパでは、ローストしてそのまま食卓に出した鶏(とり)や子羊などの料理があり、こういったものを処理するのに包丁状のものが必要であったためか、判然と区別できないものも多い。たとえば小形の調理用包丁はペティナイフとよばれるなど、そのよい例である。

[河野友美]

種類

ナイフには各種の目的によって、調理あるいは食卓用だけでなく、その他に使用するものもある。たとえば、ペーパーナイフのように紙を切る目的のものもある。また、携帯して野外で木を切ったり、枝を払ったりするものもある。しかし、一般には調理用と食卓用が主である。

 調理用ナイフは一般に、ペティナイフ以外は日本では包丁として分類されているから、ここでは取り上げない。食卓用ナイフは、肉用ナイフ、果物ナイフ、バターナイフ、チーズナイフ、魚用ナイフ、グレープフルーツ用ナイフなどがある。肉用のナイフは鋭い刃のついたものが多く、近年はぎざぎざのついているものもある。魚用のナイフは先の丸くなったものが多く、とくに柄(え)に飾りのついて膨らみをもったものがよく使われている。また、ソースがすくいやすいように、面積を大きくとり、ナイフをスプーン型にしたような形のものもある。もちろん湾曲はなく、平らであり、ケーキサーバーに似た形である。

 果物ナイフは一般に小形のもので、目的により皮をむきやすくしたものや、実を切りやすくしたものなどがある。また、果物の場合ナイフを各自が使用するのではなく、あらかじめ処理した果物を供することも多い。グレープフルーツナイフは果物ナイフの一種であるが、非常に特殊な形態をしている。これは、グレープフルーツは半分に切り、スプーンで果肉をすくって食べることが多いが、このとき皮に近いほうの袋と実が外れにくいため、薄くて先の曲がったナイフで、周辺の果肉と内皮を切り離すために使用するものである。チーズナイフは、チーズによってはかなり粘性をもっているものが多く、切れ味のよい、先のとがったものや、先が二またに分かれ、切りとったチーズを刺して取り出しやすいようにしたもの、波形にして、プロセスチーズなどの形をきれいに切れるように、くふうされたものなどもみられる。バターナイフは、バターをパンにつけるときなどに延ばしやすいように、一方の端を丸く、もう一方の端を直線状にするとともに、先にとがりをつけ、バターを、皿に盛ったものから取り出しやすいようにするなどのくふうがされている小形のナイフである。刃は鋭くない。

[河野友美]

材質

ナイフの材質は、現在使用されているものは、多くがステンレスや、真鍮(しんちゅう)のクロムめっきしたもの、銀めっきのもので、軽便なものとしては、アルミやプラスチックなどを使用したものもある。また、木や骨でつくったものもあり、装飾的には銀でつくられたものもある。しかし実用上、銀のナイフは手入れに手間がかかり、保管にも黒変させないよう注意が必要で、特殊な用途の場合にしか使われない。

 陶器のものもあり、最近ではファイン・セラミックスでもナイフがつくられている。そのほか、菓子類に餡(あん)などを詰めるナイフなど、特殊な加工をするときに用いるものなど、特殊用途のものも種類多く存在する。

[河野友美]

その他のナイフ

携帯用として、(1)ハンティング・ナイフ、(2)ポケット・ナイフがある。(1)は刃が厚く先がとがっており、革製の鞘(さや)に入れ腰に下げる。用途は狩猟・登山。(2)は折り畳み式で、刃1丁だけか、錐(きり)などのついた小形のものと、鋏(はさみ)・鋸(のこぎり)などの入った大形の登山用ナイフがある。日本では工作用に片刃の切り出しナイフがよく使われたが、現在ではカッターが使われるようになり、あまり使われなくなった。また、鉛筆削り用の小形のナイフもあるが、これも自動の鉛筆削り器などの普及で、ほとんど姿を消している。

[河野友美]

『井上武・相田義人監修『ナイフの本』(1982・双葉社)』『織本篤資著『ナイフ学入門』(1993・並木書房)』『織本篤資著『和式ナイフの世界――火・鋼・技が生む切れ味の秘密』(1994・並木書房)』『黒田孝弘著『ナイフ・ユーザーズ・バイブル――選び方、使い方からメンテナンスまで』(1995・朝日ソノラマ)』『『ナイフ・メイキング読本――最古の道具、ナイフを自分の手で作る』(2004・ワールドフォトプレス)』『成美堂出版編集部編『日本と世界のナイフカタログ 2006』(2005・成美堂出版)』


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改訂新版 世界大百科事典 「ナイフ」の意味・わかりやすい解説

ナイフ
knife

ものの切断に用いる1枚刃(片刃)の刃物。短刀,刀子(とうす),小刀,切出し,包丁などを指し,両刃のものは短剣と呼びならわしている。人類にとって最も古く,最も代表的な利器であり,旧石器時代にはフリントや黒曜石を鋭く打ち欠いたものがナイフの役割を果たし,外敵から身を守るための武器として,あるいは獲物の解体,調理の用具として用いられた。後期旧石器時代には手に持ちやすいように片側を刃つぶししたナイフ型の石器がつくられ,新石器時代に属するエジプトのファイユーム遺跡からは,現在のナイフの形に近いものが出土している。前4千年紀にはメソポタミアで銅製のナイフがつくられ,前3500年ころからは青銅器となり,ギリシアを経てヨーロッパ各地に広まった。前2500年ころに鉄器が現れたが,鉄を加工して鋼(はがね)とする技術が生まれたのは前1500年ころで,これによって鋭利で耐久力のある刃物が可能になった。現在,刃物の生産地として知られるのは,ドイツのゾーリンゲン,フランスのティエール,イギリスのシェフィールドである。日本では鍛冶の伝統のある岐阜県関の職人福地広右衛門が1880年にドイツ製のポケットナイフを手本としてつくったものが最初の洋式ナイフという。これをきっかけに関ではかみそり,はさみなどの生産が始まり,現在は輸出も多い。ただし,洋食器のナイフやスプーンは新潟県燕市が生産額1位である。
刃物

またナイフを用途によって大別すると,多目的ナイフ,武器専用ナイフ,道具としてのナイフの3種になる。古代のナイフは儀礼用など特殊な例を除くと,武器と道具を兼ねていた。大きさはいろいろあるが,いずれも刃は鋭かった。その後も兵士や探検家にとって多目的ナイフは必需品であり,現代の宇宙飛行士も携行している。武器としてのナイフは,西洋では両刃のものが多く剣と呼ばれ,日本では片刃の刀が多い。17世紀のイタリア,フランスではスティレットstilettoを一般市民も持ち歩いたといい,その先端は鉄のよろいを貫通するほど鋭利だったという。また,左手に持ち相手の剣を受け止めるレフトハンドダガーなどもあった(刀剣)。道具としてのナイフは,ペーパーナイフやパレットナイフ,皮革細工用の半円形ナイフなど,機能,形態とも多様である。

 ナイフは刃の部分の収納方法によって,さやに入れるシースナイフsheath knifeと折りたたみ式ナイフclasp knife(folding knife)に分けることもある。

 次に代表的なナイフについて紹介する。(1)ポケットナイフ 小型折りたたみ式で紀元1世紀のローマで使われていたが,16世紀後半にはばね仕掛けで開くものもつくられた。コルク抜きやはさみのついたものもある。(2)ペンナイフ 元来は鵞ペンを削るためのものでさや入りだったが,のちに折りたたみ式になり,ポケットナイフの代名詞的存在となった。(3)ジャックナイフ 語源は不詳であるが,18世紀ころから船乗りたちが愛用した大型の折りたたみ式ナイフ。(4)バーローナイフbarlow 19世紀にアメリカで大量生産されたジャックナイフの一種で,〈トム・ソーヤー物語〉にも登場。(5)肥後守 肥後守の文字が持ち手に彫ってある安価なポケットナイフ。熊本県の川尻が発祥地といわれ,日本の代表的工作ナイフ。(6)ボーウィーナイフbowie knife 19世紀前半アメリカで考案されたさや入りナイフ。切れ味に定評があり,開拓者たちに欠かせないものだった。(7)カッティングナイフ 主として先端の部分を利用して紙などを切りぬいたりするナイフの総称。帯状の刃を順次折りとって部分的に使い捨てていく方式のナイフは日本で1959年に考案され,カッターナイフと通称されている。

食卓の料理を切り分けるための大型ナイフは古代ローマ時代にも使われ,現在も飾りのついたカービングナイフを用いて客の前で七面鳥を切ったりするが,かつてはめいめいが指先でつまんで食べていた。中世の人びとはつねにナイフを携帯し,食事の際もこれを使って切ったり,刺したりした。この習慣は農村部では19世紀まで続いたが,17世紀以降フォークが普及しはじめると,食事用のナイフは先端の丸いものになった。19世紀中ごろにはイギリス,フランスを中心に食事作法が細かく決められるようになり,一皿ごとにナイフを代えるなど食卓のナイフ(広い意味でのテーブルナイフ)の種類はきわめて多くなった。すなわち,肉料理用のテーブルナイフ,魚料理用のフィッシュナイフ,バターナイフ,チーズナイフ,デザートナイフ,フルーツナイフなどが用意されたが,最近は兼用が増える傾向にある。
フォーク
執筆者:

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食器・調理器具がわかる辞典 「ナイフ」の解説

ナイフ【knife】

洋風の小型の刃物。特に、料理や食事に用いるもの。食卓ではフォークと対で用い、ミートナイフ・フィッシュナイフ・フルーツナイフなどがある。

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デジタル大辞泉プラス 「ナイフ」の解説

ナイフ

重松清による小説。1997年刊行。1998年、坪田譲治文学賞受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のナイフの言及

【メス】より

…主として外科領域の切開に用いられる。メスはオランダ語がそのまま日本語に定着した言葉で,英語ではscalpelまたはknife,ドイツ語ではMesserである。刃の大きさと形状にはさまざまな種類があり,使用する個所により使い分ける。…

【食事】より

… 銘々膳が普及し,すべての食物をあらかじめ盛り分けて,膳の上に並べて供するという食事における食物の配給制が徹底したことが,日本の伝統的食べかたの特徴であり,それにともなって家族においても,誰の使用する食器かが区別され,食器の個人専用化がいちじるしい。 ナイフ,フォーク,スプーンを使用して食事をする風習が,ヨーロッパで普及するのは18世紀以後のことである。古代から,肉を切り分けるためのテーブルナイフは存在したが,1本のナイフで切り分けたのちには手づかみで食べた。…

【刀子】より

…現在の用語でいえば〈こがたな〉であり,〈ナイフ〉である。《日本書紀》垂仁紀には〈刀子〉とも〈小刀〉とも混用しているのを,どちらも〈かたな〉と読んでいる。…

※「ナイフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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