フィリップ(3世)(読み)ふぃりっぷ(英語表記)Philippe Ⅲ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィリップ(3世)」の意味・わかりやすい解説

フィリップ(3世)
ふぃりっぷ
Philippe Ⅲ
(1245―1285)

カペー朝第10代のフランス王(在位1270~85)。ルイ9世の子。大胆王le Hardiのあだ名があるが、実際には性格が弱く、廷臣たちの影響を受けやすかった。叔父シチリア王を兼ねるアンジュー家シャルルの対外政策を支持したが、シチリアの晩鐘事件(1282)でフランス兵が虐殺され、アンジュー家のシチリア支配が瓦解(がかい)してからは、彼がアラゴン十字軍の主役となり、アラゴン王ペドロ3世と戦うことになった。しかしカタルーニャでの戦いは、シチリアにもましてフランス側の惨敗に終わり、また疫病が軍隊内に流行して、王自身も1285年10月、ピレネー山麓(さんろく)のペルピニャンにおいてその犠牲となって没した。

[井上泰男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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