プランク(ヨーロッパ宇宙機関の科学衛星)(読み)ぷらんく(英語表記)Planck

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

プランク(ヨーロッパ宇宙機関の科学衛星)
ぷらんく
Planck

ESA(イーサ)(ヨーロッパ宇宙機関)が、2009年5月にハーシェル宇宙望遠鏡とともに、アリアン5ロケットで打ち上げた宇宙背景放射を観測する衛星。プランクは、ビッグ・バンの名残(なごり)である宇宙マイクロ波背景放射の「温度のゆらぎ」を高い感度と角分解能、広い周波数帯域で全天をくまなく観測する。温度のゆらぎを精密に調べることにより、宇宙の年齢や組成、進化の歴史を推定することができる。軌道は、地球や月からの放射の影響を避けるために、地球から約150万キロメートル離れた太陽の反対方向にあるラグランジュ点(L2)付近に投入された。L2にあれば、衛星から見た場合、太陽・地球・月が常に同じ場所に見えるので、それらすべてからの光や放射をまとめて遮断できる。プランクは、L2の位置に固定されるのではなく、L2から平均約40万キロメートル離れたリサジュー軌道に投入された。

 衛星の大きさは高さ約4.2メートル、幅約4.2メートルで円筒形の台座の上に望遠鏡を設置している。打上げ時の質量は約1900キログラム、望遠鏡の主鏡は長辺約1.9メートル、短辺約1.5メートルの楕円(だえん)鏡である。望遠鏡の一部は雑音を低減するため0.1ケルビン(-273.15℃)の極低温に冷やされ、低周波数観測装置LFI(波長3.9ミリメートルから11.1ミリメートルを観測)と、高周波数観測装置HFI(波長0.3ミリメートルから3.6ミリメートルを観測)により全天のマイクロ波放射を観測する。プランクは全天走査で銀河団30個を含む新たな天体1万5000個を発見した。2013年3月には全天の宇宙背景放射マップが公開され、宇宙の年齢がこれまで発表されていた約137億歳よりやや古い約138億歳であることが確認された。また、宇宙マイクロ波背景放射を手がかりに、「宇宙の地図」も作成された。それを眺めれば、初期の宇宙は一様なものではなく、物質が宇宙全体にわたってどのように分布しているかがわかる。宇宙の膨張率は、これまで研究されてきたモデルに比べて若干遅めであることが観測結果からわかった。プランクはHFIとLFIの双方の観測装置を使っての全天サーベイを5回実施し、2013年10月に観測運用を終了した。

 プランクの名称はドイツの理論物理学者マックス・プランクに由来する。

[森山 隆 2017年4月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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