埼玉県秩父市の旧大滝村,荒川上流域にある秩父山地中の山。古くは妙法ヶ岳(1329m),白岩山(1921m),雲取山(2017m)の3峰を三峰と称し,近世における山岳修験の聖地であったが,現在は三峰神社のある標高1112mの山のみを三峰山と呼ぶようになっている。秩父古生層の砂岩やケツ岩からなり,全山が杉,ヒノキの古木におおわれている。秩父多摩国立公園に含まれ,みやげ物店が並ぶ山麓の大輪からロープウェー(2007年廃止)が神社まで通じる。付近にある荒川の二瀬ダムのダム湖(秩父湖)は三峰観光の基点で,湖畔から三峰観光有料道路(全長6110m。現在は無料開放)が通じている。また,地蔵峠を経て雲取小屋に至る縦走路は秩父登山の人気のあるコースである。
執筆者:徳久 球雄
三峰神社は伊弉諾(いざなき)尊と伊弉冉(いざなみ)尊の2神をまつる。旧県社。妙法ヶ岳に奥社を置く。中世以後修験道場となり,1533年(天文2)には聖護院宮から三峰大権現の神号を授けられ,別当寺を観音院高雲寺と称した。三峰信仰が普及するのは江戸中期以降であるが,山犬(狼)を権現の眷属神とする火難・盗難の除災神の性格をもち,〈御犬〉の札を門戸にはれば難を免れるとして広く信仰された。講も組織されたが,江戸市中の人々からは山深い秩父の自然環境に負うこともあって一種の異郷として畏敬された。しかし,御岳山や大山にみるような御師(おし)の制度は発達しなかった。
武州の代官伊奈氏の崇敬が厚く,壮麗な社殿が造営され,また高雲寺は一時聖護院江戸役所と氷川大乗院の後見役を務めるなど,江戸期を通じて本山派修験のなかでとりわけ重要な地位を占め続けた。
執筆者:宮本 袈裟雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大滝村の東部にある標高一一〇二メートルの山。秩父多摩国立公園に属し、秩父湖南東岸に位置する。山頂付近には三峰神社があり、関東一円から多くの参詣者を集め、信仰の山として知られる。奥秩父縦走コースの起点であり、
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
埼玉県西部、秩父市(ちちぶし)大滝(おおたき)地区にある山。標高1100メートル。古くは妙法ヶ岳、白岩(しらいわ)山、雲取(くもとり)山の3山を三峰とよんでいたが、現在は三峯神社付近の山をさす。同社は伊邪那岐神(いざなぎのかみ)・伊邪那美神(いざなみのかみ)を祀(まつ)り、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の途中この山で両神を祀ったのに始まるという。江戸時代以来、火難・盗難除(よ)けの信仰を集め、山頂の宿坊はにぎわい、大宿坊のほか郵便局、土産(みやげ)物屋などが集まる門前町を形成し、200メートルほど低い斜面には三峰集落がある。三峰観光道路によって、二瀬(ふたせ)ダム方面から車で神社前まで達することができる。
[中山正民]
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…奈良・三重県境中北部を東西に走る山地で,宇陀山地ともいう。主峰高見山(1249m)や三峰(みうね)山(1236m)など標高1000m級の峰が連なる。山地の南麓は断層地形を呈し,西南日本を内帯と外帯とに分ける中央構造線が通り,その構造谷を東へ櫛田川,西へ吉野川(紀ノ川)が流れる。…
…東京都の水源林で,多摩川支流日原(につぱら)川,荒川の水源をなし,東・北面は原生林,南・西面は草生地となっている。北につづく白岩山(1921m),妙法ヶ岳(1332m)の2峰とあわせて三峰山ともよばれ,妙法ヶ岳の北にある三峰神社の信仰対象であり,修験の山であった。秩父多摩国立公園に含まれ,三峰神社から雲取山をへて奥多摩町氷川に通ずるコースはとくに登山者が多い。…
※「三峰山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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