(読み)ヨ

デジタル大辞泉 「予」の意味・読み・例文・類語

よ【予〔豫〕】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]あらかじめ かねて われ
学習漢字]3年
あらかじめ。前もって。「予価予感予言予告予算予選予想予測予断予知予定予備予防予約
心がゆったりする。心地よくなる。「不予
ぐずぐずする。「猶予
伊予いよ国。「予讃・予州
われ。自分。「予輩
[補説]本来14は「豫」、5は「予」で別字
[名のり]たのし・まさ・やす・やすし

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精選版 日本国語大辞典 「予」の意味・読み・例文・類語

あらかじめ【予】

  1. 〘 副詞 〙
  2. 前々から。前もって。かねて。
    1. [初出の実例]「時に大鷦鷯尊、預(アラカシメ)天皇の色(みおもへり)を察(さと)りて」(出典:日本書紀(720)応神四〇年正月(北野本訓))
    2. 「筑紫船いまだも来ねば予(あらかじめ)(あら)ぶる君を見るが悲しさ」(出典:万葉集(8C後)四・五五六)
    3. 「予め其人柄を当てにして世上一般より望を掛らるる人を称して」(出典:学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉一七)
  3. 物事のだいたいのところは。おおよそ。
    1. [初出の実例]「芋畑だの野猪だのと言ふ噺しまで大概(アラカジメ)聞やして」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)三)

予の語誌

平安時代においては漢文訓読文に用いられ、和文にはほぼ同義の「かねて(より)」が用いられた。現代語では、「あらかじめ」はある事の始まる前に対処する意で時制にかかわりなく用いられるのに対し、「かねて」は過去のある時からその事を意識して現在にまで及ぶ意で過去のことにしか用いることができない。古典語では「かねて」にこのような制限はない。→かねて


よ【予】

  1. 〘 名詞 〙 易の六十四卦一つ、上卦は震(雷)、下卦は坤(地)。雷地予ともいう。「予」はよろこぶ意。上にある者が動いてことを行ない、下民がこれに悦び従うさま。

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普及版 字通 「予」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

(旧字)豫
16画

[字音]
[字訓] たのしむ・よろこぶ・あらかじめ・かねて

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は豫に作り、予(よ)声。〔説文〕九下に「象の大なるなり。賈侍中(逵)のに、物にあらず」とするが、両義ともその用例はない。〔書、顧命〕に「王、豫(たの)しまず」、〔孟子、梁恵王下〕に「我が王、豫(あそ)ばず」など、不予・悦予逸予の意に用いる。心部十下(よ)の字があり、「るるなり。(ゆる)やかなるなり。書に曰く、疾りて(たの)しまずと。は喜(たの)しむなり」とあって、〔書、金〕の文を引き、字をに作る。〔敦煌唐写隷古定尚書残巻〕にも、「逸予」の字をに作る。「猶予」は形況の連語で、舒緩の意。力部十三下に「(やう)は(えう)、やかなるなり」とあって、その声に舒緩の意があるのであろう。また予定・予占の意に用いるのは、象を予占のことに用いたかと思われるが、そのことを確かめがたい。〔易〕の十翼に〔象伝〕がある。

[訓義]
1. 大きな象。
2. のどやか、たのしむ、よろこぶ、やすんずる。
3. おこたる、ためらう、いとう。
4. あらかじめ、もとより、かねて。
5. 与と通じ、あずかる、かかわる。

[古辞書の訓]
名義抄〕豫 アヅカル・マジフ・マジハル・マジル・ハムベリ・ホシイママ・タノシビ・アラカジメ・ヨロコブ・サカユ・イトウ・ノブ・ハヤシ・ヤハラカナリ・ココロヨシ

[語系]
豫jiaは(悦)・(説)jiuatと声義近く、また懌jyakも悦懌(えつえき)の意に用いる。豫・預・與(与)jiaは同声。参与の意があり、預定の意に用いる。象ziangも声近く、豫の原義は、大象の意であろう。

[熟語]
予戒・予期・予禦・予見・予言・予後・予参・予借・予習・予政・予設・予怠・予知・予定・予備・予付・予聞・予防・予盟・予料
[下接語]
安予・怡予・一予・佚予・逸予・悦予・暇予・閑予・予・戯予・不予・游予・猶予・遊予・和予


4画

[字音]
[字訓] あたえる・たまう・ゆるす・われ

[説文解字]

[字形] 象形
織物の横糸を通す杼(ひ)の形で、機杼(きじよ)の杼の初文。〔説文〕四下に「推し予(あた)ふるなり。相ひ予ふる形に象る」とするが、字形は両手相与える形とはみえず、下に長く垂れているのは糸。〔説文〕は下文に幻を録し、「相ひ詐惑(さわく)するなり。反予に從ふ」とするが、幻は機杼の往来する形で、その機巧の知るべからざるを幻という。〔爾雅、釈詁〕に「賜ふなり」とあるのは、與(与)の仮借義。また〔論語、述而〕に「天、を予(われ)に生ず」と一人称に用いるのは、余通用の義。予の本義は、その形声字の杼のうちに残されている。天子には「予一人」、幼少ならば「予小子」という。

[訓義]
1. ひ、機杼の杼。のちその義には杼を用いる。
2. 与と通じ、あたえる、たまう、ゆるす。
3. 余と通じ、われ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕予 古の余の字なり。アタフ・ワレ、、与の字なり。ヨシ・タマフ・イタル

[声系]
〔説文〕に予声として舒・杼・序・豫(予)・抒・など十一字を収める。舒・杼・抒・は機杼に関する字。杼は機の緯(よこいと)を持つもの、舒・などはこれを舒緩にする意。経(たていと)に径直、緯に緩の意がある。

[語系]
予・余・與jiaは同声。予・余は一人称に用い、予・與はまた賜与の意に用いる。予の原義は・舒sjia、抒djia、thiaの諸字と同じく舒緩・展抒の意、杼ziaが機杼の字である。序ziaも、緯を序列する意があろう。みな畳韻の語。*「かねて」「たのしむ」意の語彙は、予(豫)字条参照。

[熟語]
予告予奪・予寧

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