付き(読み)ツキ

デジタル大辞泉 「付き」の意味・読み・例文・類語

つき【付き/附き】

付くこと。付着すること。また、そのぐあい。「―のいい粘着テープ」
火がつくこと。火が移って燃えるぐあい。火つき。「―の悪いマッチ」
ある人のそばにつき従うこと。また、その人。付き添い。→御付おつ
夫々それぞれに支度して老実まめやかの―を撰み」〈一葉暁月夜
かっこう。ようす。
「体の―がちょっとだけ違うよってなあ」〈谷崎・卍〉
好運。「―が回る」「―が落ちる」

㋐からだに関する名詞の下に付いて、そのもののようす・かっこうを表す。「顔―」「手―」
㋑名詞の下に付いて、そのものが付属していることを表す。「家具―のアパート
㋒人を表す名詞の下に付いて、その人の世話をする役であることを表す。「社長秘書
手がかりになるもの。
「人にあはむ―のなきには思ひおきて胸はしり火に心やけをり」〈古今・雑体〉
試金石にすりつけて調べるところから》金銀の品質。
「―の悪きかねを」〈浮・永代蔵・五〉
[類語]ラッキー僥倖幸運幸せ幸い果報開運盛運強運悪運儲け物拾い物恵まれるあやかるついてる物怪もっけの幸い不幸中の幸い怪我けがの功名

ずき〔づき〕【付き】

捕吏警官、また、警察からの手配などをいう俗語

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「付き」の意味・読み・例文・類語

つき【付・附】

  1. [ 1 ] ( 動詞「つく(付)」の連用形名詞化 )
    1. 離れないように付着するぐあい。また、調和するぐあい。「つきのいい糊(のり)」「つきの悪いおしろい」
      1. [初出の実例]「羊日報とロンドン・タイムスはいくら何でもつきが悪すぎるような気が」(出典:歪んだ自画像(1963)〈阿川弘之〉)
    2. 火の燃え出すぐあい。火つき。「つきの悪いマッチ」
    3. ある人のそばに添うこと。つき従うこと。また、その人。おつき。つき添い。
      1. [初出の実例]「夫々(それそれ)に支度して老実(まめやか)の侍女(ツキ)を撰らみ」(出典:暁月夜(1893)〈樋口一葉〉五)
    4. てがかりになるもの。とりすがるべきもの。
      1. [初出の実例]「人にあはんつきのなきには思ひおきてむねはしり火に心やけをり〈小野小町〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇三〇)
      2. 「何のつきにおなぶり申ませう」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)
    5. かっこう、様子。なりふり。また、体形や風貌。
      1. [初出の実例]「目もとおもしろし、額(ひたい)のつき見にくし」(出典:評判記・難波物語(1655))
      2. 「顔はよう似てるけど、━体のつきがちょっとだけ違ふよってなあ」(出典:卍(1928‐30)〈谷崎潤一郎〉五)
    6. 人との付合いの際の態度。また、それが相手に与える感じ。人づき。
      1. [初出の実例]「『ここの女房は、あまり愛相が、よくないじゃござりませぬか』『されば其事ッた。ぜんたい、つきのわるい内だ』」(出典:洒落本・遊子方言(1770)発端)
    7. 芸事の師匠に弟子がつくぐあい。また、芸者、ホステスなどで、客がつくぐあい。
      1. [初出の実例]「何(ど)うも女のお師匠さんへ斗(ばか)りお手子(でし)の附きが早う御座いまして」(出典:落語・汲立て(1897)〈四代目橘家円蔵〉)
    8. ( 試金石にすりつけて調べるところから ) 金銀の品質。
      1. [初出の実例]「岩かねのつきかわるくと取てやれ そこか縁つく袖の夕露」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第一六)
    9. 好運。「つきに見はなされる」
      1. [初出の実例]「賭け事でいうつきが廻って来る前兆ではないか」(出典:ぽんこつ(1959‐60)〈阿川弘之〉まけとし)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙
    1. おもにからだに関係のある名詞について、そのものの様子の意を表わす。「額つき」「口つき」「手つき」「腰つき」など。
    2. 人を表わす名詞について、そのそばにつき従って世話する役であることを表わす。
      1. [初出の実例]「又檀那には檀那付きの者が自然に出来ます」(出典:落語・星野屋(1893)〈三代目春風亭柳枝〉)
    3. 名詞について、そのもの・ことが付属していることを表わす。「利子付き」「三食付き」など。

つき【就・付】

  1. ( 動詞「つく(付)」の連用形。格助詞「に」に付いて、全体で一つの格助詞または接続助詞のように用いる )
  2. …に関して。
    1. [初出の実例]「笛のことにつき、年寄・童(わらんべ)と有は、観阿・世阿両人のこと也」(出典:申楽談儀(1430)笛・狂言の名人)
  3. …の理由で。…ので。
    1. [初出の実例]「大かうの御きたうに、ひてより申さるるにつき、御かくらおこなはるる」(出典:御湯殿上日記‐慶長三年(1598)七月八日)
  4. …を単位として。ごとに。「一回につき」

づき【付・附】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 動詞「つく(付)」の連用形から )
  2. 名詞について、そのもの・ことが付属していることを表わす。「条件づき」「注釈づき」など。→付(つき)[ 二 ]
  3. 人の地位を表わす名詞や、役職・勤め場所などを表わす名詞について、そこに所属することを表わす。「社長づき」「本部づき」など。
    1. [初出の実例]「兄の速男は国府台の砲兵連隊附で」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋)

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