倭(漢字)

普及版 字通 「倭(漢字)」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 10画

[字音] ワ・イ(ヰ)
[字訓] やまと・したがう

[説文解字]

[字形] 形声
声符は委(い)。委は稲魂(いなだま)を被(かぶ)って舞う女の形で、その姿の低くしなやかなさまをいう。〔説文〕八上に「順(したが)ふ皃なり」とあり、「詩に曰く、倭遲(ゐち)たり」と〔詩、小雅、四牡〕の句を引く。〔毛伝〕に「の貌なり」とあって、倭遅畳韻連語威夷(いい)・逶遅(いち)などにも作る。わが国の古名として中国の古い史書にみえ、〔漢書、地理志下〕「樂浪(らくらう)中に倭人り。れて百餘國と爲る」の〔注〕に引く〔魏略〕に「倭は帶方東南の大中に在り。山島に依りて國を爲す」「其の語を聞くに、自ら太伯(呉の始祖)の後なりと謂ふ」などの記載がある。〔後漢書、光武帝紀下〕にみえる「倭奴國」も、その古名であろう。

[訓義]
1. したがう、低い姿勢。
2. 倭遅は、はるかに連なるさま。
3. わが国の古名。中国の史書に、倭としるす、やまと。

[古辞書の訓]
名義抄〕倭 ヤマト・イタム・オモネル・ヘツラフ・オコツル・カタム・ユヅル・タム・エラブ

[語系]
倭・委・萎・逶・痿iuaiは同声。委は祈年(としごい)の祭に、稲魂を被って低く舞う女。男の舞う字は年。委声の字には委の声義を承けるものが多い。紆・iua、宛・婉iuanも、低い姿勢で舞う委の声義と関係がある。

[熟語]
倭彝倭傀倭妥・倭遅倭夷倭患倭漢倭寇倭国倭種・倭人倭賊・倭堕・倭奴倭刀倭名

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報