(読み)ジュ

デジタル大辞泉 「受」の意味・読み・例文・類語

じゅ【受】[漢字項目]

[音]ジュ(慣) [訓]うける うかる
学習漢字]3年
うけとる。うけ入れる。うける。「受験受賞受信受諾受注受容受領受話器甘受享受授受納受拝受傍受
[名のり]うく・うけ・おさ・しげ・つぐ

じゅ【受】

仏語
十二因縁の一。幼少年期の、苦・楽などを知覚する位。
五蘊ごうんの一。外界のものを受け入れる心のはたらき。

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精選版 日本国語大辞典 「受」の意味・読み・例文・類語

じゅ【受】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] vedanā の訳 ) 仏語。
  2. 五蘊の一つ。外界からの印象を受け入れる心のはたらき。六根をもって外界の物質を受納し、快不快、苦楽などを覚受する印象感覚。
    1. [初出の実例]「触為因受為縁。受為因愛為縁」(出典秘蔵宝鑰(830頃)中)
    2. 「一色一香中道にあらずといふ事なし。受想行識も亦(また)かくの如し」(出典:栄花物語(1028‐92頃)玉のうてな)
  3. 十二因縁の一つ。幼少年期の、苦楽などを感受する位をいう。〔正法眼蔵(1231‐53)〕

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普及版 字通 「受」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] ジュ
[字訓] うける

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
(ひょう)+舟(しゅう)。は上下の手。舟は盤の形。盤中にものを入れ、これを授受することをいう。〔説文〕四下に「相ひ付(わた)すなり」とし、舟の省声とするが、舟を声符に用いる字ではない。「朕(おく)る」「般(はこ)ぶ」など、みなその器を用いる。〔周礼、春官、司尊彝〕に、彝(い)の下に「皆舟あり」、その〔注〕に「今時の槃(ばん)の(ごと)し」とあり、舟が盤の形の器である。受は金文に授・受の両義に用い、のち授・受の二字に分かれた。

[訓義]
1. うける、うけとる、さずかる。
2. うけて用いる、とる、うる、おさめる、うけいれる、つぐ、うけつぐ。
3. 授と通用し、さずける。古くは授・受両義に用いた。
4. 受け身、~される、~られる。

[古辞書の訓]
名義抄〕受 ウク 〔字鏡集〕受 ウケタマハル・サガリ・ウ・チカチカ・サハク・オサム・ウク・アヒツク

[声系]
〔説文〕に受声として授・綬の二字を収める。授・受はもと一字。金文ではその両義に用いた。のち授与の字として授が作られた。

[語系]
受・授zjiuは同声。もと受を両義に用いた。舟tjiuも声近く、声義の関係がある。

[熟語]
受遺・受・受・受恩受貨・受学・受寄・受祺・受釐・受咎・受・受享・受教・受業・受窶・受屈・受形受刑・受降・受罪受祉・受賜・受室受爵・受取・受授・受終・受觴・受賞・受・受訊・受成・受生・受制・受禅・受胙・受祚・受胎・受託・受諾・受田受難受任・受納・受罰・受俘・受服・受福・受命・受用・受理・受累・受禄・受受賄
[下接語]
甘受・感受・虚受・享受・継受・口受・降受・嗣受・授受・承受・心受・親受・正受・禅受・大受・誕受・聴受・天受・伝受・忍受・納受・拝受・膚受・明受

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「受」の意味・わかりやすい解説


じゅ
vedanā

仏教用語。初期仏教の重要な教理である十二縁起 (→十二因縁 ) の第7番目の項目。また,五蘊の第2。意識に与えられた印象を感じ取ることをいう。これを内容的に分析して,二受,三受,五受などに分ける場合がある。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【紂】より

…中国,殷の最後の王である帝辛のこと。受ともいう。前11世紀の人。…

【五蘊】より

…サンスクリットでは,パンチャ・スカンダpañca‐skandhaという。生命的存在である〈有情(うじよう)〉を構成する五つの要素すなわち,色(しき),受(じゆ),想(そう),行(ぎよう),識(しき)の五つをいう。このうち(ルーパrūpa)には,肉体を構成する五つの感覚器官(五根)と,それら感覚器官の五つの対象(五境)と,および行為の潜在的な残気(無表色(むひようしき))とが含まれる。…

【仏教】より

… 同じ内容を組織的に説いたのが,前述の〈四諦〉である(諦は真実,真理の意)。教理上の説明を加えると,(1)苦諦(くたい) 人生には生老病死の四苦のほか,愛(いと)しい人に別れ,怨み憎しみある者に出会い,求めるものは得られず,この身は無常な諸要素(五蘊(ごうん)――肉体(色)と感覚(受),表象(想),意思(行),認識(識)の諸心理作用)の集合にすぎない,という合計8種の苦悩がある。(2)集諦(じつたい) この苦を集め起こすもの,つまり苦の原因としては,煩悩と総称される心のけがれ(むさぼり,にくしみ,無知など)がある。…

※「受」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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