呼出し(読み)ヨビダシ

デジタル大辞泉 「呼出し」の意味・読み・例文・類語

よび‐だし【呼(び)出し】

呼び出すこと。呼んで来させること。「警察から呼び出しが来る」
相撲で、取り組む力士の名を呼び上げる役。触れ太鼓やぐら太鼓を打ったり、土俵の整備なども行う。前行司
呼び出し電話」の略。
江戸時代、訴状を受理した奉行所被告を呼び出すこと。また、その文書
江戸時代、銭湯であがり湯のためてある四角な所。
江戸吉原で張り見世みせをせず、茶屋の紹介で客に接した遊女
江戸の岡場所で、茶屋などで客をとる女郎
[類語]召喚呼ぶ呼び寄せる呼び付ける呼び出す召し出す呼び立てる差し招く召致召集招集招致招聘招請招来

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「呼出し」の意味・わかりやすい解説

呼出し
よびだし

土俵上で行司に先だち、控えにいる力士を呼び出す役。古くは「名乗り上げ」、略して「名乗り」といって行司が勤め、これを言上行司または前行司といったが、1751年(宝暦1)ごろから行司と分離し、呼出し役になった。呼出しはこのほか土俵の構築、触れ太鼓、櫓(やぐら)太鼓、木戸口雑用、幟(のぼり)の世話をするほか、地方巡業では小屋づくり、旅館の手配などの準備から跡始末までいっさいの雑務を引き受ける。相撲(すもう)協会から給金を支給されるが各相撲部屋に所属している。1994年(平成6)から立(たて)呼出しを最高位に副立呼出し、三役呼出し、幕内呼出し、十両呼出し、幕下呼出し、三段目呼出し、序二段呼出し、序ノ口呼出しの9階級制となり、定員は45人。

[池田雅雄・徳増信哉 2019年12月13日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「呼出し」の意味・わかりやすい解説

呼出し
よびだし

相撲用語。土俵上で力士の名をふれ,土俵を築き,ふれ太鼓,やぐら太鼓をたたき,土俵入り顔ぶれ言上を入れ,審判草履をそろえたり,時間いっぱいを力士に告げたり,土俵を掃いたり,あとかたづけに従事したり,年寄の身のまわりの世話をやり,巡業中にはテントを張り,あとかたづけなどもする人。裁付袴 (たっつけばかま) の独特な格好をして働いている。定員 45人以内。

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世界大百科事典(旧版)内の呼出しの言及

【花魁】より

…語源とともに使用の起源も明確でなく,元禄(1688‐1704)以前の用例が挙げられているが,一般化したのは1760年代の宝暦・明和ごろのようで,これは最高妓とされた太夫が吉原で消滅した時期と一致する。太夫の格をつぐ遊女は散茶(さんちや)であったが,散茶は呼出し,座敷持ちなどの階級に分かれていたため,散茶の上級妓を花魁と称して区別したのであろうか。洒落本《魂胆惣勘定》(1754)に〈おいらがとこ〉の里ことばが紹介されたように,そのころ流行した洒落本によって花魁という別称が普及したことは疑いない。…

【触太鼓】より

…相撲興行における行事の一つ。本場所が始まる初日の前日,行司が主宰する土俵祭が行われ,終了後〈呼出し〉が天びんにつるした太鼓をたたきながら土俵を3周した後,明日から相撲が始まることを告げるために市中に繰り出す。江戸時代には相撲興行を知らせる情報機関がないため,触太鼓の役目は重要で,また降雨のため中止になった後,再開を告げるときにも行われた。…

※「呼出し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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