回す(読み)マワス

デジタル大辞泉 「回す」の意味・読み・例文・類語

まわ・す〔まはす〕【回す/×廻す】

[動サ五(四)]
軸を中心にして、円を描くように動かす。回転させる。「腕を―・す」「プロペラを―・す」
周囲を取り巻くようにする。めぐらす。「敷地に柵を―・す」
順に送り渡す。「杯を―・す」「通知を―・す」
人や物を必要とする場所へ移す。「総務から営業へ人員を―・す」「出先に車を―・す」「預金の一部を学費に―・す」
物事をとどこおりなく進める。「仕事をうまく―・す」
その立場に置く。「敵に―・す」
配慮などを行き渡らせる。「気を―・す」「手を―・す」
利益を得るように金銭を運用する。「高利で―・す」

㋐自分の意のままに人を使う。
「あの女に―・さるる女郎いとしや」〈浮・好色盛衰記〉
㋑遊里で、客が遊女幇間ほうかんを思うままに従わせる。
「太鼓持ちは、ある知恵を隠して、我より鈍い客に―・さるるがよし」〈浮・禁短気・三〉
10 動詞の連用形に付いて、全体に…する、あちこち…する、また、さんざん…する、の意を表す。「いじくり―・す」「追っかけ―・す」「引っ張り―・す」
[可能]まわせる
[下接句]金を回す切っ刃を回す気を回す手を回す向こうに回す目を回す悪気わるぎを回す
[類語](1回転旋回回る巡る経巡る渡り歩く巡回巡行遍歴巡らす一巡り一巡一回り一周半周周回転回/(4送る遣る送り出す出す発する派する差し向ける差し遣わす差し立てる遣わす差し回す派遣する差遣する

もとお・す〔もとほす〕【回す/×廻す】

[動サ四]めぐらす。まわす。
「火をもちて其の野を―・し焼きき」〈・上〉

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精選版 日本国語大辞典 「回す」の意味・読み・例文・類語

まわ・すまはす【回・廻】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 輪のようにまるく回転させる。〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「わらはべのこまつぶりまはす時」(出典:名語記(1275)三)
  3. まわりをとり巻くようにする。周囲にめぐらす。
    1. [初出の実例]「屏風を立てまはして」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)九)
  4. 広く行き渡らせる。すみずみまで及ぼす。
    1. [初出の実例]「いと急にのどめたる所おはせぬおとどの、おぼしもまはさずなりて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
  5. 順々に送り渡す。次から次へと送る。
    1. [初出の実例]「クヮイブン ヲ mauasu(マワス)」(出典日葡辞書(1603‐04))
  6. 人や物を必要とする場所へ動かし送る。また、使い道を変えて他に移す。
    1. [初出の実例]「それより車まはさせ給て」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
    2. 「此留学費全体を投じて衣食住の方へ廻せば」(出典:倫敦消息(1901)〈夏目漱石〉二)
  7. 金銭などを運用する。
    1. [初出の実例]「ぶけんなといへば、人の物にてまはすといへり」(出典:仮名草子・悔草(1647)中)
  8. 謡曲で、一音のうちの母音をのばして、音に段をつけて謡う。〔わらんべ草(1660)〕
  9. 自分の思うままに人を使う。
    1. [初出の実例]「あの女にまはさるる女郎、いとしやといへば」(出典:浮世草子・好色盛衰記(1688)五)
  10. 人形をつかう。人形をあやつる。
    1. [初出の実例]「清水やうしろさまにも首を次 四条川原でまはす人形〈一徳〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)二)
  11. つけまわす。どこまでも跡をつける。
    1. [初出の実例]「彌七を廻しては抱たがる」(出典:談義本・艷道通鑑(1715)三)
  12. 酒、醤油(しょうゆ)などを水増しする。
    1. [初出の実例]「頭からしほに、水をまはしたやうな物にて」(出典:黄表紙・八代目桃太郎(1784))
  13. 酒などがからだに行きわたるようにする。
    1. [初出の実例]「此間久アしく止て居いしたから、直に廻(マハ)されまさアなヨ」(出典:人情本・閑情末摘花(1839‐41)初)
  14. 江戸初期、遊里で、客が遊女を思うままに従わせること。
    1. [初出の実例]「金銀だにあれは、いかやうにまはすべきも、じゆうなりとおもひて」(出典:評判記・吉原すずめ(1667)見たての事)
  15. ( 「気をまわす」の略 ) 心をめぐらす。邪推する。
    1. [初出の実例]「ヱヱ廻すは廻すは、どれおれが毒味してやろ」(出典:浄瑠璃・妹背山婦女庭訓(1771)道行)

もとお・すもとほす【回】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 めぐらす。まわす。
    1. [初出の実例]「豊寿(とよほ)き 寿き母登本斯(モトホシ) 献り来し 御酒ぞ 残さず飲(を)せ ささ」(出典:古事記(712)中・歌謡)

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