(読み)ぼう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


ぼう

唐にならってつくられた奈良,平安時代都城制の一区画,4町四方の称。のちに大寺院に属する小院,僧侶住居をさすようになり,さらに僧侶そのものの呼称となった。さらに男の子の呼称としてや接尾語として親しみなどをこめて用いられるようになった。

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デジタル大辞泉の解説

ぼう〔バウ〕【坊】

[名]

㋐僧の住居。僧房。房。転じて、僧侶。「師の
㋑寺社が信者のために設けた宿泊所。宿坊。
幼い男の子に対する愛称。また、その自称。「をつれて散歩に行く」
奈良・平安時代の都城の行政区画の一単位。平安京では、東西南北の大路に囲まれた区域。1坊は4保で4町四方。また、その大路をいう。
皇太子の居所。東宮坊(とうぐうぼう)。また、皇太子をいう。東宮。
[接尾]
人名に付いて、親しみや軽いあざけりの意を表す。「お花」「けん
人の様態を表す語に付いて、そういう人である意を表す。「暴れん」「けちん」「朝寝」「風来
僧侶の通称や坊号などの下に添えて用いる。「武蔵弁慶」「法界

ぼう【坊】[漢字項目]

常用漢字] [音]ボウ(バウ)(呉) ボッ(慣)
方形にくぎられた町の区域。市街。まち。「坊間坊市
住居。へや。特に、僧の住まい。「坊主教坊酒坊宿坊僧坊本坊
僧。「御坊(ごぼう)
そういう人であることを表す語。「風来坊
[難読]坊(ぼっ)ちゃん

ぼん【坊】

《「ぼう」の音変化》
僧侶。「さん」
(主に西日本で)男の子を丁寧に、また親しみを込めて呼ぶ語。江戸中期までは男児・女児どちらにも用いた。ぼうや。ぼっちゃん。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぼう【坊 fāng】

中国における都市域の区画の名称。土を高く盛った防壁の坊が原義である。後漢ごろから記録がふえ,高い土壁で囲まれた皇族や宮人たちの居住区を指した。4世紀初めの五胡の動乱以後,華北では多種多様の異民族が漢民族雑居し,城郭内に土壁を作って住み分けることになる。これが坊制であり,旧来の里制に代わる都市区画として定着していく。6世紀の北魏の都洛陽には320の坊が数えられ,隋・唐の長安城は,これを直接継承し,4種類110の坊を整然たる形で城内に配置した。

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大辞林 第三版の解説

ぼ【坊】

( 接尾 )

ぼう【坊】

( 名 )
僧侶の居所。転じて、僧侶。房。 「僧-」 「お-さん」
男の幼児を親しんで呼ぶ称。江戸時代には女児についてもいった。 「 -や」 「 -はどこの子だい」
唐の都城制に倣った条坊制の一区画。四周を大路で囲まれた区域をさし、これがさらに小路によって一六の町(坪)に分かれる。
条坊制で、左京・右京おのおのの各条を四坊に分かつ大路。南北に通じ、東西に通じる「条」に対する。
皇太子の居所「東宮坊」から転じて、皇太子をいう。 「 -にもようせずは、この御子のゐ給べきなめり/源氏 桐壺
( 代 )
一人称。男の幼児が自分をさし示していう語。 「それは-のだよ」
( 接尾 )
人の名に付けて、親しみや軽いあざけりの意を表す。 「お春-」 「けん-」
人の様態を表す語に付いて、そういう人であることを表す。上にくる語によって「ぼ」「んぼ」「んぼう」の形にもなる。 「朝寝-」 「赤ん-」 「赤んぼ」 「暴れん-」 「けちん-」 「けちんぼ」
僧侶の通称や坊号などの下に添えて用いる。 「武蔵-弁慶」 「法界-」

ぼん【坊】

〔「ぼう(坊)」の転〕
男児に対する愛称。坊や。坊ちゃん。主に関西地方で用いる。
僧。坊さん。 「ただ今おはなし申しましたはこの-でござりますわいな/滑稽本・膝栗毛 7」 〔は近世上方語では、古く男児・女児どちらにも用いた。「-か、よう来たなあ/浄瑠璃・壇浦兜軍記」〕

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぼ【坊】

〘接尾〙
① 男の子や女の名の下に付け、親愛の気持を表わす。未婚既婚を問わずに用いる。
浄瑠璃・比良嶽雪見陣立(1786)四「コレお八重ぼお八重ぼいのふ」
② =ぼう(坊)(二)②「あわてんぼ」「きかんぼ」など。

ぼう バウ【坊】

[1] 〘名〙
① 唐の都城制にならってつくられた条坊の制で、平城京、長岡京、平安京を、朱雀大路を中心に左京、右京おのおの東西に四坊に区画したもの。また、その大路をいう。南北に分かつ条に対する。
※延喜式(927)四二「凡京中衛士仕丁等坊不商売
② 条里制で、坪(つぼ)の称。
※東寺文書‐礼・天平二〇年(748)二月一一日・弘福寺牒「大倭国広湍郡庄家田〈略〉廿条五里六坊三段百歩」
③ 「春宮坊(とうぐうぼう)」の意から転じて、東宮(皇太子)をいう。
※性霊集‐四(835頃)進春宮筆啓「狸毛筆 坊献」
④ 僧侶の居所。転じて、僧侶をいう。また、僧の名に添えて用いる。房。→御坊(ごぼう)
※大和(947‐957頃)一六八「山にばうしてゐて、言の通ひもえせざりけり」
⑤ 男の子を親しみ呼ぶ称。頭髪をのばさず、その頭が僧に似ているためにいったもの。江戸では時に女の子をいうこともあった。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「坊(ボウ)はおとっさんにおんぶだから能の」
⑥ 修験道の山の行人止宿の家。宿坊。
※俳諧・曠野(1689)四「きぬたうちて我にきかせよ坊がつま〈芭蕉〉」
[2] 〘接尾〙
① 人の名に付けて、人を親しんだり、軽くあざけったりする意を表わす。
※咄本・譚嚢(1777)誹名「文町坊(ボウ)や、ぶんてうぼう、文町さんや、ぶんてうさん」
② 人の様態を表わす語に付いて、そういう人の意を表わす。「赤ん坊」「暴れん坊」「朝寝坊」など。ぼ。
※洒落本・風俗八色談(1756)一「眷属の医者坊(ホウ)誹諧坊(ホウ)をつかはして太鼓を以て四方より攻立させて」

ぼん【坊】

〘名〙 (「ぼう(坊)」の変化した語)
① 僧侶。坊さん
※狂言記・宗論(1660)「のふ、ぼん、してそなたは又」
② 男の子を丁寧に呼ぶ語。坊ちゃん。宝暦年間(一七五一‐六四)頃までは男児・女児どちらにもいった。
※浄瑠璃・壇浦兜軍記(1732)四「坊(ボン)かよう来たなあと手を取りて」
③ 住居。居所。
※歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語(1770)三「『坊(ボン)は』『此松原の出ばなれ』」

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世界大百科事典内のの言及

【郷里制】より

…つまり,三国から六朝時代にかけては,城郭の内に住む者と村落に住む者との2形態に分かれてきたのである。 北朝にあっては,人為的な区分に関して,これまでの郷里制とは異なり,組織を3段にしてそれぞれに長をおく,いわゆる三長制が施行されたが,その間に,いつのほどにか城郭内の区画であった里を坊と呼ぶようになっていた。つまり里が公称であったのに対し,民間ではむしろ坊と呼ぶことが多かったらしく,隋をへて唐にいたり,ついに坊をもって正式の称呼と定めた。…

【条坊制】より

…日本の都城制において,京域内を縦横に通ずる大路によって碁盤の目のように方格に区分し,東西の列を〈○条〉,南北の列を〈○坊〉とよぶとともに,方格そのものをもまた〈坊〉と称する制度。律令制では,戸令の規定によって,京職の配下として,各坊に坊長1人,各条の4坊ごとに坊令1人が任ぜられ,戸口の検校,姧非の督察,賦徭の催駈に当たった。…

【村】より

…南北朝時代には村は普遍的な存在となり,地方行政組織の最末端に位置づけられ,唐代になるとさらに正式の制度となって,唐律令に規定されるようになる。その唐戸令によれば,100戸で形成される里のうち,都城内にあるものを坊というのに対し,田野にあるものが村とよばれたのであり,村正1人をおいて,行政を補佐するようになっていた。ただし,村は集落一般を意味することもあり,以後は集落の名称の一つとして一般に用いられている。…

【長安】より

…工事期間が短いが,隋から唐にかけていくたびか改修工事を行っている。大興城は東西18里115歩,南北15里175歩の大きさで,城牆の高さは1丈8尺,城内に110坊あったという。唐の長安城はこれをうけついだものである。…

【都市】より

…秦の咸陽(かんよう)に始まり,漢の長安と洛陽,北魏の洛陽,隋・唐の長安,そして元・明・清の北京は,いずれも中華的理念に基づく建設都市であり,1500を上下する郡県,州県の城郭都市とはやはり区別すべき存在である。例えば経書《周礼》に基づく都市計画も,現実には北朝系の異民族主体の王朝の国都に限定されるし,唐都長安に典型的にみられる坊制や市場制などの都市制度も,当時の全中国にそのままでは普遍化できにくい。4世紀初め,異民族五胡に追われ,漢民族支配者層が江南に逃れた後の中原は荒廃の極に達する。…

【面】より

…李朝初期に郡を東西南北4面に分けたことが〈面〉という名称の始めとみられるが,行政区画となったのは16世紀と推定される。平安道,黄海道では〈坊〉,咸鏡道では〈社〉と呼ばれた。李朝時代の面は政府の命令伝達,徴税事務などの単位で,行政村としての性格が強い。…

※「坊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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