(読み)セン

デジタル大辞泉 「宣」の意味・読み・例文・類語

せん【宣】[漢字項目]

[音]セン(呉)(漢) [訓]のべる のる のたまう
学習漢字]6年
広く意向を述べ伝える。「宣言宣告宣誓
広く行き渡らせる。「宣教宣伝宣揚
天子や神が意向を述べる。「宣旨せんじ宣命せんみょう院宣いんぜん託宣勅宣
[名のり]すみ・つら・のぶ・のり・ひさ・ふさ・むら・よし

せん【宣】

勅旨をのべ伝えること。また、それを書き記した文書宣旨せんじ
内覧の―をかうぶりて」〈神皇正統記一条

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精選版 日本国語大辞典 「宣」の意味・読み・例文・類語

せん【宣】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 勅旨を述べ伝えること。また、それを記した文書。宣旨。勅宣。
    1. [初出の実例]「被内臣正三位藤原朝臣宣偁、奉勅、件人等改本姓、賜安倍猨嶋姓者、省宜承知、准勅施行、符到奉行」(出典:九条公爵家所蔵延喜式裏文書‐宝亀四年(773)二月八日・太政官符案)
    2. 「諸国七道へ宮の宣とて武士を催さるる文どもを」(出典:愚管抄(1220)五)
  3. 官衙(かんが)命令。また、将軍諸侯などの出す命令。
    1. [初出の実例]「司馬いよいよ随喜して国内に宣をくだして仏法をなむあがめたてまつりける」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)二月二八日)
  4. 広く告げ知らせること。ひろめること。宣伝。

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普及版 字通 「宣」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] セン
[字訓] のべる・あきらか

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+亘(せん)。宀は屋。亘は半円形にめぐるものをいうことが多い。〔周礼、考工記、車人〕に「、之れを宣と謂ふ」とみえる。〔説文〕七下に「天子の宣室なり」とあり、〔史記、賈誼伝〕に「孝、方(まさ)に釐(き)(祭祀の余肉)を受けて宣室に坐す」とあり、未央殿の前正室の名で、儀礼を行うところであったらしい。〔淮南子、本経訓〕に、紂が宣室で殺されたことがみえ、金文の〔季子白盤(かくきしはくばん)〕に、氏が(けんいん)を伐ち、献馘(けんかく)の礼を行い、「王、に各(いた)り、宣に爰(ここ)に)す」とあり、ここに馘醜(かくしゆう)(敵将の首)を献じた。また射儀なども、この宣で行われている。宣室の名は、室を半の形にとるその室の構造に由来するものであろう。

[訓義]
1. 室の名、宣室。
2. のべる、のたまう、みことのり、みことのりたまう。
3. あきらか、あかす、しめす。
4. とおる、とおす、つくす。
5. ゆるやか、ちらす、ひろめる。
6. 恂と通じ、まこと。

[古辞書の訓]
名義抄〕宣 ノブ・シク・アマネシ・ホドコス・アキラカナリ・オホセゴト・シメス・アラハス・スクナシ・ヒロシ・ウヤマフ・ノタマハク・ノタブ・ノベリ

[声系]
〔説文〕に亘声の字として宣、また宣声の字として愃を収めるが、喧・などの字は未収。亘声のものには垣(えん)・桓(かん)の両音の系統のものが多く、宣声の字は宣一字であるから、宣は会意とするのがよい。

[語系]
宣siuan、旋ziuanは声義近く、めぐる意がある。徇ziuen、(巡)ziunもその系統の語であろう。ゆえに宣に宣撫宣明などの意がある。

[熟語]
宣威宣慰・宣引・宣飲・宣鬱・宣遠・宣下・宣化・宣究・宣教・宣言・宣弘宣洽・宣講・宣告・宣差・宣旨・宣紙・宣賜・宣示・宣室・宣・宣赦・宣述・宣召・宣招宣昭・宣称・宣章・宣情・宣省・宣聖・宣誓・宣説・宣戦・宣著・宣暢・宣通・宣哲・宣展・宣伝・宣頭・宣導・宣読・宣播・宣髪・宣撫・宣布・宣付・宣募・宣報・宣明・宣命・宣耀・宣揚・宣流・宣力・宣露・宣労
[下接語]
院宣・究宣・口宣・孔宣・広宣・述宣・承宣・詔宣・尽宣・正宣・託宣・勅宣・伝宣・髪宣・不宣・布宣・敷宣・賦宣・文宣・明宣・流宣・労宣

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「宣」の解説


せん

古代において上級者が下級者に対して口頭で命令を下すこと,またその口頭命令。奈良時代には一般的な称であったが,平安時代になるとしだいに朝命の伝達に限定され,天皇の命令をうけて上卿(しょうけい)が宣した奉勅,上卿が独自に下した命令である上宣,一つの官司内で長官が部下に下したものなどがあった。これを受命者が書き記したものが宣旨(せんじ)である。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【公家様文書】より

…その淵源は二つに分けられる。一つは奈良時代に,仰せ,命令の意で広く用いられていた宣の系譜を引く内侍宣(ないしせん),宣旨(せんじ),口宣案(くぜんあん),官宣旨(弁官下文),国司庁宣,大府宣などである。内侍宣は,天皇に近侍して奏宣をつかさどる内侍司の女官が天皇の仰せを伝えるものであるが,薬子の変を機に蔵人所が置かれ(810),蔵人が天皇の仰せを,太政官の上卿に伝えるようになった。…

※「宣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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