密か(読み)ヒソカ

デジタル大辞泉 「密か」の意味・読み・例文・類語

ひそ‐か【密か/窃か/私か】

[形動][文][ナリ]
人に知られないように物事をするさま。「―に計画する」「―に思いを寄せる」
公のものを私物化するさま。
「(清盛ハ)ほしいままに国威を―にし」〈平家・四〉
[類語]こっそり忍びやかそっと秘密内内うちうち内内ないない内輪内部内密内幕内裏うちうら内緒内証内分内聞内情内実隠密おんみつ極秘ごくひ厳秘げんぴ丸秘まるひ機密枢密すうみつ天機機事密事秘事暗部隠し事秘め事みそか事内緒ないしょ秘中の秘みそ秘めやか

みそか【密か】

[形動ナリ]人に知られないようにこっそりするさま。ひそか。
「人にも知らさせ給はで、―に花山寺におはしまして」〈大鏡花山院
[類語]こっそり忍びやかそっと秘密内内うちうち内内ないない内輪内部内密内幕内裏うちうら内緒内証内分内聞内情内実隠密おんみつ極秘ごくひ厳秘げんぴ丸秘まるひ機密枢密すうみつ天機機事密事秘事暗部隠し事秘め事みそか事内緒ないしょ秘中の秘ひそ秘めやか

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精選版 日本国語大辞典 「密か」の意味・読み・例文・類語

ひそ‐か【密か・窃か・竊か・秘か・潜か・陰か・私か】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「か」は接尾語 )
  2. 人に知られないようにするさま。
    1. (イ) 人に見聞きされないようにするさま。こっそり。
      1. [初出の実例]「宴嘿(ヒソカニシテ)浄屋に居(す)ゑ〈興福寺本訓釈 宴嘿 上依爾反 下目反 二合比曾加爾之天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
      2. 「又京都に帰り上りひそかに住す」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
    2. (ロ) 自分の心の中で、人知れず、思ったり、考えたりするさま。内々。
      1. [初出の実例]「秘(ヒソカニ)心に自ら念ずらく」(出典:石山寺本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
    3. (ハ) 仲間だけで、外にもれないように、小声で話したりするさま。
      1. [初出の実例]「優婆塞、睇(めをみ)せて(ヒソカニ)(ささめ)きて曰はく〈国会図書館本訓釈 ヒソカニ〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
  3. 公的な物事を個人のものとするさま。私するさま。自分のものにするさま。
    1. [初出の実例]「平朝臣清盛公、法名浄海、ほしいままに国威をひそかにし」(出典:平家物語(13C前)四)
  4. 人の耳目にあまり触れないさま。
    1. (イ) あまり知られていないさま。
      1. [初出の実例]「林勘兵衛といふ名は、ひそかにしてのたのし屋也」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)一)
    2. (ロ) 人目につかないさま。
      1. [初出の実例]「座敷は申付て置たが、ひそかな所がよいぞ」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)三)

密かの補助注記

漢文訓読系の文章用語で、和文系の文章ではおもに「みそか」を用いた。

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