封建制[西洋](読み)ほうけんせい[せいよう](英語表記)feudalism; Feudalismus(Lehenswesen); féodalité

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「封建制[西洋]」の解説

封建制[西洋]
ほうけんせい[せいよう]
feudalism; Feudalismus(Lehenswesen); féodalité

言葉の原義は,古代中国の周代における国家体制を表わすもので郡県制に対応した概念であった。その後,転じてヨーロッパのフューダリズムの訳語として一般に使われるようになった。狭義には,ヨーロッパ社会での支配階級内部のみについての法秩序,つまり封主は封臣にレーン (封土) を与え,封臣は封主に軍役奉仕をなす双務的契約関係を中心にして成立する主従制度 (レーエン制,知行制) を意味し,広義には,荘園制度として国王諸侯,騎士,教会などの領主農民の間に成立する隷属的関係も含めて,社会の全構造を示すものとして使われる。ヨーロッパにおいては,封建制は古代ローマ末期のベネフィキウム (恩貸地制度) とゲルマン民族従士制が結合されて,フランク王国時代に成立した。封建制はフランク人による征服を通じて,北部イタリア,ドイツ,スペインの北東部諸領域に広がり,さらにドイツからスラブ人諸領域に波及した。ノルマン人はノルマンディーの名で知られるようになった地域に定住した際,封建諸制度を取入れて発展させ,それを 11世紀初め頃イングランドに持込み,スコットランド,アイルランドにも広がった。最後に,十字軍が東方で征服した諸領域にも封建的組織が生れた。9世紀末には,封建制のもつ地方分権的な傾向が現れ,王権は衰微し,高位の家臣たちは地方の豪族として王権から独立し,封建制のアナーキ的な側面が優位を占め,それぞれ自己の小領邦を建設しはじめた。 10~12世紀にかけて封建制は絶頂をきわめ,社会生活のあらゆる局面に浸透して,これを形づくるにいたった。 12世紀中頃より,中央集権国家の成立,荘園制の崩壊,自治都市の発展に伴い封建制は衰退してゆくが,封建制による土地保有の制度は,20世紀になるまで存続した。

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