尾道市(読み)オノミチシ

デジタル大辞泉 「尾道市」の意味・読み・例文・類語

おのみち‐し〔をのみち‐〕【尾道市】

尾道

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日本歴史地名大系 「尾道市」の解説

尾道市
おのみちし

面積:一一〇・六八平方キロ

広島県東部沿岸に立地。尾道水道を隔てた南対岸のむかい島と東部の市域には工業地帯が形成される。南部の旧尾道町を中心に市街地が形成されるが、北部・東部は市域中央を東流する藤井ふじい川水系を中心に農林業地帯が開け、向島には柑橘中心の農業も行われ、市域の沿岸部には漁業集落がある。東は福山市・沼隈郡沼隈町、北は御調みつぎ御調町、西は三原市に接する。国鉄山陽本線と国道二号が市街地を東西に通り、尾道港からは近隣諸島への連絡船が往復する。

〔原始・古代〕

東南部にある松永まつなが湾沿岸に縄文時代以降の遺跡が多く残る。高須たかす町の大田おおた貝塚からは縄文時代の埋葬人骨が多数出土。久山田ひさやまだ町の大峰おおみね山からは弥生時代の青銅器が出土し、弥生式土器包含層は各地にある。松永湾沿岸には前期古墳があり、鉄製品や埴輪が出土した。前方後円墳も二基あったが、開発で破壊された。ごう町には市内最大の横穴式石室をもつ猪子迫いのこざこ古墳があり、河川流域の農地化を推測させる。

市域はほぼ古代から近世までの沼隈郡西端と御調郡東南部を占め、「和名抄」備後国御調郡の郷名にみえる「歌島」は向島で、向東むかいひがし町にうたとしてその名をとどめる。尾道の地名は末尾に永保元年(一〇八一)六月日とある備後州御調郡尾道浦摩尼山西国寺由来之記(西国寺文書)にみえるのが早く、次いで仁安三年(一一六八)高野山文書に御調南条みつぎなんじよう(現御調郡御調町)に含まれた尾道村がみえ、この時、村内に大田庄(現世羅郡)の倉敷が設置され、以来港町として発展していく。保元三年(一一五八)の石清水文書によると、椙原すぎはら保が石清水いわしみず八幡宮領となっており、小原おばら(現原田町)一帯が中心地と考えられる。

〔中世〕

源平の兵乱の結果、大田庄は平家没官領となり、文治二年(一一八六)後白河法皇から紀伊高野山へ寄進され、倉敷地尾道村も高野山の統轄するところとなった。高野山は尾道の浄土じようど寺と曼荼羅まんだら(現海龍寺)を政所として、尾道浦の統治に当たらせたと推定され、尾道浦は倉敷地および港津としての設備がなされ、大田庄の年貢米を輸送するだけでなく、他国・他領の船も入津するようになり、津料の徴収が行われた。それまで中継港とされた歌島の港の機能が尾道に移ってきたことが知られる。

尾道浦は各地からの船で賑い、山すそにあった平地を干拓によって拡張する工事が度々行われた。大田庄預所淵信は尾道を拠点に商業・運輸事業にも力を注いだ。

尾道市
おのみちし

2006年1月10日:尾道市が因島市豊田郡瀬戸田町を編入
【尾道市】[変更地名]広島県
【因島市】広島県
【瀬戸田町】広島県:豊田郡

尾道市
おのみちし

2005年3月28日:尾道市が御調郡御調町・向島町を編入
【御調町】広島県:御調郡
【向島町】広島県:御調郡
【尾道市】広島県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尾道市」の意味・わかりやすい解説

尾道〔市〕
おのみち

広島県南東部,尾道水道に面する市。沼隈半島の一部と向島因島生口島高根島などを含む。 1898年市制。 1951年深田村の一部,1954年美ノ郷村,木ノ庄村,原田村の3村,1955年高須村,西村,百島村の3村,1957年浦崎村,1970年向東村,2005年御調町,向島町,2006年因島市,瀬戸田町をそれぞれ編入。中心市街地の尾道は,平安時代備後国太田荘の船津倉敷地になったことに始まり,室町時代は明,朝鮮との貿易港として繁栄。江戸時代は広島藩の保護のもとに九州,四国のほか遠く山陰,北陸から北海道への西廻海運の一拠点となり,港町として隆盛をきわめた。因島は室町から戦国時代にかけ,村上水軍 (→村上氏 ) の根拠地。 1900年代初頭からは造船業を中心に発展し,近年は商港としての実績をいかした卸・小売業が盛ん。船具の錨 (いかり) と推進機の生産は全国有数。松永湾岸の埋立地では工業開発も進んでいる。島嶼部では海産物の加工生産のほか,温暖な気候をいかした柑橘類の栽培が盛んで,全国有数の産地。作家志賀直哉林芙美子,歌人中村憲吉ゆかりの地。市街地背後の山腹には浄土寺,西国寺,千光寺,持光寺天寧寺などの名刹があり,浄土寺の本堂,多宝塔は国宝に,庭園は国の名勝に指定され,持光寺には国宝の普賢延命像の画幅が所蔵されている。また,生口島にある向上寺三重塔は国宝に,光明坊の十三重塔は国の重要文化財に指定。「西の日光」と呼ばれる耕三寺は十数点の国指定登録有形文化財を保有するなど,名所が点在する。市域の一部は瀬戸内海国立公園に属する。本州四国連絡橋の西瀬戸自動車道 (尾道-今治ルート) ,JR山陽本線,国道2号線が通じる。面積 285.11km2。人口 13万1170(2020)。

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