手筋(読み)テスジ

デジタル大辞泉 「手筋」の意味・読み・例文・類語

て‐すじ〔‐すぢ〕【手筋】

手のひらに現れている筋。「手筋運勢を占う」
書画芸事武芸など、手先を使ってする事柄素質天分。「バイオリン手筋がいい」
囲碁将棋で、攻防の基本となる手をうまく活用すること。また、ある局面にいちばん適した手。「碁の手筋を覚える」
手段。てだて。
「その儀について、拙者方にも―もござれば」〈伎・五大力
世話を頼む相手。つて。てづる。
「やうやう―をもとめて、浅草のお別当様へ申しこみ」〈咄・聞上手
関係のある方面。むき。
「これはいづくの―より漏れ聞こえし事ぞと」〈浮・敗毒散・五〉
[類語]能力力量才能才覚文才才気手際手腕手並み腕前技量

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「手筋」の意味・読み・例文・類語

て‐すじ ‥すぢ【手筋】

〘名〙
① 手のひらに現われたすじ。てのすじ。
② 文字や絵画をかくことの巧拙の素質。てのすじ。また、武芸・芸事などの天分。
※評判記・満散利久佐(1656)高天「惣じての女郎の手筋、ふみづらは、嶋原より当所は、遙にをとれり」
流派門人として、師から相伝される技法。また芸風
俳諧・談林十百韻(1675)跋「何れの道もかく有べけれど、俳諧は其手筋と、心がけにてはやくだれり」
④ 手の運びの順序。筆法
浮世草子・本朝桜陰比事(1689)五「御意にまかせ、筆拍子得たれば各別手筋を違て書上る」
⑤ 手段。てだて。方法。てがかり。
町人嚢(1692)一「学問は〈略〉手筋(テスジ)よく学びぬれば、すこし学びてもその益大なり」
浄瑠璃伊賀越道中双六(1783)六「今夜爰に泊った客で、敵の手筋が知れさうな」
⑥ 世話を頼む人。つて。てづる。
※浮世草子・本朝二十不孝(1686)一「俄に浮世もやめがたく手筋(テスジ)聞出し長崎屋伝九郎を頼み」
⑦ むき。方向。関係する方面。支配する方面。
島津家文書‐慶長三年(1598)八月二二日・宮本豊盛徳永寿昌連署起請文前書案「朝鮮表御無事之儀、加藤主計殿手筋にて可相済歟」
⑧ 囲碁や将棋で、ある局面で必要にして有効な着手。また、ある形で好手と好手が連なるさし手。
⑨ 取引市場で、売買する人の種類をいう語。手口。〔いろは引現代語大辞典(1931)〕

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