デジタル大辞泉
「抜ける」の意味・読み・例文・類語
ぬ・ける【抜ける】
[動カ下一][文]ぬ・く[カ下二]
1 中にはまっていたものや、ついていたものが離れて取れる。「歯が―・ける」「栓が―・ける」「髪の毛が―・ける」
2 中に満ちていたり含まれたりしていたものが外へ出る。「タイヤの空気が―・ける」「気の―・けたビール」「臭みが―・ける」
3 押している状態のまま、押す力が消える。「ブレーキが―・けて空走する」
4 ある傾向・習慣・くせや力などがなくなる。「怠けぐせが―・けない」「疲れが―・ける」「腰が―・ける」
5 本来あるべきもの、必要なものが漏れたり欠けたりしている。「名簿から名前が―・けている」「主語が―・けている」
6 (「脱ける」とも書く)
㋐それまでいた場所や、属していた組織・仲間から離れる。「座敷を―・ける」「組合を―・ける」
㋑しばらくの間だけ自分の部署を離れる。「仕事を―・けて人に会いに行く」
㋒ある場所・状況から逃れ出る。脱する。「危ないところを無事に―・ける」「最悪の状況から―・ける」
㋓言いつくろって責任を免れる。言い逃れる。
「左様―・けてはいけぬ、真実の処を話して聞かせよ」〈一葉・にごりえ〉
7 その所を通って向こう側へ出る。一方の側から他方の側へ通って出る。通り抜ける。「打球が右中間を―・ける」「トンネルを―・ける」
8 (多く「ぬけた」「ぬけている」の形で)知恵が十分に働かない。気がきかずぼんやりしている。足りない。「あの人はどこか―・けている」「間の―・けた話」
9 (「ぬけるような」「ぬけるように」の形で)隔てがなくなり、どこまでも続いている。透き通っている。「―・けるような青空」「―・けるように白い肌」
10 他が及ばないほどすぐれている。ひいでる。抜きんでる。
「官位高くのぼり、世に―・けぬる人の」〈源・絵合〉
[用法]ぬける・おちる――「名簿に君の名が抜けて(落ちて)いたよ」「この記事には大切な部分が抜けて(落ちて)いる」など、あるべきものが欠けている意では相通じて用いられる。◇「抜ける」は、中にあるものがなくなる、外に出る意に重点がある。「くさみが抜ける」「魂が抜けたよう」「気の抜けたサイダー」「歯が抜ける」など。◇「落ちる」は付いていたものが取れる意に重点がある。「洗うと色が落ちる」「憑き物が落ちる」「がんこな油のしみがきれいに落ちた」などと使う。
[類語]去る・離れる・退く・退く・辞める・離脱する・脱退する・引退する・辞任する・離任する・手を引く・身を退く・骸骨を乞う・退会・退団・退部・脱会・脱党・離党・杯を返す
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ぬ・ける【抜】
- 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]ぬ・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 - [ 一 ] 突き破って向こう側へ出る。また、ある位置や標準の上に出る。
- ① こちら側からあちら側へつらぬき通る。比喩的に、道が通じる、あるものの間を通って向こうへ行くなどの意にも用いる。
- [初出の実例]「春風に普請のつもりいたす也〈惟然〉 藪から村へぬけるうら道〈支考〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)上)
- 「建物の下を潜って向へ抜ける」(出典:倫敦塔(1905)〈夏目漱石〉)
- ② 他より優れる。ひいでる。ぬけでる。
- [初出の実例]「心いられせですぐされたるなん、すこし人にぬけたりける御心とおぼえける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
- 「ぬけたる器量の人なり」(出典:愚管抄(1220)六)
- ③ 優れたものとして選び出される。
- [初出の実例]「江の島も跡を出す気の汐干潟といふ句がぬけたのサ」(出典:洒落本・美地の蛎殻(1779))
- ④ 他より先に進む。また、出世する。
- [初出の実例]「群にぬけて追うてゆく」(出典:平家物語(13C前)八)
- ⑤ 城などが、攻められて落ちる。
- [初出の実例]「其の容易に抜けざるを察して攻撃を止めければ」(出典:経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後)
- ⑥ 一定の金額以上になる。また、利益をあげる。
- [初出の実例]「浮世風呂もこれで三編。板元の金設(かねもうけ)、又ずっしりとぬけました」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)
- [ 二 ] はまっているもの、付いているものがとれてなくなる。
- ① はまっていたものが、そこから離れとれる。
- [初出の実例]「太刀をぬいて戦ふに〈略〉目ぬきのもとよりちゃうど折れ、くっとぬけて」(出典:平家物語(13C前)四)
- 「flask(フラスコ)の栓などが抜(ヌケ)たるにあらずや」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉七)
- ② 特に、からだについている、毛、歯などがとれる。
- [初出の実例]「毛のよくぬくるしろがねの毛抜き」(出典:枕草子(10C終)七五)
- ③ 勢いや力などがなくなる。また、ある習慣、性質や熱、味、香などが消える。また、備わっていたもの、あるべきものがなくなる。「かぜが抜ける」
- [初出の実例]「腰やぬけたりけん、高這(たかばひ)にして三方へ逃げ散る」(出典:義経記(室町中か)五)
- 「兎角に内地のみを目当にして、取引したる癖は今尚ぬけず」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉八)
- 「次第次第力衰へ勢抜くるを見るよりも」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴〉六七)
- ④ ある場所から逃げ去る。のがれ出る。ぬけだす。また、抜け参りをする。
- [初出の実例]「ここにあってはあしかりなんと思ひ給ひて、足にまかせてぬけ給ふ程に」(出典:平治物語(1220頃か)中)
- 「いそがしき中をぬけたる涼かな〈游刀〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)夏)
- ⑤ うまい言いわけをして追及をのがれる。言いぬける。
- [初出の実例]「『八卦に問はれよ』といふ。山伏聞て『されば八卦で見たれば、その方に問ふてゆけとあるほどに、それで問ひます』とぬけられた」(出典:咄本・軽口御前男(1703)二)
- 「左様ぬけてはいけぬ、真実の処を話して聞かせよ」(出典:にごりえ(1895)〈樋口一葉〉二)
- ⑥ 仲間からはずれる。また、あるべきものが脱落したり、すべきことを忘れたりする。もれる。「五字抜けている」
- [初出の実例]「ぬけるとは、わするること」(出典:新撰大阪詞大全(1841))
- ⑦ 知恵がたりないさまである。間抜けである。
- [初出の実例]「少ぬけたるおとこ」(出典:咄本・当世軽口咄揃(1679)二)
- 「人のよい、悪く言へば少し抜(ぬ)けて居るやうな処が見えて」(出典:女難(1903)〈国木田独歩〉五)
- ⑧ 取引市場で、利益を得た買い玉を転売して逃げ退く。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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