(読み)カケ

デジタル大辞泉 「掛」の意味・読み・例文・類語

かけ【掛(け)/懸(け)】

[名]
売り値に対する卸値。また、本来の値段に対する、値引きして売る値段の割合
掛け売り」「掛け買い」の略。「―で買う」
売掛金」「買掛金」の略。「―がたまる」
掛け蕎麦そば」「掛け饂飩うどん」の略。
打ち掛け」の略。
「黒塗りの箪笥たんすから―を出して女に着せた」〈鴎外ヰタ‐セクスアリス
掛け布団ぶとん」の略。
相撲で、足を相手の足に掛けて倒す技の総称内掛け・外掛けなど。
女帯の、締めはじめるほうの端。
名詞について、かけること。また、かけるもの。「洋服―」
10 言葉に掛けて言うこと。
らが名に―のよろしき朝妻の片山ぎしに霞たなびく」〈・一八一八〉
11 掛け緒。
折烏帽子に―して」〈義経記・二〉
[接尾]
動詞の連用形に付く。
動作途中である意を表す。「読み―」「食べ―」「吸い―」
㋑その動作が起ころうとする直前の状態であることを表す。「つぶれ―」
㋒その動作のついでである意を表す。「帰り―」
助数詞
㋐一人で担ぐ程度の物を数えるのに用いる。
衣櫃きぬびつ二―にてあるを」〈松風
㋑細長いものを数えるのに用いる。
「中御門御亭へ馬手綱、二―、弁に一―」〈言継卿記
掛け鯛を数えるのに用いる。
「親仁には、角樽一荷に塩鯛一―、銀一枚」〈浮・永代蔵・六〉

がけ【掛(け)/懸(け)】

[接尾]
名詞に付く。
㋐それを身につけている意を表す。「たすき―」「ゆかた―」
㋑(「心」あるいはそれに類する語に付いて)心の中にいつもあることを抱いている意を表す。「心―」「思い―ない」
㋒それを賭けることを表す。「命―」

人数を表す語に付いて、その人数だけ腰かけられることを表す。「三人―の椅子
漢語の数詞に付いて、その数の割合であることを表す。「定価の八―で卸す」
和語の数詞に付いて、その数だけの倍数であることを表す。「その五つ―」
動詞の連用形に付いて、その動作の途中、その動作のついで、の意を表す。「帰り―」「行き―の駄賃

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「掛」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(異体字)挂
9画

[字音] カ(クヮ)・カイ(クヮイ)
[字訓] かける・かかり

[字形] 形声
声符は卦(か)。卦は卜兆の数を土版にしるすもので、易の卦爻(かこう)をいう。〔易、辞伝上〕に「一を掛けて以て三に象る」とあり、筮竹を指にはさんで分ける意。のち懸の意となり、縊死することを「枝に掛く」のようにいう。

[訓義]
1. 挂(けい)と同字。かける、かかる。
2. 筮法の上から、わける、とる。
3. 国語では、上からかける、よる、たのむ、費用など、多くの使いかたがある。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕掛 カカル

[熟語]
掛画・掛冠・掛剣・掛甲・掛鉤・掛轂・掛軸・掛縄・掛心・掛席・掛単・掛・掛号・掛錫・掛漏

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【打掛】より

…(1)朝廷の儀式に武官が装束の上に着けた裲襠(りようとう)や,舞楽用の袖無しの装飾衣をいう。舞楽装束裲襠(2)室町時代以降の武家女性の礼服で掛(かけ)ともいう。小袖に帯を締めた上に打ち掛けて着た同形の表着(うわぎ)で,歩くときに褄(つま)をとるため搔取(かいどり)ともいった。…

【掛目】より

…繭の売買取引における価格算出の乗数。単に掛けともいう。繭は蚕品種などにより同じ重量の繭から同一の重量の生糸が得られるとは限らないところから案出された表示方式で,1kgの生糸を作るのに必要な生繭(なままゆ)の価格を円単位で表す。…

※「掛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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