新庄(市)(読み)しんじょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新庄(市)」の意味・わかりやすい解説

新庄(市)
しんじょう

山形県北東部にある市。1949年(昭和24)市制施行。1955年萩野(はぎの)村、1956年八向(やむき)村を編入新庄盆地のほぼ中央に位置し、北東部は奥羽山脈に属する神室(かむろ)山地の山々が連なり、最上(もがみ)郡7町村のすべてに隣接する。有数の多雪地帯。戦国時代は日野氏が新城とよばれる居館を構えたとされ、1622年(元和8)最上氏改易後は戸沢氏が入部し新城を整備、拡大した。以後新庄藩城下として明治まで11代、250年間続いた。城下町は指首野(さすの)川扇状地の扇央から湧水(ゆうすい)帯にかけて形成され、市域西端をよぎる最上川右岸の本合海(もとあいかい)は新庄の河港として栄えた。明治に入り一時新庄県となったが、山形県に合併(1871)以降は最上地方の行政、経済、文化の中心地として発展。JR奥羽本線(山形新幹線)、国道13号(羽州街道)が南北に通じ、東西に走るJR陸羽東線・陸羽西線と国道47号と交差する交通の要衝でもある。また、尾花沢新庄道路の新庄インターチェンジがある。稲作中心の農業と商業に依存した産業構造も、近年では家具製造や弱電、機械部品などが地場産業として成長し、さらに新庄中核工業団地、新庄横根山工業団地も造成されている。北東部は栗駒(くりこま)国定公園の一部。江戸時代に始まり、東北一といわれる約20台の山車(やたい)が繰り出す新庄まつり(8月24~26日。山車行事として国指定重要無形民俗文化財、山・鉾・屋台行事としてユネスコ無形文化遺産)や春のカドニシン)焼き、萩野・仁田山(にたやま)鹿子踊(ししおどり)(県指定無形民俗文化財)などがある。新庄藩主戸沢家墓所は国指定史跡、萩野の旧矢作家住宅(きゅうやはぎけじゅうたく)は18世紀中ごろと推定される片中門造りの典型的な中農家建築で国の重要文化財。鳥越八幡神社本殿拝殿も江戸期の建築技術を伝えるものとして国の重要文化財に指定されている。面積222.85平方キロメートル、人口3万4432(2020)。

中川 重]

『『新庄市史』全10巻(1962~2006・新庄市)』


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