時化(読み)シケ

デジタル大辞泉 「時化」の意味・読み・例文・類語

しけ【時化】

《動詞「しけ(時化)る」の連用形から》
風雨のために海が荒れること。「時化で出港できない」⇔なぎ
海が荒れて不漁であること。「時化のため入荷が少ない」
興行などで客の入りが悪いこと。また、商売が思わしくないこと。不景気。
[類語](1荒れ大荒れ荒れる崩れるぐずつくしける荒れ模様荒天悪天候暴風雨/(3不景気不況恐慌夏枯れ冬枯れ

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精選版 日本国語大辞典 「時化」の意味・読み・例文・類語

し‐け【時化・湿気】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「しける(時化)」の連用形の名詞化 )
  2. 海で暴風雨が続くこと。海が荒れること。
    1. [初出の実例]「なげいれる・しけにはよくをはなれぶね」(出典:雑俳・削かけ(1713))
  3. 暴風雨のために漁獲が少ないこと。転じて、収入や収穫が少なく不景気なこと。また、商売が思わしくないこと。
    1. [初出の実例]「鮫がとれねば荒波(シケ)じゃとて、生担桶(いけたご)洗ふ偏屈者」(出典:談義本・銭湯新話(1754)四)
    2. 「あの面(つら)。あの口附。あの物ごし。共に材料に至妙なるかな。種の匱乏(シケ)のときは是非に及ばぬ」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一一)
    3. 「無仕事(シケ)に定めて飲んだどぶろく」(出典:あの道この道(1928)〈十一谷義三郎〉三)
  4. 幾日も降り続く雨。
    1. [初出の実例]「今日しも雨のつれづれに、いとどわびしき中庭より、空を詠めて哀れげに『爺(ちゃん)や、林雨(シケ)とやらになるといけないのふ』」(出典:人情本・春色恵の花(1836)初)

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普及版 字通 「時化」の読み・字形・画数・意味

【時化】じか(くわ)

時のなりゆき。時勢。〔呂覧、決勝〕智ならば則ち時を知る。時を知らば、則ちの變を知り、先後、縱舍(しようしや)の數を知る。

字通「時」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「時化」の意味・わかりやすい解説

時化
しけ

強い風のために、海面が荒れている状態。波高が4メートル以上の場合をいうことが多い。風と高波ほかに、しばしば雨、雪、悪視程などを伴い、船の航行操業が著しく妨げられる。時化は、(1)台風、(2)発達した低気圧、(3)冬の強い季節風などによっておこる。(2)と(3)の場合は、時化の海域が非常に広範囲に及び、かつ継続時間が何日間にもわたることがある。気象庁は、東経100~180度、赤道~北緯60度の範囲の海域の海上警報を国際的に分担するほか、近海をいくつかに分けて、それぞれの海域に対し最寄り海洋気象台やおもな気象台が海上警報を行っている。

[平塚和夫]

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