デジタル大辞泉 「朔」の意味・読み・例文・類語

さく【朔】[漢字項目]

人名用漢字] [音]サク(呉)(漢) [訓]ついたち
ついたち。「朔日告朔
北の方角。「朔風朔北
暦。「正朔
[名のり]きた・はじめ・もと

さく【×朔】

太陽との黄経が等しくなる時。月は太陽と同じ方向にあり、地球に暗い半面を向けるので、見えない。新月。→ぼう
太陰暦で、月の第1日。ついたち。
昔、中国で、天子歳末諸侯に与えた翌年の暦と政令

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精選版 日本国語大辞典 「朔」の意味・読み・例文・類語

さく【朔】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 陰暦で、月の第一日。朔日(さくじつ)。ついたち。
    1. [初出の実例]「其大祀及斎日。朔。望。晦。上下弦。廿四気。仮日。並不決死刑」(出典:令義解(718)獄)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐律歴志下〕
  3. 四季の最初の日。四孟(孟春・孟夏・孟秋・孟冬)。四孟の朔日。
    1. [初出の実例]「朔節日則服之。〈謂。朔日者。四孟朔日也〉」(出典:令義解(718)衣服)
  4. 告朔(こうさく・こくさく)のこと。令制で、毎月一日に天皇が大極殿で、諸司の奏する前月の行事や百官の出勤日数などをご覧になった儀式
    1. [初出の実例]「凡天皇、孟月臨軒視朔、大臣預点殿上侍従四人奉事者二人、所司各供其事」(出典:延喜式(927)一一)
  5. 太陽と月の黄経が等しくなる現象、およびその時刻をいう。朔をすぎて、夕方西空に初めて見える細い月を新月という。〔遠西観象図説(1823)〕
  6. 古代、中国で、天子が、歳末に翌年一二か月の暦および政令を諸侯に頒布したこと。また、その暦および政令をいう。〔周礼‐春官・大史〕
  7. 北。北方。朔北。〔書経‐堯典〕

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普及版 字通 「朔」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 10画

(旧字)
10画

[字音] サク
[字訓] ついたち・はじめ・きた

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
声符は(ぎやく)。(逆)の初文。は〔説文〕七上に「の一日、始めて(よみがへ)るなり」とあり、畳韻をもって説く。西周の金文に、一ケ月の月相を四週に分かち、第一週を初吉という。吉は詰。月の形がはじめて回復に向かって実(み)つる意。は金文にみえず、ってその上限に至る意で、月の初日とする。北方をとするのは、北方を上方と考えたからであろう。

[訓義]
1. ついたち。
2. こよみ。
3. はじめ、はじまる。
4. よあけ、あさ。
5. きた。
6. はじめにならす小鼓。

[古辞書の訓]
名義抄 ツイタチ・キタ・ハジメ・アラタム・ウゴカス・カスカナリ 〔字鏡集〕 ハジメ・ウゴカス・ツイタチ・キタ・アラタム・カスカナリ・ミツ・サカノボル

[声系]
〔説文〕に訴・泝の或る体としてをあげる。ともに声に従う。斥は、もとみな声に従う字である。

[熟語]
朔雲朔裔・朔易・朔・朔管朔雁・朔気・朔客朔禽・朔月朔鼓朔鴻朔塞・朔参朔霰・朔日・朔旬・朔食・朔吹朔垂朔陲・朔政・朔雪朔旦・朔・朔土・朔馬・朔漠・朔鄙・朔・朔風・朔辺・朔方・朔望・朔北・朔野
[下接語]
陰朔・易朔・河朔・改朔・朔・気朔・季朔・月朔・元朔・弦朔・告朔・歳朔・受朔・旬朔・閏朔・渉朔・正朔・節朔・聴朔・幕朔・八朔・頒朔・辺朔・奉朔・北朔・幽朔

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改訂新版 世界大百科事典 「朔」の意味・わかりやすい解説

朔 (さく)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朔」の意味・わかりやすい解説


さく
new moon

太陽と月との黄経が等しくなるとき。このときの月を新月といい,月齢計算の起点とする。

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百科事典マイペディア 「朔」の意味・わかりやすい解説

朔【さく】

新月

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朔」の意味・わかりやすい解説


さく

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【月齢】より

…月と太陽が同じ方向にきたとき(視黄経の一致したときで朔(さく)という)からの経過時間を,日を単位として表したもの。太陰暦では朔を含む日を月の初日(朔日)としたので,1.0~2.0日だけ暦日が先行する。…

【朔望月】より

…太陽に対して月が天球を一周する時間で,29.530589日。太陽と月の黄経の差が0度のときを朔といい,180度のときを望という。ある朔から次の朔まで(あるいはある望から次の望まで)を朔望月という。…

【新月】より

…月と太陽の視黄経が一致する瞬時。朔(さく)ともいう。太陰暦では一般にこれを含む日を各月のはじめの日(朔(ついたち))とした。…

【月】より


[公転周期]
 公転周期は基準となる方向をどこにとるかによって異なった値をとる。動かないと思われる恒星の方向を基準にする恒星月の平均値は27.32166日,歳差で動く春分点の方向を基準とした分点月の平均値は27.32158日,動いている太陽の方向を基準にとった公転周期である朔望(さくぼう)月の平均値は29.53059日である。この朔望月は月が満ち欠けを繰り返す周期で,暦の上での1ヵ月は朔望月であることが多い。…

【胞子囊】より

胞子体上に生じ,胞子をつくる無性生殖器官。藻類や菌類では単細胞性で,栄養細胞と同形かそれより大きい。コウジカビなどの子囊菌類では子囊ascus,マツタケなどの担子菌類では担子器basidiumと呼ばれる。陸上生活をするコケ植物と維管束植物では多細胞性の囊状構造である。コケ植物の胞子囊である蒴(さく)capsuleは胞子体の先端に生じる。シダ植物の胞子囊は,ワラビなどのシダ類では小さく,胞子囊壁は薄いが,他の類では大きく,壁も厚い。…

※「朔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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