日本歴史地名大系 「庄原市」の解説 庄原市しようばらし 面積:二四四・七九平方キロ中国山地の南麓、西城(さいじよう)川中流域の庄原盆地を中心に付近一帯の山地を市域とし、旧恵蘇(えそ)郡南部および旧三上(みかみ)郡全域を占める。市域の中央を西城川が西流し、北に勝光(しようこう)山(九四七メートル)、南東に大黒目(おおぐろめ)山(八〇一メートル)がそびえる。東は比婆郡西城町・東城(とうじよう)町、西南は三次(みよし)市、南は双三(ふたみ)郡三良坂(みらさか)町・甲奴(こうぬ)郡総領(そうりよう)町、北は比婆郡口和(くちわ)町・比和(ひわ)町と接する。市域内のいたるところで埋蔵文化財が発見されており、早くよりひらけた地であったと思われる。南東部、本村(ほんむら)川上流域では砂鉄による鑪(たたら)製鉄が古くより行われ、北部の川北(かわぎた)町大津恵(おおつえ)、界谷(さかえだに)なども鉄山業の盛んな地であった。近世初頭におこった商業地庄原の名をもって市名とする。〔原始〕縄文時代以前の遺跡は未発見であるが、弥生時代のものとしては本村町の大原(おおはら)一号遺跡で住居跡二、新庄(しんじよう)町の西山(にしやま)遺跡で前期の土壙一、中期の住居跡二、七塚(ななつか)町の大唱山(おおなるやま)遺跡で住居跡一、山内(やまのうち)町の田尻山(たじりやま)遺跡で土壙一などが発見されている。三次・庄原地方は県下でも古墳が集中していることで知られるが、市域には一千基以上の古墳が分布すると推定されている。本村町・峰田(みねた)町など本村川上流域には住居跡・古墳などが多数分布し、約一三〇が確認されており、両町にまたがる月貞寺(げつていじ)古墳群は、古墳三三、土壙三からなる大規模なものである。前方後円墳としては、掛田(かけだ)町の旧寺(ふるでら)古墳(全長六四メートル)をはじめ、本(ほん)町の瓢山(ひさごやま)古墳(県指定史跡)、小用(およう)町の広政(ひろまさ)一号墳などがあり、峰田町の千(せん)ヶ寺(じ)古墳群は県内最初の発見である前方後方墳を含む。また本村町の鍬寄(くわよせ)一号墳は県内第二の規模の横穴式石室をもち、本郷(ほんごう)町甲山(こうやま)山麓には山陽地方では珍しい横穴の群集墓がある。西城川南岸の掛田町明神(みようじん)山・迫田(さこだ)と門田(もんで)町笹淵(ささぶち)一帯には県内有数の規模で古墳時代の住居跡群がある。また古墳時代中期の住居跡三日市(みつかいち)町大成(おおなり)遺跡からは鞴の羽口が出土した。新庄町永宗(ながむね)遺跡からは古墳時代の住居跡四、建物跡三とともに、高さ六〇センチの甑などが出土。これら諸遺跡は中国縦貫自動車道など道路新設に伴い発見されたものが多く、破壊されたものも少なくない。なお、門田町の西城川河原から、一千五〇〇万年より一千万年前に生息したクジラの化石が大量に発見されている。 庄原市しようばらし 2005年3月31日:庄原市と比婆郡東城町・西城町・比和町・高野町・口和町、甲奴郡総領町が合併⇒【東城町】広島県:比婆郡⇒【西城町】広島県:比婆郡⇒【比和町】広島県:比婆郡⇒【高野町】広島県:比婆郡⇒【口和町】広島県:比婆郡⇒【庄原市】広島県⇒【総領町】広島県:甲奴郡 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「庄原市」の意味・わかりやすい解説 庄原〔市〕しょうばら 広島県北東部,中国山地と吉備高原上にある市。江川および高梁川の支流域に広がり,岡山県,鳥取県,島根県の 3県に接する。1954年庄原町と高村,本田村,敷信村,山内東村,山内西村,山内北村の 6村が合体して市制。2005年総領町,西城町,東城町,口和町,高野町,比和町の 6町と合体。中心市街地の庄原は,かつては西城川舟運の終点の市場町として発展。今日でも備北の政治,経済,文化の中心をなす。農村部では米作,肉牛飼育を主体とする。中央部の勝光山(947m)はろう石の産地で,一部はクレーに加工される。工業は自動車部品,家具,繊維が中心。南西部の七塚原には県の畜産技術センターがある。円通寺(本堂が国指定重要文化財)や蘇羅彦神社などの古社寺があり,寄倉岩陰遺跡(国指定史跡)などの遺跡や古墳も多く残る。塩原の大山供養田植と比婆荒神神楽は国の重要無形民俗文化財に指定されている。船佐・山内逆断層帯,熊野の大トチ,比婆山のブナ純林などは国指定天然記念物。北部の道後山,比婆山および南東部の帝釈峡(国指定名勝)の付近一帯は比婆道後帝釈国定公園に,神野瀬川上流にある神之瀬湖とその周辺の渓谷は神之瀬峡県立自然公園に属する。JR芸備線,木次線,国道182号線,183号線,314号線,432号線のほか中国縦貫自動車道,中国横断自動車道が集まる交通の要地。面積 1246.49km2。人口 3万3633(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by