湯沢(市)(読み)ゆざわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯沢(市)」の意味・わかりやすい解説

湯沢(市)
ゆざわ

秋田県南東部にある県南雄勝(おがち)地方の中心的都市。1954年(昭和29)湯沢岩崎の2町と弁天、幡野(はたの)、三関(みつせき)、山田の4村が合併して市制施行。1955年須川村を編入。2005年(平成17)稲川(いなかわ)、雄勝(おがち)の2町および皆瀬村(みなせむら)と合併。JR奥羽本線、国道13号、108号、398号、湯沢横手道路が通じ、湯沢、三関、須川、雄勝こまちの各インターチェンジがある。東部に奥羽山脈、西部に鳥海(ちょうかい)山東部山地があり、北部は横手盆地の南部にあたる。雄物(おもの)川、皆瀬(みなせ)川が市域を北流して北西端で合流する。夏は高温少雨、冬は豪雪となる。

 中世は稲庭(いなにわ)を拠点とした小野寺氏、末期は最上(もがみ)氏の支配下にあった。1602年(慶長7)中心地区の湯沢に秋田藩佐竹氏の一族佐竹義種(よしたね)が入り、以後佐竹南家の居館が置かれた。羽州街道の宿駅でもあり、院内銀山(湯沢市院内銀山町)の鉱石を秋田城下へ送る中継地として商業も活発化した。良米と水に恵まれ、江戸時代から酒造業がおこり、現在では東北の灘(なだ)と称される。7社9工場で1万5315キロリットル(1996)を生産。北部の岩崎は岩崎藩2万石の地で、現在はリンゴなど果樹栽培が盛ん。工業は木工業のほかに、宝石、弱電、縫製製靴などの誘致企業があり、曲木(まげき)木工、洋家具、樺(かば)細工などを特産する。川連(かわつら)で生産される漆器は国の伝統的工芸品に指定され、稲庭のうどんも有名。木地山こけし(きじやまこけし)で知られる木地山高原からさらに南には泥湯(どろゆ)温泉がある。南部の宮城県境付近は栗駒(くりこま)国定公園に含まれ、秋ノ宮温泉郷、小安峡(おやすきょう)温泉がある。縄文期の岩井堂洞窟は国指定史跡。8月6、7日の七夕(たなばた)は、佐竹南家の5代義安が京都から迎えた鷹司(たかつかさ)家の姫を慰めるために始めたという。面積790.91平方キロメートル、人口4万2091(2020)。

[宮崎禮次郎]

『『湯沢市史』(1965・湯沢市)』


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