熱り(読み)ホトボリ

デジタル大辞泉 「熱り」の意味・読み・例文・類語

ほとぼり【熱り/余熱】

さめきらずに残っている熱。余熱。「かまどに―が残る」
高ぶった感情興奮などのなごり。「いまだ―のさめやらぬ面持ち」
事件などがおさまったのち、しばらく残っている世間関心。「―がさめるまで謹慎する」
[類語]温熱火熱かねつ炎熱焦熱熱気温気うんきいきほと余熱地熱電熱気化熱融解熱放射熱灼熱赤熱白熱加熱過熱暖房保温予熱断熱発熱放熱高熱ヒート

ほとり【熱り】

熱くなること。熱を帯びること。また、熱。
「―ヲ冷マス」〈和英語林集成
[類語]温熱火熱かねつ炎熱焦熱熱気温気うんきいきほとぼり余熱地熱電熱気化熱融解熱放射熱灼熱赤熱白熱加熱過熱暖房保温予熱断熱発熱放熱高熱ヒート

ほとおり〔ほとほり〕【熱り】

熱気を発すること。また、その熱気。
「―を避りて居たるときに」〈神代紀・下〉
ほとぼり1」に同じ。
「早玉の緒も切れ果てて…、―ばかりにて」〈浄・堀川夜討
ほとぼり2」に同じ。
「泰衡退治の奥州御陣、―冷めぬ武士ども」〈浄・扇八景〉

いきり【熱り】

熱気。湯気。いきれ。
コークス炎天に―を上げて」〈谷崎悪魔

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「熱り」の意味・読み・例文・類語

ほとぼり【熱・余熱】

  1. 〘 名詞 〙
  2. さめきらないで残っている熱。余熱。ほとおり。
    1. [初出の実例]「余熱(ホトボリ)の残った灰を」(出典恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉二四)
  3. 熱した感情の余勢。興奮の余波。ほとおり。
    1. [初出の実例]「人間と云ふものは少し熱気(ホトボリ)が脱(ぬけ)ると苦しい事は忘れてしまふものだから」(出典:塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉一〇)
  4. 事件などに関して、事後に引き続いてもつ世間の注目や関心。
    1. [初出の実例]「ほとほりをぬく内むすめかかり人」(出典:雑俳・柳多留拾遺(1801)巻八下)

熱りの語誌

( 1 )元来は「ほとほる」の連用形名詞化「ほとほり」で、「ほとほる」は「ほ(火)+とほる(通)」と考えられている。
( 2 )中世には「ホトヲル」「ホトヲリ」と読まれていた(「色葉字類抄」「日葡辞書」)が、一方、中世末から灯がつく意の「とぼる(点)」が用いられるようになって「ほとほる」が「ほ(火)+とぼる(点)」と解され、濁音形の「ほとぼり」が出現したと考えられる。


いきり【熱・&JISEC7A;】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「いきる(熱)」の連用形の名詞化 ) いきれること。また、いきれるもの。熱っぽい空気
    1. [初出の実例]「残るあつさのいきりあるころ 大火たく煙は霧にむすほふれ」(出典:俳諧・望一後千句(1652)七)

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