鹿児島県大島郡にあり、沖永良部島(おきのえらぶじま)の西半分を占める町。1946年(昭和21)町制施行。島で最高峰の大山(おおやま)(240メートル)を中心に大部分が隆起サンゴ礁で覆われ、ドリーネや鍾乳洞(しょうにゅうどう)などのカルスト地形が発達している。中世、琉球王国(りゅうきゅうおうこく)に属したが、近世初頭の島津氏の侵略以後は薩摩(さつま)藩領となった。農業が中心で、サトウキビ、エンドウ、ジャガイモ、サトイモなどの野菜栽培、ユリ、フリージアなどの花卉(かき)栽培のほか、肉用牛の生産が盛んである。自然の景勝地が多く、大規模な鍾乳洞の昇竜(しょうりゅう)洞(県天然記念物)や水連(すいれん)洞をはじめ、田皆(たみな)岬、屋子母(やこも)海岸など奄美(あまみ)群島国立公園に指定されている。住吉にある暗川(クラゴー)は、かつて集落の生活用水をまかなっていた石灰岩地帯の典型的な地下河川として貴重である。面積53.30平方キロメートル、人口5750(2020)。
[平岡昭利]
『『知名町郷土誌』(1982・知名町)』
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鹿児島県大島郡,沖永良部(おきのえらぶ)島西半を占める町。人口6806(2010)。隆起サンゴ礁からなる段丘状の地形で,町中央部にある島の最高峰大山(240m)を中心にカルスト地形が発達し,環状のドリーネや無数の鍾乳洞がある。地下水が湧く旧期と新期の隆起サンゴ礁の境界線付近に集落が輪状に形成されている。亜熱帯樹林が繁茂する大山周辺以外は比較的平たん面が広く,サトウキビ,エラブユリ,フリージア,アマリリス,野菜などの畑地となっている。畜産も活発である。奄美群島国定公園の一部で,全長2200mにおよぶ日本有数の鍾乳洞昇竜洞をはじめ水連洞などの数多くの鍾乳洞,住吉海岸,屋子母(やこも)海岸,高さ40mの大絶壁がそそり立つ田皆(たみな)岬など景勝地が多い。田皆岬付近からトラバーチン(石灰岩の一種)が採掘される。
執筆者:赤池 享一
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