デジタル大辞泉 「高名」の意味・読み・例文・類語
こう‐めい〔カウ‐〕【高名】
1 高い評価を受け、広く一般の人々に名前を知られていること。また、そのさま。こうみょう。「
2 相手を敬って、その名をいう語。「御
→有名[用法]
[類語](1)美名・名声・名聞・盛名・英名・令名・
( 1 )漢語の原義は、高い名声、すなわち、立派だ、あるいは優れているという世間的評価の意であり、挙例の「枕草子」をはじめとして、平安末期までは、その意味の用例がほとんどである。
( 2 )鎌倉初期から、特に軍記物語において、③の意味用法が派生し、以後、この意味の用例が圧倒的に多くなる。
( 3 )もと、「高名」の字音についてはカウミョウ、カウメイの二通りの読み方があったが、別にコウメイと読まれた「功名」があって、コウ、カウの区別が乱れた室町末期に至ると、意味的近似から混同する例が現われ、江戸時代には、ミョウ、メイの弁別意識も薄れて混同が進み、明治以降は、手柄の意の「コウミョウ」を、専ら「功名」と表記するようになった。→「こうみょう(功名)」の語誌
戦場において忠功をつくし武名をはせること。功名ともいう。これを記録した帳簿を高名帳といった。一般に,敵の首級とともに,その所持品,冑,刀などの武具を戦利の証拠として奪うことを分捕(ぶんどり)高名といった。分捕高名の語は《平家物語》にもすでに散見する。高名には報酬がともなうが,それは手柄の大小によりさまざまであった。すなわち,所領の給与をはじめ武器,衣類あるいは黄金,砂金なども与えられ,時として姓名を付与する場合や,軍功を録しこれを賞する感状(かんじよう)が下賜されることもあった。本来,弓矢を主体とした個人戦では,一騎打ちによる組打ちが高名の一番とされ,ついで太刀打ち・槍・弓という順であった。しかし足軽が活躍する中世後期の戦闘形態では,団体戦での槍の機能が重視されるようになり,槍先の功名を1位とする風潮が生じた。いずれにしても,武器が敵に接近した場合ほど,手柄の度合は大きいとされた。
執筆者:関 幸彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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