精選版 日本国語大辞典 「粒」の意味・読み・例文・類語
つぶ【粒】
[1] 〘名〙
① 小さくて丸いもの。
※随筆・北越雪譜(1836‐42)初「天寒の強(つよき)と弱(よわき)とによりて粒珠(ツブ)の大小を為す」
② 穀物の種子。〔春林本下学集(室町末)〕
③ ムクロジの皮をとった黒い固い種子。羽子突(はねつき)の羽根や、おはじき、穴一(あないち)などに用いた。つぶこかし。
※浄瑠璃・心中万年草(1710)上「糠袋はおれに下され、巾着にしてあないちのつぶ入ます」
④ 植物「むくろじ(無患子)」の異名。〔訓蒙図彙(1666)〕
⑤ 小銭(こぜに)のこと。→粒三文。
⑥ 算盤(そろばん)の珠(たま)。
⑦ 人または物の集まりを作っている個々の人または物。また、その質。→粒が揃(そろ)う。
※第2ブラリひょうたん(1950)〈高田保〉保守「昔に比べて政治家の粒が小さいとよくいわれる」
⑧ 能や長唄の囃子(はやし)で、打楽器の一打ち(打音)をいう。
⑨ 歌舞伎で用いる鬘(かつら)の一つ。髷(まげ)が小さく、丸い形のもの。端敵(はがたき)や三枚目の役が用いる。
⑩ =つぶ(螺)《季・春》
[2] 〘接尾〙
① 種子や丸薬など、丸く細かいものを数えるのに用いる。
※日本読本(1887)〈新保磐次〉五「その卵一粒の大きさは大抵粟粒の如く、或は砂の如し」
② 近世、一分金(いちぶきん)を数えるのに用いる。
※洒落本・田舎談義(1790)「とち栗毛の馬ァな三ふやろうか稲毛へ乗って行きやァかって十粒負をふたした小粒一チ分を一トふといふ」
つぼ【粒】
〘名〙 (「つぶ(粒)」の変化したもの) 中世以降の俗語形で、他の名詞に付けて用いることが多い。「ひとつぼ」「米つぼ」など。
※虎清本狂言・泣尼(室町末‐近世初)「いかなひとつぼもやるまいぞ」
りゅう リフ【粒】
〘接尾〙 穀物、丸薬など粒状の物の数をかぞえるのに用いる。つぶ。
※日葡辞書(1603‐04)「Ichiriǔ(イチリュウ)〈訳〉穀粒や丸薬など粒状のもののかぞえ方」 〔孫楚‐蝉賦〕
つび【粒】
〘名〙 「つぶ(粒)」の古名。
※新訳華厳経音義私記(794)「数其滴 古経為二渧字一滴音宅、訓都飛」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報