デジタル大辞泉
「度」の意味・読み・例文・類語
ど【度】
[名]
1 物事のほどあい。程度。また、限界。「度を過ごす」「親密の度を深める」「度を越す」
2 回数。たび。「―を重ねる」
3 数量・程度などを表す単位。
㋐温度の単位。→セ氏温度 →カ氏温度
㋑経度・緯度の単位。
㋒角度の単位。円周を360等分し、その一単位の弧に対する中心角の角度を1度とする。
㋓めがねの強さを示す単位。焦点距離をメートルで表した数の逆数で示す。「近視の―が進む」
㋔音程の単位。全音階では、二つの音が同音のものを1度とし、各音が隔たるごとに2度、3度と数える。
㋕アルコールの含有量を示す単位。1度はアルコール分が1パーセントであることを示す。
[接尾]助数詞。物事の回数を数えるのに用いる。回。たび。「二―三―と繰り返す」
[類語](1)程度・度合い・程/(3)示度
より【▽度】
[接尾]助数詞。回数を数えるのに用いる。たび。回。
「僧も俗もいま一―とよみて、額をつく」〈紫式部日記〉
たんび【▽度】
「たび(度)」を強めていう語。「見る度に感心する」
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ど【度】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 物事の程度をさしていう。ほど。限り。また、基準。きまり。
- [初出の実例]「浄桶に水をいるる法は〈略〉九分を度とする」(出典:正法眼蔵(1231‐53)洗浄)
- 「王臣度をまもらざるにただしく、孝行の思自然にふかし」(出典:御伽草子・鴉鷺合戦物語(室町中))
- [その他の文献]〔書経‐太甲中〕
- ② 平常の心の状態。→度を失う。
- ③ ころ。時代。多く時代を表わす語に付けて用いる。
- [初出の実例]「慶長度(ド)関ケ原の砌り」(出典:歌舞伎・五十三駅扇宿附(岡崎の猫)(1887)三幕)
- ④ 測量、測定する器具にしるされる目盛。また、その単位。
- (イ) 温度、経緯度、音階、アルコール含有量など、さまざまな単位として用いる。
- [初出の実例]「アムステルダムは〈略〉北極出地五十二度廿三分に当りて」(出典:紅毛雑話(1787)三)
- 「大砲を〈略〉山王台に押据ゑ、測見の度(ド)を確と見定め」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉九)
- (ロ) 角度の単位。円周を三六〇に等分し、その一単位の円周が中心をふくむ角を一度という。
- [初出の実例]「天の一回は三百六十度也、〈略〉三十度を一時に廻り」(出典:乾坤弁説(1656)利)
- (ハ) 視力の程度、または眼鏡の強度。
- [初出の実例]「一寸度のかかった目金をかけてゐる」(出典:湯島詣(1899)〈泉鏡花〉七)
- ⑤ 割合。数を表わす語に付けて用いる。
- [初出の実例]「ハイ、平常は四六度(ド)でございますが、今日はお酉様ゆゑ、〈略〉両一でござります」(出典:歌舞伎・八重霞曾我組糸(1823)三立)
- ⑥ ( 波羅蜜(pāramitā 到彼岸の意)の訳語 ) 仏語。生死を海にたとえ、迷いの世界であるこちらの岸(此岸)から、証果のあちらの岸(彼岸)に達することをいう。また、菩薩の修行をいう。→六度。〔大乗義章‐一二〕
- ⑦ 仏門にはいって出家受戒すること。「得度」「度僧」などと熟して用いる。
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 回数を数えるのに用いる。たび。
- [初出の実例]「天も響き大地もゆるぐ程に、時をぞ三ケ度つくりける」(出典:平家物語(13C前)八)
- [その他の文献]〔北史‐李彪伝〕
たび【度】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① ある動作の行なわれる、またはある状態にある、その時。おり。
- [初出の実例]「前の度(タヒ)には、衆多の弟子有りき」(出典:百法顕幽抄平安中期点(900頃))
- ② 回数。度数。
- [初出の実例]「この道を行きかふたび、かさなるを思ふにそこはかとなく物あはれなるかな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
- ③ ( 連体修飾語を受けて ) その時ごと。その時はいつも。たびごと。
- [初出の実例]「おもひやれ君が面かげたつ浪のよせくるたびにぬるるたもとを」(出典:平家物語(13C前)四)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 数を表わす語について度数を表わすのに用いる。
- [初出の実例]「白波の寄そる浜辺に別れなばいとも術(すべ)なみ八(や)多妣(タビ)袖振る」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三七九)
- 「心細さうな父の態度と言葉とを、幾度(いくタビ)か繰り返し眺めた」(出典:こゝろ(1914)〈夏目漱石〉中)
たんび【度】
- 〘 名詞 〙 「たび(度)」の変化した語。
- [初出の実例]「きかぬぞよ・通るたんびに瓜のかわ」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))
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普及版 字通
「度」の読み・字形・画数・意味
度
常用漢字 9画
[字音] ド・ト・タク
[字訓] はかる・ものさし・のり・わたる
[説文解字]
[字形] 会意
席の省文+(又)(ゆう)。は手。席をひろげる意。〔説文〕三下に「法制なり」とし、「庶の省聲」とするが、庶の声義とは関係がない。庶は煮炊きする意の字である。〔漢書、律暦志上〕に「長短を度(はか)る以(ゆゑん)なり」とあり、席の大きさが長短の基準であった。それで測量・度量の意となる。〔左伝、襄二十五年〕「山林を度る」、〔礼記、王制〕「地を度りて民を居らしむ」などが古い用法である。のち法制・制度の意となり、また渡と通用する。「はかる」という動詞のときには、タクの音でよむ。
[訓義]
1. ものさし、めもり、計量の器。
2. さだめ、きり、ほどあい。
3. のり、おきて、制度。
4. はかる、長短をはかる、広さをはかる。
5. わたる、わたす、こえる。
6. くりかえす、たび。
7. 宅と通じ、おる。
8. (たく)と通じ、きる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕度 ワタル・ハカル・タクミ・モロモロ・タビ・ミチスグル・ミル・ハカリゴト・ヲリ・ノリ・オク・タス/一度 ヒトタビ 〔字鏡〕度 チカシ・ノリ・ハカリゴト・スグル・ハカル・ミル・タクラフ・ワタル・モロニ・ミチ・ノトル・オク・ヲリ・タビ・ノカシ・アト
[声系]
〔説文〕に度声として・渡など三字を収める。四下は「(わか)つなり」、渡十一上は「濟(わた)るなり」と訓し、みな度の声義を承ける。
[語系]
度・・渡dakは同声。長短を度って切ることをという。
[熟語]
度引▶・度義▶・度曲▶・度支▶・度詢▶・度地▶・度徳▶・度内▶・度越▶・度外▶・度紀▶・度規▶・度揆▶・度儀▶・度擬▶・度矩▶・度計▶・度航▶・度功▶・度朔▶・度索▶・度算▶・度詞▶・度渉▶・度数▶・度世▶・度声▶・度制▶・度僧▶・度程▶・度法▶・度厄▶・度与▶・度量▶・度▶
[下接語]
偉度・緯度・引度・営度・越度・遠度・王度・億度・臆度・温度・過度・雅度・角度・格度・軌度・規度・揆度・器度・儀度・擬度・議度・究度・曲度・局度・極度・襟度・計度・経度・限度・考度・宏度・高度・衡度・曠度・差度・才度・済度・察度・姿度・揣度・識度・尺度・準度・初度・商度・常度・制度・性度・節度・則度・測度・忖度・大度・態度・中度・丁度・調度・都度・程度・適度・躔度・得度・徳度・百度・品度・布度・風度・服度・法度・密度・明度・逾度・預度・用度・律度・料度・量度・礼度
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度
ど
degree
ある量の割合を示す単位。一般に計るとか物差しの意であるが、単位としては角度、温度、眼鏡の屈折度など各種の量に用いられる。英語の語源はラテン語の「木の階段」で、段階とか歩度の意味である。正確には○○度と、単位の内容を示すことばをつけるべきであるが、単位の内容がわかっている場合はそれを省略して、単に数値に度をつけて表す場合が多い。
[小泉袈裟勝]
円の4分の1を90等分したもの。1円周は360度である。数字の右肩に゜をつけて表す。
[小泉袈裟勝]
温度の目盛りによって摂氏度(℃)、華氏度()、列氏度()で表す。
[小泉袈裟勝]
液体の比重は普通4℃の水を標準にして表されるが、浮き秤(ばかり)に等間隔の目盛りをつけるために考案された各種の目盛りも度で表すことが多い。重ボーメ度、軽ボーメ度、日本酒度、API度、トワッデル度などがある。
[小泉袈裟勝]
アルコール飲料では、温度15℃のもとでのアルコールと水の混合液中におけるアルコールの体積百分率を度とする。
[小泉袈裟勝]
1フランス度は水10万中に1の炭酸カルシウムを、1イギリス度は水7000中に1(たとえば1ガロン中に1グレーン)の炭酸カルシウムを含む場合をいう。1ドイツ度は水10万中に1の酸化カルシウムが含まれていることを表し、水100万中に17.8の炭酸カルシウムが含まれていることに相当する。
[小泉袈裟勝]
単位にディオプトリーdioptoryやツォルzollがあるが、単に度と使う場合が多い。ディオプトリーは、眼鏡の像側の頂点距離をメートルで表した数値の逆数で示す。ツォルは、レンズの焦点距離が1ツォル(ドイツの古い単位で約3センチメートル)のものを1度、2ツォルのものを2度という。
[小泉袈裟勝]
1リットルの純水中に白陶土1ミリグラムを含む場合をいう。日本では上水道の濁度は1度まで認められている。
[小泉袈裟勝]
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度 (ど)
degree
(1)温度の単位であるセルシウス度を,計量法では単に〈度〉といい,補助計量単位の一つとして扱う。度で表される温度の数値は,ケルビンで表される温度の数値から273.15を減じたものとすると定められている。記号は,℃のほかC(他の略字と混同されるおそれがないとき),deg(温度の差を表すとき)と定められているが,Cとdegは国際的には認められていない。
(2)角度の単位。記号は〈°〉。1°=(π/180)radである。国際単位系(SI)以外の単位であるが,SIと併用される単位となっている。
執筆者:高田 誠二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
度
ど
degree
(1) 六十分法の角度の単位 記号は゜である。1゜は円周を 360 等分した弧に対する中心角。すなわち直角の 1/90 。補助単位は分,秒で,1度は 60分,1分は 60秒。弧度法のラジアン (rad) との関係は1゜=(π/180)radである。 (2) 温度または温度差の単位 記号は絶対温度でK ,セ氏温度で℃。温度差に対して以前は記号 deg を用いたが,SI ではK を用いる。
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ど【度】
➀角度・経緯度の単位。記号は「°」。円周を360等分した円弧に対する中心角を1°という。πラジアンの180分の1。1°の60分の1を1分、3600分の1を1秒という。直角は90°、三角形の内角の和は180°になる。
➁温度の単位。基準の取り方により、表示法は異なる。記号は、セルシウス度は「℃」、ケルビン温度では「K」などである。
➂日本の酒税法上の定義で、アルコール性飲料の含有アルコールの容量を%で表したもの。15℃で計測することが定められており、15度の日本酒では、アルコール分が容量で15%含まれている。
出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報
度
ド
degree
【Ⅰ】セルシウス温度の単位.記号 ℃.絶対温度の単位はケルビン(K)で°K とは記さない.【Ⅱ】平面角の単位.記号°.1° = (π/180)rad(ラジアン).【Ⅲ】ボーメ度.液体の密度の単位として工業的に用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
度[degree]
音程を示す単位。またトニックに対する和音の位置の表現としても使われる。短3度、のように、数字の前に長、短、完全、増、減などを付けて使う。
出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報
ど【度】
酒類のアルコール含有量を示す単位で、摂氏15℃の時のエチルアルコール分の容量が全体の何%にあたるかで表したもの。
出典 講談社飲み物がわかる辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の度の言及
【音程】より
…二つの音の高さのへだたりを音程といい,同時的に響く2音のへだたりは和声的音程,順次的に響く2音のへだたりは旋律的音程と呼ばれる。ふつう音程を計るには,西洋音楽の基礎となっている7音音階(全音階)の各段階をもとにして〈度〉という単位を用いる。すなわち,同一段階の2音は同度または1度,二つの段階にまたがる2音は2度というふうに呼ぶ。…
【直角】より
…∠Rを角の大きさの単位として用いることもあるが,ふつうは(1/90)∠Rや(2/π)∠R(πは円周率)を角の大きさの単位とする。前者の単位を度,後者の単位をラジアンという。【中岡 稔】。…
【度量衡】より
…
[語義と出典]
度,量,衡の3文字は順に,長さ,体積,質量を意味し,同時にそれぞれをはかるための道具(ものさし,枡,はかり)や基準を意味する。なお衡と類縁の文字で権(けん)というのもあるが,これは,はかりそのものではなく,分銅のほうを指す。…
※「度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」