胚芽をできるだけ残し、外皮はできるだけ除くように精白した米。ビタミンB1含量が白米よりかなり多いので昭和20年代の初めまではかなり推奨されたが、食味がよくなく、また強化米の出現で需要は少なくなった。しかし近年、胚芽保有率80%以上(精白度91~93%)に精白した「はいが精米」が開発され、1977年(昭和52)より配給米となった。これは100グラム当りビタミンB1含量が0.3ミリグラムと高く、水洗せずに普通の炊飯器で二度炊きすれば、おいしい飯となるので、ふたたび見直されている。すなわち「はいが精米」は不淘米(ふとうまい)であるので、水洗しないから、水洗のとき吸水する分として2割程度多く水を加える(1カップに対し1.4、また少量のときには1.5)。また炊飯時、白米より熱を多く必要とするから、炊飯器の蓋(ふた)が十分締まっているよう注意し、一度炊き上がって電気釜(がま)のスイッチが切れてから、もう一度スイッチを入れて加熱を長くする、いわゆる二度炊きを行う。このようなことに注意すればおいしい飯ができあがり、冷飯となってもぼろぼろすることが少ない。なお胚芽米には、ビタミンB1のほか、B2・B6・E、必須(ひっす)アミノ酸、カルシウムなどが含まれている。
[不破英次]
外皮はほとんど除くが,胚芽をできるだけ残した精米をいう。脚気や潜在性ビタミンB1欠乏症を治療し予防するのに有効であるということで,昭和の初期にはかなり推奨されたことがある。近年は合成のビタミンB1が安価になり,強化米ができるようになったので,需要は少なくなったが,最近また見直されている。胚芽米精米機が開発され,搗精(とうせい)方法としては,分銅抵抗をはじめに強くし後で弱める,搗精の途中でいったん冷却するなど特別にくふうされているが,原料としては粒形の丸い米や,乾燥のよい米は胚芽が残りやすいといわれている。最近の胚芽米は胚芽保有率80%以上の精米であることの条件が規定されている。
胚芽米はビタミンB1,B2,B6,Eのほか必須アミノ酸,カルシウムなどを含有しており,毎日の食事を通じてバランスよく自然の栄養を摂取できる。とくにビタミンEの効用が研究され,老化防止と動脈硬化に伴う成人病予防に効果があるといわれている。また胚芽米はとがずに炊けるように精米されており,軽く2度くらい水洗いするだけにとどめるのがよい。胚芽米は胚芽が残っていて貯蔵中に変質しやすいので夏季には注意が必要である。
執筆者:竹生 新治郎
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…イネ【竹生 新治郎】
[食用]
白米の精白歩留りが90~92%であるのに対して,歩留りが95~96%のものを半搗米または5分搗米,93~94%のものを7分搗米と呼んでいる。また,胚芽を残してぬか層のみを除いたものを胚芽米と呼んでいる。一般に米を玄米のまま炊飯利用せず,白米として炊飯利用するのは,玄米は不味であり消化率も低いためである。…
※「胚芽米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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