(読み)モチ

デジタル大辞泉 「糯」の意味・読み・例文・類語

もち【×糯】

きびなどで、炊いたときに粘りけが多くもちを作ることができるもの。→うる
[類語]玄米白米新米古米古古米うるち粳米糯米黒米胚芽米精白米内地米外米早場米遅場米新穀米粒飯粒小米屑米

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精選版 日本国語大辞典 「糯」の意味・読み・例文・類語

もち【糯】

  1. 〘 名詞 〙 粘りけが多くて、搗(つ)いて餠とすることのできる米・粟・黍(きび)などの称。⇔粳(うる)粳(うるち)
    1. [初出の実例]「禅師聞きて、糯(モチ)干飯の舂き(ふる)ひたる二斗、之を以て師に施し、〈国会図書館本訓釈 糯 モチノ〉」(出典日本霊異記(810‐824)下)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「糯」の意味・わかりやすい解説


もち

イネ科の栽培植物であるアワイネオオムギキビトウモロコシなどは、同一植物種のうちで内胚乳(はいにゅう)に貯蔵するデンプンが粳(うるち)性のものと糯性のものが存在する。またハトムギは糯性のみであるが、その野生種であるジュズダマは粳性のみである。イネ科以外にヒユ科センニンコクの一種アマランサス・ヒポコンドリアカスは、同一種内で外胚乳のデンプンが粳性のものと糯性のものがみつけられている。粳性のデンプンは直鎖成分のアミロース約20~25%と分枝鎖分子75~80%からなるのに対し、糯性のデンプンはアミロースをほとんど含まず、大部分アミロペクチンからなる。糯性はただ一つの主動、潜性、胚乳遺伝子(wx)によって支配されていることが知られている。糯性のものは胚乳デンプンとともに花粉のデンプンが糯性である。糯性の穀物のねばねばした食感は、照葉樹林文化の影響下にある人々に古くから好まれてきた。

[不破英次]

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普及版 字通 「糯」の読み・字形・画数・意味


20画

[字音]
[字訓] もちごめ・もち

[字形] 形声
声符は需(じゆ)。需に懦(だ)の声がある。〔説文七上に「(だん)、沛國、稻を謂ひてと曰ふ」とあり、糯はと声義が近い。また(じゆつ)字条に「稷(しよく)の黏(ねば)るなり」とあるのも、もち米をいう。

[訓義]
1. もちごめ。
2. もち。

[古辞書の訓]
名義抄〕糯 モチノヨネ

[熟語]
糯粟糯稲・糯米

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改訂新版 世界大百科事典 「糯」の意味・わかりやすい解説

糯 (もち)

イネ,ムギ,アワ,トウモロコシなどのイネ科植物の種子にみられる性質,またはそのような性質をもった種子をさし,炊いたときに粘りが強く,ついて餅にすることができる。うるちに対することば。一般には餅や赤飯をつくる米(もち米)をさし,胚乳が白くて不透明なものが多い。米デンプンはアミロースとアミロペクチンからできているが,もち米デンプンはほとんどアミロペクチンのみで,これがうるち米に比べて粘りの強い原因である。もち米のなかには胚乳が半透明でうるち米と見分けにくい〈めくらもち〉と呼ばれるものがあるが,ヨード,ヨードカリ溶液で染色すると,もち米は赤褐色に,うるち米は青藍色になるので簡単に区別することができる。もち米は餅や赤飯にする以外に白玉粉,ぎゅうひ粉,寒梅粉,手焼微塵粉,道明寺粉などの穀粉原料になる。まただんごそのほか各種の菓子原料にもなる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「糯」の解説

糯 (モチ・モチネ)

植物。イネ科のイネの品種。モチイネの別称

糯 (モチ)

植物。稲・粟・黍などの品種

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【イネ(稲)】より

…インドネシアなど南アジアの島嶼(とうしよ)部で栽培されるイネは中間型のものが多い。
[水稲と陸稲およびうるち種ともち種]
 日本型とインド型の別を問わず,イネは耕地の水条件に適応して分化したとみられる水稲と陸稲(おかぼ)に区別される。水稲は通常湛水(たんすい)した水田に栽培されるが,耐乾性の強い陸稲は畑に栽培される。…

【米】より

…インド型の米は日本型にくらべて粒形が細長く,飯に粘りがないのが特徴で,日本人の嗜好(しこう)にはあわない。(2)うるち(粳)米ともち(糯)米 日本型,インド型のどちらの米にも,うるち米ともち米がある。飯に炊いて普通に食べるのがうるち米で,精米は半透明なものが多く,光沢がある。…

【栽培植物】より

…インゲンマメ,ビート,タロイモ,キャッサバなどにその例が知られている。 栽培植物にのみ見いだされる特殊な形質の一例は,イネ科穀類の内乳貯蔵デンプンのもち(糯)性である。普通の貯蔵デンプンはうるち(粳)性でアミロース約20~25%,アミロペクチン約75~80%からなっている。…

※「糯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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