デジタル大辞泉 「設ける」の意味・読み・例文・類語 もう・ける〔まうける〕【設ける】 [動カ下一][文]まう・く[カ下二]1 前もって用意・準備をする。「一席―・ける」2 建物・機関などを、こしらえる。設置する。「窓口を―・ける」「規則を―・ける」[類語]備える・用意・支度したく・準備・備え・設け・手配・手配り・手回し・手筈てはず・手当て・段取り・膳ぜん立て・道具立て・下拵したごしらえ・下準備・態勢・整備・設備・施設・備え付ける・しつらえる・設置・装備・装置・完備 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「設ける」の意味・読み・例文・類語 もう・けるまうける【設・儲】 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙 [ 文語形 ]まう・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙[ 一 ] 将来それが必要となるときのために、あらかじめ用意・準備をする。まく。① 前もって用意・準備をする。用意し整える。[初出の実例]「渡守 船も麻宇気(マウケ)ず 橋だにも 渡してあらば」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二五)② 特に、食事や供応、あるいは儀式などのしたくをする。また、そこに来る人を待ちうける。[初出の実例]「四の君もまた御婿取し給はんとまうけ給ふめりと」(出典:落窪物語(10C後)一)③ あらかじめ計画をめぐらす。すぐ応じられるように準備する。用意をととのえて待ち構える。[初出の実例]「夜半許に其の門の許に至て門を押さば、儲て門を開よ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)[ 二 ] 作り構える。また、ある物を自分のものとして備える。① 建物・設備・組織などを作り構える。設置する。[初出の実例]「あなたの御腹の三所、宮の御腹の四所、町々に住ませ奉り給ふ。御男なき御かたも、皆まうけ給へり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)② わが身にゆかりある人を作る。縁を結んで自分のものにする。(イ) 妻・夫・義理の親などの関係を結ぶ。妻・夫・義理の親などを持つ。[初出の実例]「この女いとわろくなりにければ、思ひわづらひて、かぎりなくおもひながら妻をまうけてけり」(出典:大和物語(947‐957頃)一四九)(ロ) 子どもを得る。また、懐妊する。[初出の実例]「故常陸の親王の末にまうけて、いみじうかなしうかしづき給ひし御むすめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)[ 三 ] 思いがけなく身に受ける。① 思いがけなく病気などにかかる。[初出の実例]「財を失ひ、病をまうく」(出典:徒然草(1331頃)一七五)② 思いがけない得をする。利益を得る。また、金銭の利益を得る。利潤を得る。[初出の実例]「衣の要有ければ、衣少し儲と思て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二五)「からき命まうけて、久しく病みゐたりけり」(出典:徒然草(1331頃)五三)③ 芸能で、観客の同情や共感が得やすい役柄やしぐさで人気や喝采(かっさい)を一人占めにする。当たりをとる。転じて、一般的に好評をうけることにもいう。[初出の実例]「扇をぱっトひらいて、一とつギックリやって、まうけさっし、扇をば遣ッコなしがよからう」(出典:滑稽本・八笑人(1820‐49)二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例