(読み)とく

精選版 日本国語大辞典 「説」の意味・読み・例文・類語

と・く【説】

〘他カ五(四)〙 (「とく(解)」と同語源)
① 物の道理を、ことばをついやして相手にわかるように言い聞かせる。理をわけて話す。さとす。説得する。
源氏(1001‐14頃)帚木「のりの師の世の理とき聞かせん所の心地するも」
物事のなりゆきや事情などを、相手にわかるように説明する。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)二「是の如く説(トカ)るる五種の取蘊は」
③ 意味などのわからないところを、ときあかす。解釈して示す。説明する。講釈する。
書紀(720)推古一四年七月(図書寮本訓)「天皇皇太子を請(まき)て。勝鬘経を講(トカ)令めたまふ。三日にして説竟ぬ」

せつ【説】

〘名〙
① すじみちを立てて述べられた考え・意見・説明・解釈など。
※中右記‐元永二年(1119)八月二五日「外記進射庭付蔵人奏聞、返給、帰本座、外記置筥、常説雖可返給、付行成大納言説不返給」
※虎明本狂言・武悪(室町末‐近世初)「ごくらくが有と云せつもあり、又なひと云せつも有」 〔易経‐繋辞上〕
漢文一体理義を解釈し、また、自分の意見を述べたもの。〔文体明弁‐巻四二・説〕
③ うわさ。風説。風評。とりざた。
太平記(14C後)三九「昨日江州の勢共、合戦の用意にて罷上り候ける由承及候へば、風聞の説、早実にて候けりと信を取て候」

せち【説】

〘名〙 =せつ(説)
※栄花(1028‐92頃)楚王の夢「又あるせちには、御女(むすめ)の君をなんかの大臣にも、との給と聞ゆるは」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「説」の意味・読み・例文・類語

せつ【説】

ある物事に対する主義主張。「新しいをたてる」「御御もっともです」
うわさ。風説。「彼女が結婚したというがある」
漢文の一体。道理を解釈したもの。また、自分の意見を述べたもの。韓愈の「師説」、柳宗元の「捕蛇者説」など。
[類語](1所説定説学説意見見解主張所論持説持論私見私意私考所思所見考え見方オピニオン(尊敬)貴意高見(謙譲)愚見卑見私見管見/(2風聞風説風評風声ふうせい風の便り評判世評取り沙汰ざた下馬評巷説こうせつ浮説流説流言飛語流言飛語虚説空言俗言前評判デマゴシップ

せつ【説】[漢字項目]

[音]セツ(漢) ゼイ(慣) [訓]とく
学習漢字]4年
セツ
筋道をときほぐし、わかるように述べる。「説教説得説明説諭演説えんぜつ解説講説再説細説詳説力説論説
説き明かす内容。考えを述べる文章。「異説一説学説逆説言説高説自説社説諸説新説俗説珍説定説
はなし。うわさ。「巷説こうせつ小説伝説浮説風説流説
〈ゼイ〉他人にといて従わせる。「遊説
[名のり]あき・かぬ・かね・こと・つぐ・とき・のぶ・ひさ

ぜい【説】[漢字項目]

せつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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