普及版 字通 「辛(漢字)」の読み・字形・画数・意味
辛
常用漢字 7画
[字訓] はり・つらい・からい・かのと
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
把手のある大きな直針の形。これを入墨の器として用いるので、言・(章)・(童)・妾・(ざい)・辜(こ)・(商)などの字は、もと辛に従う形に作る。〔説文〕十四下に「秋時、物りて孰す。金は剛、味は辛なり。辛痛してはち泣(なみだ)出づ。一に從ひ、(けん)に從ふ。は(つみ)なり。辛は庚を承く。人の股に象る」とする。その説は五行配当の説によるもので、字形学的には何の意味もない。はまたに作り、(せつ)・辟(へき)などの字は、もとその形に従い、曲刀の象、刳剔(こてき)するのに用いる。辛に墨だまりをつけた形は、入墨によって文身を施すことを文章、その美しさを彰という。
[訓義]
1. はり、入墨用のはり。
2. つらい、きびしい、むごい。
3. つみ、傷つける。
4. からい、からみ。
5. 十干の一、かのと。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕辛 カラシ 〔字鏡集〕辛 カノト・カラシ
[部首]
〔説文〕に・辜・・・辭(辞)の五字、〔玉〕に六字を属する。・辜の従うところは入墨の器の辛、は刳剔の曲刀であるの形に従う。また・辭は(らん)(糸架にかけた糸のもつれ)を辛形の針で解きほぐす意であって、入墨の辛ではない。三者はいま同形に作るが、もとみなその器を異にするものであった。
[声系]
〔説文〕に辛声としてなど三字、また声として親・新などの字を収める。は入山して木を伐るとき、しるしの辛を木に加える意。祭祀や儀礼のために木を伐るとき、そのような儀礼を行った。その木を新といい、新しい位碑を以て祭るものを親という。
[熟語]
辛艱▶・辛勤▶・辛苦▶・辛酸▶・辛螫▶・辛楚▶・辛毒▶・辛盤▶・辛味▶・辛辣▶・辛烈▶
[下接語]
甘辛・艱辛・苦辛・辛・五辛・香辛・嗟辛・酸辛・愁辛・悲辛・味辛
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報