那賀(町)(読み)なか

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

那賀(町)
なか

徳島県南部、那賀郡にある町。2005年(平成17)、那賀郡鷲敷(わじき)町、相生(あいおい)町、上那賀(かみなか)町、木沢(きさわ)村、木頭(きとう)村が合併して成立。那賀川の中流から上流に位置し、町域には那賀川に合流する南川、坂州(さかしゅう)木頭川、海川谷川、古屋谷川などの支流が流れる。剣(つるぎ)山をはじめ、標高1000メートル以上の山々に囲まれ、面積の90%以上が山林で占められている中山間地域である。木頭林業地帯を形成し、スギ、ヒノキなどの木材を生産する。米作のほか、イチゴ、スダチ、ユズ、茶、花卉(かき)の栽培、アマゴの養殖が行われる。また、わじき工業団地が造成されている。電源開発地帯でもあり、長安口(ながやすぐち)ダムなど、多くのダムと発電所が建設されている。しかし、近年では環境破壊につながるダム建設を見直す動きが広がり、2000年には反対運動によって細川内ダム建設が中止に追い込まれている。国道193号が南北に、195号が那賀川に沿って東西に走る。
 旧鷲敷町地域は、戦国時代に仁宇(にう)氏によって仁宇城(和食(わじき)城)が築かれ、のちに徳島藩阿波(あわ)九城の一つとして山田氏が居住した。そのため、那賀川上流地域の仁宇谷の中心地となった。地域内には鷲敷ラインとよばれる景勝地や、阿南(あなん)市にある四国霊場第21番札所太龍(たいりゅう)寺へのロープウェーの乗車駅などがある。旧相生町地域には、川口湖畔のもみじ川温泉、相生森林美術館、森林文化公園あいあいらんどなどがある。旧上那賀町地域にある長安口ダムは1956年(昭和31)に完成した多目的ダムで、近くに資料館(ビーバー館)がある。1892年(明治25)この地域の春森で起きた台風による山崩れは大被害をもたらした。旧木沢村地域は古くからスギの美林で知られ、西端には剣山がある。黒滝寺は、太龍寺の奥の院として信仰を集めている。旧木頭村地域もスギの美林で知られ、木材はかつては那賀川を利用して流されていたが、現在は陸上輸送となった。地域の北西部一帯は剣山国定公園となっている。
 坂州にある農村舞台は、県下に残る優れた常舞台として、1998年に国の重要有形民俗文化財に指定された。また、沢谷のタヌキノショクダイ発生地は国指定天然記念物。面積694.86平方キロメートル、人口9318(2010)。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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