出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
長崎県雲仙市小浜(おばま)町雲仙にある温泉。『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』に峯湯泉(みねのゆ)として紹介された古い歴史をもち、雲仙火山群中の標高約700メートルの盆地内に湧出(ゆうしゅつ)している。地体構造からみれば、金浜(かなはま)、布津(ふつ)、別所(べっしょ)、吹越(ふきこし)の四つの断層線の交錯する地帯に相当し、地下約10キロメートルのマグマ溜(だま)りから上昇、分化した温泉が、金浜断層に沿って噴出している硫黄(いおう)泉である。泉温は高く、噴気は炭酸ガス、硫化水素を含む水蒸気で、俗に地獄とよばれている。江戸時代のキリシタン禁制時代には地獄責めの刑も行われたと伝えられ、地獄内にキリシタン殉教碑と十字架がたてられている。泉源は37か所(古湯(ふるゆ)2、新湯(しんゆ)34、小地獄1)を数え、別所地区を含む古湯はもっとも古い歴史を有するが、泉源の枯渇したものが多く、ホテルはほとんど新湯地区の地獄から引き湯し、その泉源は八幡(はちまん)、お糸、焦熱(しょうねつ)、邪見(じゃけん)、大叫喚(だいきょうかん)、新湯の各地獄の硫気孔、噴気孔からの自然湧泉である。小地獄での泉源は噴湯池を形成し、共同浴場を中心に旅館や寮などが建ち並ぶ。雲仙岳探勝の基地で、長崎、小浜、島原などからバスが通じ、国道57号、市道小浜仁田峠(にたとうげ)循環線も走っている。
[石井泰義]
『『雲仙』(1957・長崎県小浜保健所)』▽『『雲仙温泉調査報告書』(1962・長崎県衛生部)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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